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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
3章:動く世界とやりたいことをする魔獣四王

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番外編:魔王パンドラの日常

「立て、パンドラ」

「もう…立てません、父上」


「…軟弱だ。それで、次代の魔王が務まると思っているのか?」


「ですが、余は…」

「…そうか」


父は余の髪を引っ張って無理やり立たせた。

父の目には情というものが一切なかった。


「いたっ、やめ」

「では、私が答えよう。貴様は魔王にはなれない。魔王とは、絶対者だからだ。

お前は魔王の器ではない」


「いや」


「だから…」


父の手が迫ってくる。

そして…



ハッと目が覚めた。



「はぁ、はぁ、なんであんな夢を」





昔の記憶。


父にひどいことをされたとは思っておらん。

あれは、魔王を育てる父親として当然の対応だとおもうからじゃ。



パンドラはこめかみを押さえ、目を再度閉じる。



「疲れておる、ということじゃろうか」


その時、コンコンとノックの音と共に1人の女性が入ってきた。


「おはようございます」


その女性は、三星将軍の1人にして、かつての余の世話係であるメイチェルだった。


メイチェルは、余の険しい顔を見て、すぐに心配そうな顔でこちらを見た。


「なにか、ございましたか。パンドラ様」


「いや、少し昔の夢を見ただけじゃ」

「まさか、お父君の」


昔の夢というだけでメイチェルは、察したらしい。

相変わらずするどい奴じゃ。


「いかんな。非常時じゃというのに、気が緩んでいたようじゃ」


余は心配させまいと笑顔を作った。

じゃが、メイチェルは余の思惑とは反対に悲壮な顔をみせる。


余が目をしばたたかせていると、


「失礼します」


といってメイチェルは余を優しく抱きしめた。

すべすべした肌の感触が気持ちいい。


「パンドラ様。無礼を承知で申します。お父君に言われたことはどうかお気になさらず。

あなたは、今こんなに立派に魔王としての責務を全うされているではないですか」

「…メイチェル。じゃが」


「分かっています。パンドラ様がどれだけお父君を尊敬されているか。

ですが、少なくてもここに1人、先代よりもあなたは立派な魔王だと認める者がいる事を忘れないでください」


「…すまんな」



◇◇


朝食を食べてから余は城下町を歩いた。


メイチェルから休暇として今日1日休むように言われたのじゃ。

ルナ王女との交渉もまとまり、いい機会だからと。



後ろから2名の護衛が少し離れた位置からついてくる。

そして、もう1人。


「ねぇねぇ!パンドラ姉様!人間の王女さんってどんなんだったのー?」


その無邪気さとは正反対の発育の良い体で、

余を見下ろしながら、無邪気に問いかける同行者がいた。


姉様と呼んでいるが、姉妹ではない。

余の従妹(いとこ)に当たる人物、ジュリだった。


余を慕ってくれており、よく一緒に遊ぶ。

余は一人っ子じゃし、魔王の娘という立場のせいで対等の存在がおらんかった。


じゃから、余と近い立場で仲良くしてくれるジュリには感謝しておる。


「なんじゃ?ルナ姫に興味があるのか」

「うーん、わかんない!」

「そうか」


背伸びをして、ジュリの頭を撫でる。

まだ10歳じゃというのに背たかすぎじゃろ。


「そうじゃの。余もようわからんかった」


そう言って笑って見せる。

城下町は思いのほか、賑わっていた。


もっとみんな不安そうな顔をしているかと思ったが、そうでもないようじゃ。

まぁ、魔獣四王集結から1週間ほど経ったというのに何も起こっていないからか。


逞しいものじゃ。


こちらに気づくと、市民たちは笑顔で話しかけてきた。


「パンドラ様!」


一斉にそこにいた者たちはこちらを振り返る。


「うむ、みな励んでおるな」


余は笑顔で手を振る。

大勢がこちらに向かってくるが、護衛の1人が槍の柄をガンと地面に叩きつける。


全員がそちらに注目した。


「皆、パンドラ様と交流したい気持ちは分かるが一定の距離は保つように。

警護の一環故、ご協力お願いします」



「もちろんです。パンドラ様、うちの店によっていただけませんか。可愛いアクセサリ―があるんです」

「いえ、うちの店に、極上のお料理でおもてなしさせてください」

「いえ、うちの店に。甘くておいしいスイーツはいかがでしょう」


「あーーー!うるさいの!!、一軒ずつ回ってやるから静まるがいいわ」


「「「はーい!失礼しました!」」」

その後、色々な店を回り、かえって疲れるはめになったのだった。


色々なものを買い、美味しい物を食べまくった。


食べ過ぎてお腹が膨らんでいる。

まぁ、楽しかったし、いいかの。




◇◇



太陽は西の空にゆっくりと沈み、空は茜色に染まっていた。


「はぁ、疲れたのう」


魔王城に帰り、屋上から城下町を見下ろす。

ここからは、魔界がほぼ見渡せる。


変わったの。この国は。


昔、父である先代魔王が統治していた時代ならば、民衆たちの統率がもっと取れていたはずだ。

あんな気さくに接してくることなどありえなかったはずだ。


「父の方が……やはりみな良かったのじゃろうな」

「なんで?みんなあんなに嬉しそうだったのに。変なの~」

振り返ると、ジュリが不思議そうな顔をして立っていた。


「おじさんはちょっと怖かったから、私はパンドラ姉様の方が好きだよ」

「じゃが、魔王としては怖いくらいの方が相応しいのではないかの?」


「全然!!」

ジュリは無邪気に言う。


「今日はありがとうね」


そう言って、今日店を回っていた時に余が買ってあげた髪飾りをジュリは嬉しそうに見せてきた。


魔王パンドラ、つまり余の顔のデザインをした髪飾りだった。


ねだられたから買ったが、正直複雑な気持ちじゃ。

自分をモデルにした髪飾りをした人を見るなんて気恥ずかしい。


「パンドラ姉様はさ、おじさんの影を追いすぎなんだと思うな。

私は今の方が楽しいよ。今日だってさ。

おじさんが作る怖い雰囲気より、パンドラ姉さまの優しい世界の方が好き」

「…そうか。ジュリがそう言うなら仕方ないの。明日からも頑張るとするかの」

そう言ってジュリの頭を撫でてやる。

本当に余は周囲の人間に恵まれておる。じゃからこそ、そんなみんなを余は絶対に守らなければならん。


「うん、頑張って!今度こそ王女さんがどんな人か教えてね」

「そうじゃの。楽しみにしておくとよい」


そうじゃな。ジュリの言う通りじゃ。

父は”魔王”という称号をそのまま体現したような存在じゃった。


けれど、余は父とは違うやり方でこの国をもっといい方に導いていけるはずじゃ。

魔王として。





◇◇



「という感じで1日様子をみてましたけど、ずいぶん腑抜けてますね~。当代魔王さまは。

にはははは」

暗い部屋の中、パンドラの様子を見ているものがいた。


包帯をぐるぐる巻きにし、ギブスでいくつもの関節の補強をしている女、

ミリーナ・リリエンタールだった。



「その恰好じゃ説得力がありませんよ。ミリーナ殿」

「そうだな。ミリーナ。今回はお前は留守番でいい。任せたい奴らがいる」


「そうですねぇ。けが人はゆっくり休ませてもらいますとも。

もっとも私が行かなくて成功するかは、ほとほと疑問ですがねぇー」


「おや、それは心外ですね」

「心配はいらんさ。なにせこいつらは…」


その時、他に3匹の魔獣たちが部屋に入ってきた。

全員人化の術で人間に擬態しているが、

本体はとんでもない化け物たちだ。


こりゃ魔界は終わるな、とミリーナは思う。


「来たか。では、始めようか。魔界崩しを」


そういって、死帝、ネメシス・クラウンは不敵な笑みを浮かべた。






読んでくださりありがとうございます。


今新章作成中です。

期間かかりそうなので、新章できるまで定期的に番外編書いていきます。


お待たせしてすみません。

完成までもう少しお待ちください。




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