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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
3章:動く世界とやりたいことをする魔獣四王

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59話.ミリーナVSタナトス



前回のあらすじ:やばい女に殺されそうになった。


俺は油断している女に、ナイフを突き刺してやった。

あのままだと、おそらくもてあそばれて殺されていただろう。


「あのスライムちゃんの手のひらで泳いでる感じが気に食わないけど、助かったかな」


スライム王、セレーネが数時間前に来たことを思い出す。


そこで、牢屋の中で数時間大人しくしておけば、一切手を出さず帰してくれること。

逃げたら殺しにくること。

そして、命の危険を感じたら応戦していいことを伝えられた。



おそらく、スライム王セレーネにとって3つ目の条件が本命で、あの女が来ることを予期していたということだろう。


「人使いが荒いね」


俺は牢屋の外に出て、壁に立てかけてあった武器、真月を手に取る。


この武器に眠っているヴァンパイアの真祖、カーミラ・ヴァレンタインの反応はない。


蜘蛛の王に負けて、へこんでいるといったところかな。


目の前の女を見る。


背丈は普通の女性とそんなに変わらない。

髪の毛はビンクだが別段珍しいというわけでもない。

正直あまり強そうには見えないが、城の前に待機していた魔獣たちをかいくぐり、ここに来たという時点で、ただ者でないことは間違いない。


そもそも、魔獣四王だって見た目だけで判断すれば全員強そうには全く見えないのだ。


見た目だけで判断するというのは、愚かということだろう。


その判断は正しかったとすぐに分かる。


「あ~痛い。それになくなっちゃった。お気にだったのに」


女は顔に刺さっていたナイフをガッと豪快につかみ取り、床に投げ捨てた。


両目を潰し、脳に刃を食い込ませる勢いで刺したというのに、その顔は、まるで何もなかったかのようにきれいなものだった。


「…得体が知れないね」


もし刃物が効かない体質というのなら、勝ち目がないことになってしまう。


「モア君、いまの魔法?」

だが、返事はなかった。俺は見捨てられたんだとか、ブツブツとつぶやいている。

貴族に刺客を放たれたということは、価値がないと断じられたことと同じ事か。

はぁ、とため息をつく。


「カーミラー、なんか心当たりない?」

こういう特殊能力は、彼女の方が詳しいはずだ。だが、返答はない。

まいったな。ポンコツ2人かばいながら戦わないといけないとか。


だが、こうなった以上やれることは限られている。


「ひたすら切り刻むだけだよね」


真月を振りかざし、上段から切りつける。


だが、女はどこからか木の枝を持ち出し、刃の軌道に突き出した。


小枝など一瞬で折れ、刃は女の腹を捌くはずだった。

だが、信じられないことに、小枝は真月を弾き飛ばし、その瞬間ガキィンと鈍い音を立てた。


まるで、剣と剣がぶつかったような音に困惑する。


「…その枝何製?」

「うーん、木製かな~」

「君、何者?」

「この世界の覇者、ネメシス・クラウン様の忠実なしもべ、ミリーナ・リリエンタール」


ネメシス・クラウンという名前に首をかしげる。聞いたことのない名前だった。




「さて、君みたいなのにはこれがいいかな」


そう言ったとき、女の雰囲気が変わった。

今までは得体の知れないふわふわした存在感だったのが急変し、まるで歴戦の戦士のような力強い覇気を放っていた。


その圧倒的なオーラにタナトスの全身に緊張感が走る。


ミリーナが枝をまるで剣を鞘にしまうような動作をし、抜刀術の構えを取る。



瞬間、ミリーナは一足で、一瞬で距離を詰めてきた。


「はや…」


そして、剣を横なぎで振り払う。


超スピードの一閃。


それを辛うじて躱す。

あっぶなかった。超感覚で、切られることを察知できてなかったら真っ二つになってたな。


ミリーナは止まることなく、二撃、三撃と枝で切り付けてくる。


それを真月でなんとか受け止める。

もはや、このボロい枝は鋭利な剣にしかみえなかった。

どういう理屈かは分からないが。


尋常じゃない剣術だった。超感覚で事前に斬られる場所が分かっているから、その軌道に剣を置いておくだけの簡単な作業。そのはずなのに。


それすら困難に変える剣速にタナトスは苦戦する。

「…っ」

タナトスはたまらず距離を取ろうとする。


だが、逃げようとすることで、武器捌きが僅かに鈍ってしまう。

そのわずかな綻びを、ミリーナは嫌らしく突いてくる。


「にぃーはっは。スキあり」


しまった。


「あんたがね」


深手を覚悟したとき、鋭い一閃が、タナトスとミリーナの間に割って入った。


スッパリと枝が切れる。

人影が、タナトスの前に背を向けて立った。


「およ?じゃまもの?」


別の枝を取り出し、ミリーネは人影に突き刺そうとした。

だが、人影は剣でその枝を美しいまでに、ピタリと止めた。

そのまま流れるような動きでミリーナを斬りつける。


「ぐえ」

斬られたミリーネは、後方に飛ばされ、しりもちをついた。


この洗練された動きには覚えがある。


「リアちゃん!?」

「ふぅ、危ないところだったみたいね」


人影がフードを取る。その人物は、自由の騎士団の1人、リア・エリーゼ・ヴァイロン。

タナトスたちの同僚だ。


「まったく次から次へと」

ミリーネがむくりと立ち上がる。

斬られたはずの傷はもうなかった。


「…あの子何者?」


その様子を見て、リアは眉をひそめた。




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