↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
2章:セントラルフィリアの冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/126

46話.祭り 中編

2か月も投稿開いてしまい申し訳ないです。

私生活の厄介事も終わったので投稿します。

※オル目線です。


「らっしゃいっす。セントラルフィリア新名物たこ焼きっすよ〜。ややっ!そこにいるのはオル様じゃないっすか」

「い、いらっしゃ~い」


大声でたこ焼きの宣伝をしている店に直行すると、そこは、何故かたこ焼きを店で売ってるバーナードと紫苑の姿があった。

バーナードは快活だが、紫苑は縮こまって仕事をしていた。


バーナードはフェルミナ部下。

紫苑はマクラの部下だ。



「おー、お前たち、こんなとこで何やってんだ?」

バーナードも紫苑も魔獣四王の右腕。大幹部とさえ言える。そんな彼女たちがエプロン姿でたこ焼きを焼いている光景はとても不自然だった。


オルの疑問を察知したのだろう。

バーナードは陽気な態度で答える。

「楽しそうだったから出店してみたっすよ。屋台を回るのも面白そうかなって思いましたけど、この機会に親睦を深めようと思って、ね」

バーナードはウインクして紫苑の方に目配せする。

「あ、はい。そうですね。はぁ、嫌だって言ったのに。こんな大勢人がいるところでなんで私が」

嬉しそうなバーナードに対して紫苑は陰鬱な感情がその顔から伺えた。

怨念のようにぶつぶつとつぶやいている。



「まぁまぁ、そう言わず。たこ焼きの発祥地は紫苑ちゃんの国じゃないっすか」

「まぁそりゃそうですけど、私の国だとマクラ様の部下はみんな作れて当たり前ですし」

紫苑は返答しながらも、クルクルとピックを回し、慣れた手つきでたこ焼きをひっくり返す。

たこ焼きの方を見もせずにだ。

その手捌きで、紫苑がたこ焼き作りにおいて卓越した技術を持っていることが分かった。


だが、考えて言見ればマクラの国No.2なのだから、彼女がプロ中のプロでも不思議はない。


もっとも、国を運営する側が作れる必要があるのかという疑問はあるが。

それより問題は紫苑の隣で、たこ焼きを作っているバーナードの方だった。

その動きは紫苑と比べて一段劣るものの、卓越していてた。


「あ、あの、バーナードちゃんがそんなに上手なの…おかしくないですか?」

おどおどした態度で紫苑が聞く。


確かに不思議だ。マクラとフェルミナは仲が悪い。

まぁ、喧嘩するほど仲がいいタイプで内心ではお互い仲良しだとオルは思っているが、それでも表立って交流するような関係ではない。

故に紫苑がどうやってたこ焼き作りの技術を身につけたのか、オルは疑問に思った。



「え?そりゃあ、推しの国の名物料理なんて、作れて当たり前じゃないっすかぁ〜。マクラ様のファンなら当然っす」

その返答にオルと紫苑の目が思わず点になる。

「え、えっと、一応たこ焼きの作成方法は極秘の筈なんですけど」

紫苑が訝しげに尋ねる。

「あっ」

バーナードが思わず手を押さえた。

沈黙が流れた。オルもなんとなくバーナードがどうやってたこ焼きの技術を身につけたか分かったからだ。


「ナーちゃん、あんたまさか」

この沈黙を破ったのは、この会話の参入者マクラだ。

後ろで一部始終を聞いていたのだろう。

ナーちゃんとは、バーナードのことだろうが、いつの間にそんなあだ名をつけたのだろうか。

「ごめんなさいっす。一時期魔獣四王の皆さん全員を追っかけしてた時期があって、あの時は見境なく色んな国に侵入してたっす。その時に見て学んだというか…」

バーナードは、申し訳なさそうにこたえた。

口調は快活そのものだったが。

「あ、そうなんやね。偉い熱心にしらべたんやねぇ。警備は厳重にしてる筈なんやけど」

マクラは笑顔で言うが、その目は笑っていなかった。

「安心してください。漏れたらまずい情報とかは一切探ってないっすよ。ただ私はマクラ様のかっこいいところを生で見たかっただけなんです」

バーナードの迫真の言葉にマクラでさえ気押されたようだった。

こいつヤベー奴だったのか、という空気がマクラ、オル、紫苑の3人の間に流れ、再び沈黙。


取り返しのつかないような空気に収集をつけたのは、さらに後からきたフェルミナだった。


「はいはい。そこまで」

パンパンと手を叩いてフェルミナが言う。

「この子は普段からこうだから。気にしてたらキリないわよー」

「でもフェルちゃん、ナーちゃんは我をストーキングをしてたんやで」

「あんたもセレーネのストーカーでしょ。ほら、修行時代に。似たもの同士じゃない」

うぐぐ、とマクラは押し黙る。

いやお前もしてたんかーい!、とオルは心の中で突っ込みを入れた。

確かにマクラがセレーネのことを親友としてとても好きだったことは知っていたが、そんなことまでしていとは。


「大丈夫よ。この子の熱は本物だから。マクラが困るようなことはしないわよ」

「はい!それは誓うっす」

悪びれる様子のないバーナードにフェルミナが呆れた顔をした。


「うーん、まぁ、それならいいんやけど」

不承不承といった感じでマクラは頷いた。


「ま、まぁとにかく私は皆さんが大好きってことっすよ。これからもよろしくっす」

バーナードは手を合わせて、話をまとめたと言わんばかりに言うのだった。



「ね!紫苑ちゃん!」

そして、紫苑に肩に手を回した。

紫苑はとても嫌そうにげんなりとした顔をしていた。

その顔にはやばい奴に目をつけられたと書いてあるようだった。




「あ、そうだ。オルさんサインください」

最後にバーナードはオルに振り返り、陽気に言った。


「いやだ」

オルはなんか怖いと思い、即断るのだった。




□□


※セレーネ目線です。


それからも祭りは続く。


セレーネは、ポーション職人の少女、アリアナと話をつけ、元の場所に戻っていた。

魔獣四王は共に行動していたが、その楽しみ方は各者各様だった。


マクラは店自体にはさほど興味がなく、私と共にイベントを回れることに心躍らせているようだった。


真蜘羅は古城での戦いから帰ってきてから明らかに私への態度が変わった。


前より好意のアプローチが積極的になったのだ。

私の腕を掴んで歩こうとしたり、顔を合わす度にハグをしようとしたり、なんなら唐突にキスをしようとしたりと明らかに友人としての行動からはかけ離れている。


あれではマクラの気持ちなんて誰からも丸わかりだ。



対して私はマクラの行為に応える気はない。マクラのアプローチを冗談として軽く流している。

好かれるのは悪い気はしないが、恋愛関係はごめんだ。

時には液体化まで使ってかわしている。


初めは全員その変化に驚いていたが、ここ数日マクラの奇行はずっと続いていたため、皆もう慣れたようだ。今では気にも止めていない。



一方でフェルミナは色んなお店を真剣に見て回っていた。

人間が大好きな彼女らしいと思った。

純粋に祭りそのものを楽しんでいることを踏まえるとマクラとは正反対だ。


中でも一番楽しそうにしていたのが書店だ。

途中、警備で街を巡回していたリアと合流した時があったが、

その時は登場人物の中で誰が1番かっこいいかという議論で白熱していた。


マニアニックな会話を雄弁に語り続ける2人の圧に押され、

本屋から周囲の客達が離れて行ってしまってい、最終的には店主に怒られていた。



そして、オルもまた前の2人とは違う視点で祭りを楽しんでいた。

彼女が主に回った店は飲食店だ。

もしこの街に来たばかりのオルならば、そこしか回らなかっただろう。


そして、街中の食べ物を全て食べ尽くしていたかもしれない。


しかし、この祭りはセントラルフィリアの再起の狼煙を意味する。

故にオルがそんな事をしては、祭りは台無しになってしまうだろう。


だから、オルは決して暴食に走ることはなかった。

満たされるためではなく、一皿一皿を味わい、楽しむための食事をしていた。

そんな食べ物への向き合い方をしたのは初めてだろうが、

それが苦行でなかったのは、オルの表情を見ればよく分かった。


「楽しそうね。オル」


フェルミナがオルに話しかけた。


「みんなで準備した祭りだからな。楽しまなきゃもったいないだろ」


オルは美味しそうにたこ焼きを頬張りながら応える。

かつて孤高のドラゴンだったオルからは考えられない言葉だった。


「そうね。その通りだわ」

短く、簡素な言葉で返答したフェルミナの顔には、我が子の成長を喜ぶ母親のような優しい笑顔があった。



私も同じ気持ちだ、とセレーネは思う。いつかこんな光景をルナと分かち合うことができたら。


この場にいない彼女のことが鮮明に思い出される。

あの事件をきっかけに、2人の生きる道はかけ離れたものになってしまった。


「いつか、本当の意味で魔族と魔獣、そして人間が分かり合える日が来ます。言え、私が実現してみせる。だから、そうなったらまたいつか…」


別れ際の最後の言葉。それ以降、彼女とは数度会った。

だが、それもスライムの国の王として、面会をした時だけだ。

お忍びでセレスティアという偽名と偽りの身分を語り、事務的な話し合いをしただけ。


会いたくて、会いたくてどうしようもなくて、

理由を付けて会いにいっただけだったけど、それじゃ私の心は全く満たせなかった。


もうまともに会うことはできないかもしれない。

だが、それでも彼女の想いだけでも叶えたい。


ただ願わくば、また5人で集まって夢のように楽しかった時間をもう一度。


そのために足掻いているのだ。


セレーネもまた、魔獣の王。欲望に従順な魔獣達の頂点に立つ存在なのだから。




◇◇



楽しかった祭りも終わりの時が来た。

セントラルフィリアを一望できる崖から魔獣四王は街を見下ろす。


下には、祭りが一通り終わって片付けをしている人たちが見える。


太陽が水平線に沈みかかり、夕焼けの赤い光が反射して4匹を照らす。

風に吹くとわずかだけ、いい匂いがした。それも祭りが終わったことを4匹に実感させた。


「楽しかったなー」

「そうやね。セレちゃんとも楽しい時間を過ごせたし、我的にも満足やね」

「そうだね。2人がそう思ってくれたならこの街に来たてよかったよ」

「そうね。ところでセレーネ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかしら。私達が集結したその意味を」


祭りの感想からフェルミナが流れるように自然に話題を転換した。

そして、問いかける。


魔獣四王全員が聞けないでいた、魔獣四王が同窓会をした目的。

その核心を。












読んでくださりありがとうございます。


もし少しでも気に入っていただけたのであれば

下にある☆☆☆☆☆から、評価をくださると嬉しいです。


ブックマークや感想もよければお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。