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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
2章:セントラルフィリアの冒険

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43話.経験値

俺は岩と岩の隙間で息を潜めていた。

スーっと1匹の魚が滑らかに泳いでこちらに向かってくる。


俺の存在には気づいていないようだ。


あともう少し。


短い触手が届く距離に達した時、さっと触手で魚を絡みとり、そのまま口に入れた。


うむ、味はしないが、なかなかの栄養になった。

これが人間どもの釣りとかいう手法か。

なかなか効果的だ。

以前砂浜で釣りをする人間どもを観察した経験が活きた


また少し体に魔力が戻ったことを感じる。


よし、いいぞ。この調子だ。


それにしてもとんでもない化け物がいたものだ。それも2匹も。



ん?俺が誰かだと?


クラーケンだよ。クラーケン。

海の怪物と恐れられた魔獣、クラーケン様だ。


人間たちの街に攻めようとしたは良いものの、冒険者と鳥の化け物にコテンパンにされて…

敗走した先で幼女に擬態した化け物に出くわして、ワンパンで吹き飛ばされたクラーケンだ。

ふ、思い返すとなんと酷い1日なんだ。


ん?なんで生きてるか?


あの方からもらった伸縮能力のおかげさ。

理屈は知らないが、バラバラになっても

肉が削がれただけで、小さなタコのフォルムで

再生できた。


だから、こうして再生のために栄養補給をしているというわけだ。


その時、何かが水中でもがくような音がした。


何事かと思いそちらをみると、なんと人間が海流に流されてこちらにきているではないか。


真っ黒な服で全身を包んだ人間だ。

なぜ人間が、こんなところに?


人間はぐったりとして、身動き一つしない。


非現実的な事態に困惑するが、すぐに予想がついた。

ああ、そうか。遭難したのか。海難事故か何かか?


ぐっふふ。ツキが回ってきたぞ。


人間の栄養価は他の生物と比べて別格だ。


こいつを食えば、サメくらいの大きさに戻れるくらい魔力が戻る。


そうすれば、狩りももっと簡単になって、すぐに元の大きさに戻れるだろう。


確かにあの都市には最低でも2匹怪物がいる。

だが、あんな怪物が人間の都市なんかにいつまでもいられるわけがない。


すぐにいなくなるだろう。


俺はその時を見計らい、再び侵攻すればいい。


いただきまーす♪


俺は全身の口でパクリとそいつを飲み込む。


ん?なんか変な感触がするな。口に入れる瞬間空気に触れたような。

痛っ、なんだ、何か刺さったぞ。これは…針!?


その瞬間、視界が一気に変わる。

なんだ!?


体が急上昇しているのだ。何かに引っ張られている。


抗うこともできずに、俺の体は海面から飛び出した。


「うおおッ!なんだなんだ!?」


思わず声が出る。

パシッと頭をボールでも持つみたいに捕まれた。



「おっしゃー。かかったかかった。釣れたぞー!みんな」

「さっすがオルやるー」

「ふーん、これがあのクラーケン?随分ちっちゃくなったわねぇ」

「こんなでも栄養パンパンやと思うで。タコ焼きにでもしたらうまいやろなぁ」


「…」


目の前には恐ろしい怪物、羽女と幼女の姿に擬態した龍がいた。


しかも、他にも2匹、化け物がいる。


そいつらを見て俺はやっと状況を理解した。


釣られた…

さっきの黒服は餌か。よく見ると黒服の人間の服にでかい針が尽きさしてあった。


肉は貫通してないらしいが、それでもそんなこと普通思いつかないだろ。

こいつら、イカれてる。人間で釣りをしてやがる。




◇◇



※フェルミナ視点です。


真蜘羅たちと合流した次の朝。



「まだ生きてるのよ。クラーケン」

リアがどこかに行こうとしているため、訳を聞くとそのような回答が返ってきた。


それが分かった理由は"経験値"が理由だという。


魔獣が人間に倒された時、経験値というエネルギーが討伐した人間に付与されることが。この世界のシステムだ。



魔獣が討伐された時、その魔獣の中核にある魔力が行き場を求めるように、討伐者のもとへと向かう。

経験値の正体はその魔力だ。


そして、何体もの魔獣を討伐し、経験値が一定まで溜まると、その魔力の種は花開くようにその者の力を次のステージへと押し上げてくれるのだ。


経験値が貰える量は、討伐する魔獣の強さによって異なる。


強い魔獣であればあるほどもらえる経験値の量は多くなり、弱い魔獣であればあるほど貰える経験値の量は少なくなる。

例外もたまに存在するが。


冒険者が魔獣を積極的に狩る理由は、駆除意外にもこの経験値によるところが大きい。

魔獣を狩っていくことがパワーアップには一番効率的なのだ。


さて、この経験値だが、得られた感覚は意識的に感じ取る事ができる。

どういうわけか、それは人間だけが感じ取れる感覚だ。


フェルミナやセレーネたちも魔獣を討伐する事で経験値を得ることはできるが、それを実感することはできない。


分かるとすれば、経験値が多く溜まった後、なんとなく自分が強くなっているな~、というフワリとした感覚だけだ。


だが、リアはクラーケンからの経験値を感じていない

よってクラーケンは生きているということになる。


クラーケンを倒したのがオルだから、と思うものもいるかもしれないが、リアだってクラーケンに致命傷を与えている

であれば経験値は分割され、リアにも多少は入ってくるはずなのだ。



「あ~、なるほど。そういうことね」

セレーネはうなずきながら何かを考え込む。


「遠目だけどクラーケンが吹き飛ばされるところは見たわ。あの傷なら、まだそこまで遠くへはいけないはず」

だから、今のうちに見つけ出してとどめを刺さないと、と言ってリアはローブを羽織り出かけようとする。


クラーケンが吹き飛ばされるところは私もみた。

あれなら、私が力を貸す必要はもうない。


それに、リアとはまだ気まずいままだ。

ここは見送るだけにしましょう。

そう思って私は頑張ってねと手を振ろうとした。


だが、その時セレーネが意外な発言をしたのだった。

「ちょっと待って!リアちゃん…だっけ。確かにクラーケンはまだ近くにいるだろうけど、見つけ出す手段はあるのかな?海底だよ?」

「それは…魔力探知機を使って感知、潜水でなんとかするしか」

リアが言い淀む。確かにそれしか方法はないのだろう。

だが、今クラーケンは弱っている。

この広い海でその弱弱しい魔力を見つけることは、砂上の中から金粒をみつけるに等しい行為だ。


ある程度クラーケンが回復したときにはもうクラーケンは沖に逃げてしまっている事だろう。


「そこでみんなにごていあーん!真蜘羅、フェルミナ、オル!みんなで釣りしなーい?」

セレーネは魚を釣り上げる仕草をして、笑っていった。


「え!?いまなんて?えっと、もう一回聞いてもいいかしら」

いつも凛々しいリアも、セレーネの突飛な発言に困惑を隠せないようだった。

























読んでくださりありがとうございます。

今回は久々の日常回?です。



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