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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
2章:セントラルフィリアの冒険

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15話.フェルミナの冒険③:模擬戦闘

先週初めて評価頂きました。

どなたか存じませんが本当にありがとうございます。


評価や感想、いいねがあると嬉しいので、してくれるとありがたいです。

でも酷評されると落ち込むので,できればお手柔らかにおねがいします。(ビビり(笑))

※フェルミナ視点です。


私たちはギルドの中にある修練場へ移動した。

そこは模擬戦を行うために作られた施設だ。


他にも、魔法の試し打ちなど様々な用途がある。


「ちょっと待ってください。いくらリアさんでもそんな勝手に」

受け付けの女性が言う。


うるさいわね。お役所仕事は。

せっかく少し面白そうな展開になってきたのに。


フェルミナが頬を膨らませて不満に思っていると、横から割り込むものがいた。


「いや、良いぞ。私もリアの意見に賛成だ」

「ギルドマスター!?」

「初めまして。このギルドのマスター、カジットだ」

ギルドマスターとは簡単に言うとこのギルドの社長だ。


人間領とも多少の繋がりがあるフェルミナはギルドに対しての一般的な知識ぐらいは持っていた。



このギルドマスター、年は40代くらいだろうか。

大きな口髭が特徴の、ダンディな見た目をしている。



後ろには複数の役員が何やら審査の紙らしきものを持って待機しているようだ。



「私も今の危機的状況を打破するためには何かしないといかんと思っていたところだ。この程度の取り決めくらい破らねば、変化など生まれまい」

「カジットさん!ありがとうございます」

リアが深々と頭を下げて礼をする。

それをカジットは制止する仕草をする。

「いや、いいんだ。お前がそこのお嬢さんに何かを感じた故の提案なのだろう。ならば好きにやってくれ。クラーケン討伐隊の隊長はお前だ」

「はい」


「いいわね。嫌いじゃないわ。そういう考え方」

私は横から口を挟んだ。

「ありがと。えっと」

「……私はフ(・)ェ(・)ル(・)ミ(・)よ、フェルと呼んでくれたらいいわ。それと、細かい素性の詮索はしないでもらえると助かるのだけど」

「…フェルさん。貴方を入隊させる立場としてはある程度の素性は詮索させてもらわないと困るんだけど」

そう言ってリアは剣を抜く。かなり良さそうな剣ね。少しほしいかも。

と私は思った。


「まぁ少しくらい構わないわ。何を聞くか今から考えておいてね」


私も腰の剣に手を掛ける。剣って慣れないわね。私のスタイルじゃないし。抜く所作ってこれでいいのかしら。

「だから、気がはやいって」

少し唇を尖らせてリアが言う。


その時、

「ちょっと待て。お前ら真剣で戦う気じゃないだろうな」

そう言ってギルドマスターは木刀を放り投げた。

「使え、こんなとこで流血沙汰は勘弁してくれ」

それは最もな指摘だった。殺し合いをしに来たわけではないのだ。

「ああ、ごめんなさい。模擬戦なんて久しぶりだから忘れてたわ。ほらフェルさんも」

「ええ、ありがと」

…私も気づかなかったけど…でも人間の世界じゃ特にそういうの常識のはずでしょうに、真剣でやる気だったのね。もしかしてこのリアって子、少しやばい人?

リアをジトリと見ると、リアは肩をすくめた。


「じゃ、気を取り直して」

リアが構える。私もそれに応じて木剣を構えようとした。その時。


「「「ちょっと待ったぁ!!!」」」

大声が修練場に響いた。

両者の緊張の糸に水を刺されたのだ。


少し不機嫌になりながら、声のする方を見ると

、さっき絡んできた大男の冒険者3人組だった。


なぁに?うるさいわね。またあいつら。しつこい。

流石の私もそろそろイライラしてきたわ、と心の中で思う。


「何だお前ら。ギルドで行われる決闘は神聖なものだ。

例え模擬戦でもな。邪魔は許されんぞ」

ギルドマスターが言う。

「どうだか、そんな弱そうな姉ちゃんに神聖な決闘が相応しいのか疑問でならねぇ。その試験、見極め係が必要ってんなら俺たちでやるぜ」

「あぁ、それにその姉ちゃん、さっき俺らのこと侮辱しやがったんだ。冒険者としてのプライドが許せねぇ。なぁギルマス。プロの冒険者の実力、見せてやるぜ!」

「あと、そこのリアってやつが今回の隊長に相応しいのかも疑わしい。か弱い女だぜ。そこについても、不満があったんだ。俺たちゃよ」


「は?」

ザワッと空気が揺らぐ。

今の一言でリアも大男たちに怒りの目を向けたようだ。

しかも、平静な顔を装ってはいるが相当な怒気だ。


この子、怒ると結構怖いわね。

今の一言は彼女にとって触れてはならない逆鱗だったのだろうか。


「いらん、いらん。これ以上揉めるんだったらペナルティを与えるぞ。さっさと」

「カジットさん!」

その時、リアがギルドマスターの言葉を笑って呼び止めた。


もっとも、笑っていてもリアはさっきの男の発言を許す気はなさそうだ。

目がそう語っている。

「私は構いませんよ。どうでしょう。この際5人でバトルロワイヤル形式で審査を行うのは。フェルさんもいいですか?」

ニッコリと笑ってリアは言う。


「ええ、まったく問題なくってよ。むしろこちらからお願いしようと思っていたわ。どうにも私の実力が疑問を示す方が大勢いそうなんですもの。後腐れなくやりましょ」

私もニッコリと笑い返した。


「へぇ、この状況3対1対1って分かってんのかぁ?ま、覚悟だけは認めてやらぁ。本物の冒険者の実力見せてやる」

「あんたら面はいいからなぁ。終わった時にゃ惚れてもいいんだぜ」


そもそも弱いと見切りをつけた相手に3人で戦おうとすること自体、ナンセンスだ。

つまらない奴ら。私が嫌いな人間要素を詰め込んだような人たちね。

私は溜息をついた。


「はぁ、馬鹿につける薬はないとはこの事だな」

ギルドマスターは呆れたように言ったあと、手を上げる。

「それでは、これより模擬戦を取り行う。双方構えて…はじめっ!」


「「「おらいくぜっ!」」」

開始の合図が成った直後、速攻で大男3人組は仕掛ける。


礼節も何もあったもんじゃない。

普通戦士が決闘をする時はお互い剣を構えて名乗るのが礼儀だ。


人間のそういう律儀さというか礼節が私は好きだったのに。

もうコイツら視界にもいれてたくないわね。


大男の1人が私に剣を大きく振り上げ、大声で何かを叫びながら向かってくる。

「おら、痛い目見て帰りなぁあがぁ!?」

私が木剣で一振り、その男の隙だらけの体にぶつけた。

それだけで大男は吹き飛んだ。

「隙だらけ、ね。やっぱりそんな3流筋肉無駄だったでしょ」


言いながらも、私はダンッと地面を蹴り、リアに斬りかかる。


「どきなさい!」

「ぼがぁあ!?」


一方リアも大男を剣の一振りで吹き飛ばした。

今の動き、やっぱりこの子かなり強いわね。


「え、え、え!?」

最後の1人の大男は仲間が自分以外瞬殺されるという

予想だにしない事態に戸惑っているようだ。

だが、もはや彼は私の眼中にはなかった。リアも同様だ。

あるのは……


「「邪魔よっ!!」」

木剣と木剣が大男を中心にゴキゴキボキと激しい音を立ててぶつかり合った。


「があっ!!??」


真ん中にいた男は私たち2人の剣の間に挟まれ、

ひとたまりもなく、醜い断末魔を上げて気絶する。


人体を通じてだが、剣と剣がぶつかり合い、

その衝撃がビリビリと肌に伝わる。


その感覚で分かった。これは本当に期待できそうね。

思わず笑みがこぼれる。


私とリアはお互い距離を取って剣を構えた。


さぁ、戦闘開始。ここからが本番ね。










ーーーーー

*ギルドマスター視点です。




「私は構いませんよ。どうでしょう。この際5人でバトルロワイヤル形式で審査を行うのは。フェルさんもいいですか?」

ニッコリと笑ってリアは言う。

「ええ、まったく問題なくってよ。むしろこちらからお願いしようと思っていたわ。どうにも私の実力に疑問の方が大勢いそうなんですもの。後腐れなくやりましょ」

フェルミもニッコリと笑い返した。


そのやり取りをギルドマスターは思い出していた。

はぁ、女ってこえぇな。


ああやってニコニコ笑い合ってたあの時からもうキレてたわけね。

ぼこぼこにされた冒険者三人を見てそう思う。


それはそうと、

2人のが剣と剣がぶつかり合う剣戟を見て、

あまりに卓越した実力の乖離に戦慄する。

「はは、まさに次元が違うわ」

他の職員達も開いた口が塞がらないようで、

審査も忘れて、見入っていた。


リアが木剣を振り下ろし、薙ぎ払い、突きを繰り出す。

それを、フェルミと名乗る女性は

躱して、躱して、躱した。


そして、フェルミが反撃に上段からの大振りを繰り出す。


だが、リアはそれを木剣の刃の部分で受け止め、流すように右へと逸らす。


ギギギ、と木剣が悲鳴を上げるかのような音がしている。


「フッ!」

だが、その攻撃を受け流すとリアはフェルミへと剣を切り返した。

剣を振り下ろした勢いで、前のめりになったフェルミはその返しの一撃をかわせない、筈だった。



「うわっと」

だがなんと、フェルミは足で踏ん張って前のめりになる勢いを殺し、

さらにその勢いで後ろに仰反ることで、リアの一撃を何とか避けたのだ。


「ふぅ、あっぶない」



そうして両者距離を取って剣を構え直す。


「うわ、リアさん相変わらずすごいテク」

受付嬢の1人が感嘆の声を上げる。

他の職員達もリアの剣技に釘付けになっていた。


背叛の騎士、リア・エリーゼ・ヴァイロンは元貴族にして最高位騎士の家系だ。

彼女はヴァイロン家が持つ剣のノウハウを下敷きに剣の腕を磨いたという。


そうして自由の騎士団まで上り詰めた。


確かに大した技術だ。

これが冒険者の中で最も美しく最強と言われる剣技か。


受付嬢たちが見惚れるのも仕方ない。

先程から見るに剣の腕なら間違いなくリアの方が上だ。


だが…


俺はフェルミという女性の方を見る。

さっきのカウンターとも言える剣の切り返し。


あれ普通かわせるか?


もしマグレではなく、

途轍もない見極めと反射神経で避けたというのなら、

身のこなしは間違いなくフェルミの方が上ということになる。


あのフェルミという女、本当に何者だ?

リアが妙に興味を持っていた時点でただものではないとは思っていたがここまでとは。


何にしてもこれほどの実力者。

もはや審査など必要はない。


彼女とリアを筆頭に攻めれば、あの

クラーケンでさえも倒せるかもしれない。


戦力不足の問題が一気に解決されたことで、俺は安堵した。


だが、それ以上に元冒険者として、この異次元の戦いに

気持ちが盛り上がる。


この最高峰の戦いをもっともっと見せてくれ。




***



そういえば…

2人の戦場の中でのびている3人の大男を見る。

3人はピクリとも動かないが、生きてはいるようだ。

ほんと馬鹿だよなぁ。だからやめとけって言ったのに。


相手の力量も見極められないとは。

しかも、肩書きのないフェルミの実力はともかくとしてリアの力量まで。


再び両者の激しい斬り合いが始まった。


せめて踏まれて死なないようにしてくれよ。

自業自得とはいえ、死なれると後処理が面倒だ。


戦いを集中して観戦したい反面、

倒れている男たちについても管理者として

考えねばならないギルドマスター、カジットであった。







読んでくださりありがとうございます。


ちなみに、話の補足ですが、フェルミナとリアの剣二太刀を真ん中で受けてしまった可哀想な大男は

リアをか弱い女性と侮辱した人です。


リアの地雷でもあったため、容赦なく撃ち込まれました。


この時リアが結構スッキリしていたのは秘密です。



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