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かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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番外編:カルラの話 後半


遠い過去が思い返されます。

フローゼ様と会った日のことが。

「カルラさん?」

沈黙するわたくしをセレーネさんはまじまじと見つめます。

「わたくしも魅せられただけですよ。フローゼ様。ルナ様のお母君に」

「ルナのお母さん!?」

「ええ。昔。貴族院という貴族専門の学び舎で、フローラ様に傲慢さを叩きのめされました。フローゼ様は権力の有無関係なく人は支え合えることを教えてくれました。だから、わたくしはその思想をささえたかったのです」

セレーネさんをわたくしはじっとみつめていました。

「わたくしたちは似たもの同士なのかもしれませんね」



最後にセレーネさんが私の右手に視線を移しました。

そこには私が先ほどまで食べていた饅頭がありました。

「食べないの?」

セレーネさんが尋ねてきます。

「今はあなたとお話してますから」

「私見ちゃったんだけどさ。さっきカルラさん見たことないくらい嬉しそうな顔してたよね。そのこと聞こうと思ってここにきたんだけど。好きなの?饅頭」

セレーネさんはニヒヒといたずらっぽい笑みを浮かべました。

まさか見られていたなんて…

「…」

私はセレーネさんをデコピンしました。

「あで」

セレーネさんはスライムの体からにゅっと手の形の液体を生やして、デコピンを食らった箇所を抑えます。

「何するのさ」

「相手の食事を盗み見るなど、社交の場でははしたないと捉えられますよ。改善してください。さぁ。あと5分で休憩時間は終わりですから。早く次の準備を」

「はーい」

そうしてセレーネさんは不満そうな顔で去っていきました。

「まったく」

セレーネさんからは他人の心に潜り込んでくるような印象を受けました。

わたくしは改めてフローゼ様に会ったときのことを思い出します。


貴族院で会ったときのわたくしは他の貴族と同じで、平民を下僕と考えていました。

そんなわたくしにフローゼ様は、

「ばかでしょ。そんなの」と言ったのです。


そのように言うなんて信じられませんでした。あの時はまだフローゼ様もただの貴族でしたのに。

その後わたくしは平民は下僕か否かというテーマでフローゼ様と議論を重ね、敗北しました。


フローゼ様曰く、平民を助けてあげれば、平民に笑顔が増える。そうすれば、こっちも楽しくなれる。平民は数が多いから、たくさん支えてあげればあげるほど笑顔が増えてとてもいい国になる。

だから、平民を虐げるなんてもったいないし、馬鹿のすること、だそうです。


フローゼ様は、「だから全部わたしのためなんだからね」と付け足していましたが、わたくしにはそれが建前で、本当はとても優しい方なのだと思いました。

いちいち言い訳をする彼女につい笑ってしまったのはいい思い出です。


わたくしはそれまで常に他者の輪に染まろうとする人間でした。

反対に自分の意見を持つことは苦手でした。

だから、貴族の傲慢な考えにどっぷりとはまっていました。

でも自分の中の判断基準くらいはあります。フローゼ様の方が、正しいと思ってしまった。そして、何より面白かった。

だからでしょうか。あんなにも強くフローゼ様についていきたいと思っていたのは。

けれど結局、わたくしこそ自分本位でしか動いていなかったのかもしれません。

フローゼ様が亡くなられたショックで辞職し、結果彼女の忘形見であるサン様に嫌われて、あの事件を止めることができなかったのですから。

わたくしが逃げ出していなければ…と今でも後悔は絶えないのです。





「意外ですね。カルラでもペースを乱されることがあるなんて」

その時、また背後から声がします。

声を聞けば、その主はすぐに分かりました。

「次はあなたですか。ルナ様」

わたくしは、顔をしかめます。

「あの子。面白いでしょう?」

「ええ。どこかフローゼ様に似ている気がしますよ」

「え?本当!?どのへんが?」

思いのほか、わたくしの言葉に食いついてきました。

だからセレーネ様に関心を持っていたのかと思っていたのですが、違ったようです。


わたくしは貴族院時代のフローゼ様の話をして差し上げました。

今まで誰にも話したことはありませんでしたが。

ルナ様が旅に出ると言って以来、初めて気兼ねなく話す事ができた気がします。


わたくしはルナ様へ合わせる顔がなくて、ずっと壁を作っていましたから。

今少しだけその壁を踏み越えられたのは、

セレーネさんがルナ様がわたくしを尊敬していると伝えてくださったからでしょうか。


わたくしはもう少し、ルナ様と向き合うべきなのかもしれません。

それに気づかされただけでも、

セレーネさんには感謝しようと思うのでした。





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