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ハズレスキル『魔石生成』で追放された僕、辺境で「あんぱん」を作ります ~貧困領地が大発展していくまで~  作者: きいろい なつ
第二章 ノルデンに迫る金融業編

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第6話 雪の下の命


 深夜、暴風雪の猛威はピークに達していた。

 ゴオオッ、と地鳴りのような咆哮を上げる吹雪のなか、突如として激しい鐘の音が鳴り響く。

 警備隊の詰所に、雪まみれの伝令が飛び込んできた。


「た、隊長! 旧市街の端、山裾に隣接する住宅区で雪崩が発生! 家屋三棟が完全に雪の下に埋まりました! 住人が閉じ込められています!」


「なに……!?」


 ローグが即座に立ち上がる。傍らに控えていたジークも、すでに大剣『紅蓮の守護』の柄に手をかけていた。


「生存者の救助に向かう。全員、魔道ランプとスコップを持て!」


「待て、ローグ! 俺も行く!」


 ジークの眼光が鋭く光る。


「ジーク。お前がいっても、足手まといに――」


「いや! 最近、俺の【危機察知】スキルが変化したんだ! 今なら、取り残された領民の危機も、察せる!」



「なるほど……! なら、頼んだ」



 ◇



 現場は凄惨な光景だった。

 山側から崩れ落ちた大量の湿った重雪が、住宅を無残に押し潰している。

 吹雪で視界は遮られ、氷点下の冷気が無情にも体力を奪っていく。


「頼む、助けてくれ! 中に……中にまだ子供が二人いるんだ!」


「こっちの家も屋根が歪みかけてる! いつ押し潰されるか分からねぇ!」


 あちこちから悲鳴と叫び声が上がり、現場はパニックに陥っていた。


(くそっ……どこだ!? どこを優先すればいい!?)


 ジークは激しい焦燥感に襲われていた。

 視界を奪う白銀の暗闇の中、あちこちから助けを求める気配が混じり合って伝わってくる。

 あっちも危険だ、こっちも今すぐ掘り起こさなければ窒息する。


(落ち着け……焦るな! 集中しろ!)


「ジーク! 惑わされるな!」


 ローグの低い、だが圧倒的に静かな声が吹雪を切り裂いた。

「崩落の危険が高くてかつ生存者がいる場所を指し示せ。掘り起こす指揮と人足の配置は……俺がやる!」


「……! ああ……頼んだぞ、ローグ!」


 ジークは深く息を吐き出し、感覚を一点に研ぎ澄ませた。

雪の層を透かし見るように耳を澄まし、匂いを嗅ぐ。


「——あそこだ! あの倒壊した梁の下だ!」


「第二班、第三班、ジークの指すポイントへ集中配置! 支柱を立てて上の雪を支えつつ、横から掘れ! 急げ!」


 ローグの的確で冷静な指揮が、パニックに陥っていた警備隊員と除雪作業員たちに秩序をもたらす。

ジークの卓越した勘と、ローグの組織的な指揮統制力。

 二人の長所が噛み合った瞬間だった。


「うおおおっ!」

 

 ジークは自らもスコップを叩きつけ、持ち前の腕力で雪塊を破砕していく。


「見えたぞ! しっかりしろ!」


 掘り起こされた隙間から救出されたのは、身を寄せ合って震えていた幼い兄弟と親だった。


「助かった……助かった……! ありがとうございます、ありがとうございます……!」


 涙を流して感謝する住人を抱え上げ、ローグが静かに頷く。


「怪我人を仮設の救護所へ運べ! まだ埋まっている者がいる、作業を止めるな!」


 

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