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 1.  

 ここは日本のある片田舎。度会愁という高校生が住んでいた。特に特徴もなく黒髪に黒目の普通の日本人である。ただ、歴史や政治の話になると右に出るものはいないが、それ以外は並といった評価を教員人にされている。

 学校も終わり、放課後になり愁はいつも通り友人と帰路についていた。

「なぁ愁はこれからの人生とか考えたことあるか?」

「…まだ考えたこと無かったな。お前はなんか考えてるのか?」


「まぁ、映像系とかになろうかなぁとかは考えてるよ。興味あるし。大学進学してそっちの道に進もうかなとは考えてる。」


「なるほどな。やりたいことから決めるのもありか…なら俺は教員か政治家にでもなろうかな。誰かを導くのとか興味あるし、国をもっと良くしたいし。」


 二人がそんな雑談をしていると交差点に出た。


「それじゃまた明日な。」

「あぁ、それじゃまた明日。」


 友人が交差点を渡ろうとしたときだった。


「…もう、刑務所に入るしか…せめて一人殺してから…」


「ん?なんだあの人…?」


 愁は背後に気配を感じ、振り替えると全速力で包丁を持った男が一直線に友人の方へ走ってきていた。


「っ!危ない!」


 愁はとっさに友人を庇った。腹部に熱いものを感じ、見てみると包丁が綺麗に刺さっていた。


「…?!愁!てめぇ!」


 友人は男を押さえつけた。周りに人が集まってきており、男は警察官に押さえつけられていた。友人は愁の方へ駆け寄ってきた。


「おい!愁!死ぬな!」


「…なぁ」


「…!なんだ?!」


「…俺は…お前が...親友で良かったよ。ありがと…な…」


「愁!バカやろう!死ぬな!」


 普通の高校生としての度会愁の人生はここで終わりを向かえた…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…ここは?俺はさっき包丁で刺されて死んだはず…てか眩しい…」


 愁が目を覚ますと雲の上のような澄んだ天気の場所にいた。地面には草や花が一面に咲く草原だった。触ろうとしてもどこか掴めない。なぜ立っているのかも疑問なくらいだ。


「どこなんだここは。天国なのか地獄なのか…流石に地獄ではないか。」


「そうだ。流石にここは地獄ではない。」


「っ?!誰ですか?どこから…」


 聞こえた方向を振り返ると緑と白の服を着た

 愁より10センチ程小さな女性ともとれる人が立っていた。


「貴方は?」


「ごめんごめん、驚かせちゃったね。僕はプリロダ。人呼んで自然の神ってやつかな。」


「自然の…神…?ほんとにそんな存在がいるのか。」


 愁は目の前の存在に困惑していた。いきなり自然の神と名乗る人物がいるので当然である。


(まず本当に神なのか…?怪しすぎるぞ)


「分かるよぉ。いきなり出てきた人が神を名乗るのは怖いよねぇ。」


「…心が読めるんですね。」


「当たり前だよ~僕は神様なんだからね。」


 胸を張ってそう答える姿は子供にも見える。


「あ、今僕のこと子供っぽいと思ったでしょ。これでも君たち人間の何万倍も生きてるんだからね。」


「…その割に身長ちっさいですね。」


 愁が呟くと周りの空気が変わった。


「…火で炙られて死ぬか、水で溺れて死ぬか今なら選ばせてあげる。」


 プリロダは冷たい目で両手の上に水と火を掲げながら愁に近づいた。


「すいません!すみません!冗談です!冗談です!あープリロダ様は身長が高くて可愛いよなぁー!あははー!」


 愁が誤魔化してわざとらしく笑った後プリロダを再び見るとジト目をしてこちらを見ていた。


「…まぁ今回は許してやろう。次はないからな。」


 白い髪を靡かせて困ったように答えた。愁はその様子を見てホッとした。


「まぁ本題に移ろう。」


 プリロダが真剣な眼差しで愁と向き合う。


「君、度会愁は前の世で死んだ。しかしその亡くなり方が善の行いが最高神様の目に偶然止まってな。そういう人間を始めとした生き物はある世界に魂を転生することになっている。」


 歩きながらプリロダは語っていた。愁はにわかには信じられなかったが、今はこの人を信じるしかなかった。


「君がここに呼ばれたのはそんな理由だ。」


「…まぁ話は理解しました。でもその世界に行って自分は何をすれば?自分には何も力なんて無いですし。」


「そうだね。そこの説明をしよう。」


 先ほどまでの真剣な顔とはうってかわり笑顔で愁の方を向く。


「君がこれから行く世界は剣と魔法の世界!我々の世界ではファンタジアと呼んでいる幻想の世界だ!」


「剣と…魔法…?ほんとに使えるんですか…!」


 愁は目を輝かせてプリロダをじっと見つめる。


「あぁ使えるぞ!ただ、今の君があの世界に行ったところでおそらく…」


 プリロダは少し考える素振りをしてシンプルに答える。


「0だ!!」


「ええー!なら僕はどうすれば良いんですか?!」


「まぁそう焦るな焦るな。」


 プリロダは胸を張って自信満々に答える。


「私の力を君に貸してやろう。」


「良いんですか!!」


「ただし条件が一つある。」


 プリロダは愁に近づいて指を1本立てて真剣に伝える。


「君は君らしく自分のために生きること。君は前世で他人のために生きようとするあまり自分のことをないがしろにしてきた。」


 プリロダはどこか遠い目をして慈しむように澄んだ空を見上げていた。


「君みたいな子が昔いてね。他人のために命を懸けると意気込んでいたが、他人のために生きるがあまり自分に気を使わず過労死してしまったんだ。」


 プリロダが振り返り笑顔を愁に向ける。


「だからさ、君には他人のために頑張るのも良いが自分のために生きてほしいんだ。もう、あの子みたいに亡くなって欲しくない。幸せに亡くなって欲しいからね。」


「…なるほどな。分かったよ。俺は俺の生きたいように生きる。」


 愁は真っ直ぐな瞳でプリロダを見つめ答えた。


「その返事を待ってたよ!なら早速、僕の力を

 与えよう。」


 プリロダは自分の手のひらを愁の顔の前に当てる。プリロダの手から光が溢れる。


「………よし!これで力はあげたから、後は君次第だね。」


 愁の視界が徐々に白く包まれていく。


「うっ…プリロダ様…」


「それじゃあこの世界でも頑張ってねー!あ!僕に会いたかったら僕の祭壇頑張って見つけなねー。」


 そうして愁の最後に見たプリロダの顔はイタズラっ子のような笑顔だった。



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