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プロローグ

 

 初期には局部の著しい疼痛を伴い発熱を誘発し骨をも減少させていく。


 中期には皮膚の腫れと排膿を起こし継続的な感染源を体内に形成し全身のだるさ等が現れる。


 後期には、喋る事もできず食物の摂取も難しくなった上で、全身に多数の疾患を誘発し最終的に死に至る。





 これが何の病気かわかるだろうか?





 答えは虫歯。



  現代では歯医者に早い段階で駆け込んでいれば三十分足らずで治療が終了する人類を風邪と共に長い歴史をかけて苦しめてきた病気であるが。


 あれは治療を怠れば死ぬ病気であることを忘れてはいけない。

 そして何よりも自然に治癒しない。






 突然だが、自分は異世界転移したようだ。



自分の周囲には鎧を装着した兵士が歩き、明らかに未舗装な道路が広がり。道を歩く人々の服装も天然素材系の布服。そして、移動手段が馬車。


 今のご時世、南米ジャングル奥地の部族ですら大手メーカーのジーンズをはいてバイクで移動しスマートフォンをつついているのだ、おそらく目の前の光景は地球には存在する事はない。


 幸いそういう類いの小説は大好物のオタクなので大体は理解できたのだが…………現在の状況は最悪だ。



  道を土埃を上げて走る馬車の荷台にほぼ全裸に近い状態で手錠と足枷ご丁寧にも首輪もおまけされた状態で転がっているのが自分である。

 前を見れば騎士の方々がごみくずのような視線を向けてくるし道端の民衆が歓声をあげて石を投げてくる。


 悲報である、異世界にきてすぐに処刑されようとしているの人物、それが自分小幡玄人なのだ。


どうしてこうなったか?それは今日の朝にさかのぼる。


「くっそ眠い………」

 今日の朝、自分は勤務する病院へといつもと同じように向かおうと駅の階段を登っていた。

 寝不足のためか階段をのぼろうとして足を出すのが早くエア階段をしたりしていたが幸いす事に踏み外したりはしなかった。

 いつも朝、いつも駅だ今日も1日病院の中に密封されて昼の太陽に当たる事はないだろうと思うと気がめいってくる。


「今日はイベント最終日か」

 やがて、ホームに降りてこれまたいつものようにスマートフォンでソシャゲを始める。


 やがて、電車が来てスマートフォンをしまい乗り込もうとした。


「え?」

 その時だった、伸ばした足の爪先は電車を捉える事はなく空をきり全身が空にほうり出されたような感覚に襲われた。


 周りを見れば共に電車に乗ろうとした人混みはなく、ただ漆黒の空間が広がっている。


「うわあああああああ」

 落ちる、堕落する。

 ひたすら自身が落ちていく、未だにそこは見えずただ漆黒の中に入っていく。

 そして、自分は意識を失った。



「ううん、」

 目覚めるとそこは何かの建物の中であった。

 目をこすりながら周囲を確認すればどうやら石造りの建物のようで、かつてヨーロッパに旅行に行った時にみたケルン大聖堂のような荘厳で神秘的な場所だった。


 太陽光にあたりキラキラと光るステンドグラス、そしてグラスのまえには女神であろう女性をかたどった大きな像が安置されていた。


 ほえーとなって女神像を見ているとなにやら周囲が騒がしい


「救世主様だ!」

「女神の使いたる救世主様が御光臨なされた!」

「よくみろ!御二人もおられるぞ!」

 今まで女神像に気をとられていたせいか気がつかなかったが、よく見れば部屋の端に十字教の司祭が着るような純白のローブを纏った集団がいた。


 やがてその中でも一際豪華なローブを纏った奴がこちらに歩いてくる。


「救世主の方々、よくぞお越しくださいました」

「救世主?」

「はい!あなた様方は女神が遣わせた特別な方々。どうぞこちらえへ」

「わかった………」

 司祭の言葉におもわず一瞬だけかおをしかめてしまったが了承する。

 たいてい、こうゆうのはカルトと相場が決まっているという偏見を自分は持っており、無駄に宝石や黄金をじゃらじゃらと着けたローブ等もあいまって胡散臭く感じてしまい一瞬拒否反応が出てしまった。


 そして、司祭の言葉の中に気になる物があった。方々?

 自分以外に誰かいるのかと注意深く周囲を見ると自分の足元の近くに学ランの少年が転がっていた。

 動く気配はないが学ラン胸部が上下していることから生きているのが分かる。おそらく気絶しているのだろう。

「さあ、こちらに王がお会いしたいようです」

「もう一人はどうするんだ?」

「お目覚めになるまでお待ち致します。お目覚めになったあとに謁見の間へとお連れします」

 どうやら一刻も早く王に会わせたいようだが、こちらとしては自分のおかれている状況が全くわからない上にいきなり何処かに連れていかれるのは避けたかったのでせめて少年が目覚めるまでここに居たかった。


 そのためここに留まろうとしたのだが。いきなり、正面の扉が開かれ鎧姿の連中が来て半ば強引に連れていかれ事となった。


 そのまま両腕を持たれてズルズルと連行されて大きな扉の前にやって来た。扉は金銀宝石がふんだんに使用されており高さも一人二人分と大きく権力と金の誇示というのが見ているだけで伝わってくる。そして、直感的にここが件の謁見の間と言うやつだろうと理解した。

 やがて門が開きその中へと連行されていくのだが、この数分間に自分の王という存在への不信感が大幅に増幅されていた


 騎士の自分への扱いが荒い、先ほどあった司祭とは違って言葉も粗雑でしかもまるで物を扱うかのように自分を引っ張っていくのだ。明らかにしぶしぶというか嫌々という感覚が感じられる。そして、これテンプレでも悪い方のやつじゃ?と思っていたのだ。


 門を通り越して広い空間に出るとそこには法衣貴族というやつであろうか?これまた豪華な服を来た奴らが列をなしておりその中を通り王座の前に放り出される。


 慌てて起き上がると今度は周囲の貴族とみられる連中からの視線の集中放火を食らう、値踏みするような奇異な物を見るのかけして心地よいとは言えない視線にさらされる。


 そして、しばらく経過した後に陛下のご入場!という声が響き周囲の貴族達も地面に座り頭を下げる。自分もわざわざ喧嘩を売ることはないとそれに習って頭を下げて待機する。

 やがて面をあげよという声がかかり顔をあげるとそこには太った壮年の人物が王座に座っていた。

「おぬしが救世主とやらか?」

「えっと………その「陛下の御前だ!さっさと答えろ!」はい!」

「そうか、玉をここへ」

「かしこまりました」

 王とおもわれる人物からの問いにおもわず口が止まる。当然だ、今自分がどういう状態にあるのかさえもわからないのだからだ。

 言いどもる自分に対して横にいた騎士が問いただすように責めたて為におもわず肯定してしまった。

 そうすると目の前の人物は側にいた大臣とおもわれる人物に指示を出す。大臣は走り出しやがて水晶玉のような物を持ってくる。


「触れよ!」

「はい」

 玉に触れるように促され、それに従って触れる。

 すると玉から光が発せられてあたりを眩しく照らす。そして、玉の中に文字が浮かび上がった。


 氏名 小幡 玄人

 職業 歯科医

 レベル 1

 スキル 全言語理解



 おもわず口を開けて呆然としてしまった後に僅かな興奮がわき上がる。

 魔法、魔法だ!科学万能の世界に生きる身としては未知との遭遇であり好奇心が心で踊る。

 が、同時に嫌な予感が増大する。文字が浮かび上がった後から周囲の貴族や騎士の連中の視線が更に刺々しくなり耳を澄ますとレベル1だと………雑魚が!とか聞こえてくるし。


「して、歯科医とはなんぞや?」

「はい!」

 そしてこれがトドメだったのだろう。

「口の中の病気を治し人々の生活を向上する仕事です」



 そう言い終わった直後に自分は側にいた騎士連中に殴られた。


「この下賎な者め!」

「よくも陛下の視線に入りよって恥を知れ!」

 手冑や鉄靴で殴る蹴るを繰り返され腕の骨が折れ、顔が砕かれる、肋骨が折れて肺に刺さり息すらも苦しくなる。

 何故?と視線を向けると王が汚い物を見たくないというかのように追い払うように手を振っていた。

 そして、騎士の一人が自分の髪の毛を掴み顔を下にした状態で引きずっていく、途中わざとらしく力を込めて何度か地面に叩きつけられた。


 その後も衣服や所持品を奪われほぼ全裸の状態で牢屋などに入れられる事もなく床に転がった状態で複数人から暴行を受け続け。意識を失っては水をかけられ殴られるを繰り返し。

 気がつけば無理やり立たされた状態で不敬罪やら神殿への侵入やらで処刑される旨を告げられた。


 そして現在に至る。


 もはや反抗する気力すもない。

 ただなされるがままに引きずられていき絞首台にのせられて首に縄をかけられる。


 執行人が罪状を処刑の見物に来た民衆に読み上げ、民衆が大歓声をあげた。

「殺せ!」

「殺せ!」

「殺せ!」

 多数の礫が投げつけられ顔や身体中にぶつかり苦悶の声あがる。それを聞いて民衆は更にヒートアップし様々な罵詈雑言を罵りながら歓声を上げて石を投げ続ける。


 意識が薄れかけるが断続的に飛来する石の痛みで無理矢理覚醒させられ続けて考えすらもまでもできなくなってくる。

 ああ、遂に死ねる………諦めと絶望によりもはや生に対する執着すらもなく、ただこの痛みから逃れたいと思っいると突然痛みが止まる。


 霞む視界の中で民衆や騎士が上空を指差し騒いでいるのが見える。

 何だ?と自分も視線を上に向けるとそこには赤い鱗、大きな翼に山のような巨体が空に浮かんでいた。

「ドラゴン!」

 誰かがそう叫んだ直後に膨大な熱量を持った熱線が放たれ人々が焼却され巨竜の咆哮で大気が震え人々に恐怖が伝染していく


 だが、自分の耳には違うように聞こえた。


「ギャアアアアアアオ!(痛いのじゃ!歯が痛いのじゃ!もう耐えられないじゃ!)」


 その時自分は意識が朦朧としもはや死への恐怖すらもなくなっていおりまともな思考ができなかった。

 だから自然に口から言葉が漏れる。大学や病院でもはやルーチンとまで繰返したあの言葉が。


「今日は………どう…なされました……か?」

 そういうと同時に意識を失った。



 歯科医が呟いた言葉はドラゴンに聞こえていた。

 ドラゴンはそれにひどく驚いた様子で動きを止めてボロボロの歯科医をつかんで飛び去って行いく。



 歯科医はまだ知らないこの世界がどのような場所なのか。


 人々は知らない歯科医の知識と技術が世界の命運をも帰る事を。



 治癒の魔法でも治らず、薬も効果がなく。

 さらに万人が発症する最悪の病。

 神の奇跡さえで防ぐ事ができず、いつしか悪魔の呪いとさえも言われた災厄。


 本当の救世主は彼であった事を。
























やはり文章が薄いというか軽い気がする。

何が足りないのだろうか?

アドバイスなどにありましたら喜びます。

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