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不遇職と防具

 …皆様どうもおはようございます。私だよ。


 いやー、昨日は色々あったねぇ。大変だったよほんと。


 え?なんかいつも以上にノンビリだらけていないか?


 ……………


 …そうですねぇ、はい。だらけてるねぇ。


 なんでかって?


 そりゃあねぇ…




 起きたらお昼だったからだねぇ。ほら見てくださいよ。時計の針が午後一時くらい。いやー…寝過ぎちゃったわ〜。いやまじほんとに寝過ぎた…半日以上寝た気がする…。


 ってことで今日はレベル上げだとかそういうのはお休みにして、ダラダラと休日を過ごそうかな…と思った訳ですよ。今から行っても大して稼げないと思うしね。


 だからまぁ、こんなにものんび~りしているのだ。多分今の私を描くとするなら、目が横線になっている事だろうね。縁側でお茶が似合いそうな顔だ。


 そしてそして、私の素敵なご友人…普段は早起きのウィルチェさんでございますが、なんとまぁ珍しく未だお布団に突っ伏しております。

 というのも昨日帰ってこなかったんだよ。多分夜遅くまで工房で作業してたんじゃないかな。んで帰ってきたのが深夜か早朝で、そのまま布団に直行したと…。

 帰ってきた所を私は見ていないので本当の事は知らないけれど、ベッド横に置いてある木箱を見るにそうだったんだろうなって思った次第であります。



 そう。木箱である。それもそこそこの大きさがある。昨日の手のひらサイズな木箱とは訳が違う。

 うーん、どれくらいなんだと言うと…私の背丈と同じかもうちょい大きいかなってくらい。

 わかりにくい?仕方ないじゃん実際それくらいなんだから。ゆるちて。


 まぁそんな縦長の木箱が起きたらドンッて置かれていたわけですよ。流石にこれはちょっと私も困惑でありますよ。


 しかもだよ。正面?に張り紙で『起きたら開けてね』ってある訳ですよ。

 いやですねぇウィルチェさん。せめて何が入ってるかは教えて欲しかったな〜って…思わなくもないんだけれど、ま〜多分それを書く気力も無かったんだろうね。てことで寝ているウィルチェに合掌。お疲れ様…。


 「ふむ…」


 私は改めて木箱を見る。正直に言っちゃえば、中に何が入っているか…というのはわかっている。タイミングと大きさで大体わかるよね。持ってきたのがウィルチェなのもあるし…。


 ただやっぱこういうのは本人が起きてる時にやるものでは? と思っちゃう私。製作者と使用者がちゃんと立ち会いで行う方が色々とご都合がよろしいのではないかという感じだ。


 でもその本人が開けていいよって言っているんだよねー。好奇心が無い訳じゃないっていうか、むしろ気になって仕方ないので、早く開けてしまいたい気持ちがあるのも事実である。


 うむむむむ…


 ここは一度落ち着くべきだ。そう考えた私は、今まで全く触れてこなかった手元を再度動かすとする。ムニムニ


 「うーむ…やっぱ大きいとはいえ兎に変わりは無いよねぇ。」

 「………」


 何だねその目は。「はやく開けてしまえ」とでも言いたいのか。ちゃんと言葉にして言ってみたまえ。言葉にしないと伝わらない事だってあるんだぞー。グニグニ


 えー……うん、ロットがいるんですよ。私のベッドの上に。んで起きてからずっとこうしてる訳です。いえ~いモフり放題。さいこうだね。


 これが普段なら…ま〜軽い気持ちで私に突撃してきたり、逃げるロットを追いかけ回したり…もうドッタンバッタンしてるんだけどね。

 今日はウィルチェが寝ているってことで、一応従者らしいロットさんはおとなしくしているのですよ。にぎにぎ


 ま、おかげさまで私はあの割と痛い突撃でダメージを負わなくて済むし、ちょこまかと動き回りながら地味なダメージを与えてくるロットを捕まえなくていいと…。

 しかもですよ。いつもはやりたくても出来ないモフモフムニムニをこんなにも楽しめているのだ。


 あぁ…これだよこれ…この手元の幸せ具合を味わいたかったんだよ私は…。くぅ…毎日こうしたいのに…うぅ…どうしてなんだ…。

 じゃれ合いたい精神が行き過ぎているのだろうか…。でもさ、目の前にいたらそりゃもう触りたいじゃん?無理じゃん?我慢しろって?つらい…



 そんな日頃の鬱憤を晴らしてやらんと、起きてからひたすらモフっているという訳です。肝心のロットさんはムスーッとしてるけど…ね。まぁ暴れないのならこっちのもんって感じなので、是非あと数時間はそのままでいてくださいってね。ふへへ。


 しかし、私がそう考えた直後である。今までぬいぐるみかと思える程おとなしかったロットが、急にジタバタと抵抗を始めたではないか。


 くっ…何故だ…。何故いきなりそんな事を…!


 なんだい、また顔に出てたとでもいうのか。んぐぐぐ、もしそうだったとしてもロットに理解されたのが何か悔しい。

 ぬおおお暴れるんじゃない!私にモフられるのがそんなに嫌か!?愛玩動物みたいな扱いを受けるのなら主の眠りを妨げた方がマシなのか!?


 ドッタバッタと…ベッドの上なのでギシギシもある。つまりは何時もの事…私の平穏な休日は一瞬のして消え去った。

 ベッド上で魔の手から逃れようと抵抗する大きめの兎。そしてそれを捕まえようとする女が一名。言葉にすれば可愛いかもしれないが、実際の光景は醜いものである。わっちゃわっちゃしてる。



 当然、そんな事をしてれば何が起きるのか…なんていうのは幼子にもわかるだろう。


 「…うぁ…んぅっ…?あぁぁー…なに…?」


 その一声で面白いくらいピタリと止まる私とロット。そしてギギギという擬音が似合いそうな感じで首を動かし、二人(一人と一匹)は声の方を向く。


 「おはよう…なにやってるの…」


 寝起きなのに呆れているのがよくわかる。そんな私の素敵な友人が半身を起こしてそこにいた。


 「お、おはよう…。いやー…ね?別に何もー…ね?」


 どう見ても何かやっていたのが一目でわかる…そんな珍妙な体勢をした私達は目を泳がせながらぎこちなく挨拶する事しか出来なかった…。





───


 「別に開けちゃってよかったのに。」


 寝起きから普段の状態になったウィルチェ。その開口一番がこれであった。


 「だってさー…中身って多分アレじゃん?ならやっぱり製作者たるウィルチェと一緒の方がいいと思ってさー。」

 「わかってるなら尚更よかったのに…」


 頬に指を当てて、むにゅ〜ってしながらウィルチェは言う。その後「まぁいっか」とベッドから立ち上がり、木箱の前に立ちバーンと開け放つ。


 それ一面がそのまま外れるんだ…。扉みたいに開けるのかと思ってたわ。うむ、やっぱり開けなくてよかった…。もしあのまま一人で開けてたら勢いで倒れてた所だ。


 まぁ開けてくれたのでそうならなくて済んだのだ。倒れた衝撃でウィルチェが起きて、恥ずかしぃぃぃって事は無かったのであるよ。

 え?同じくらいの結果にはなっていただろう?ノーコメントで…



 それよりも中身ですよ。私の恥ずかし経験の事はどうでも良いのです。

 いざ…という程意気込まなくても良いのだけれど、客観的に見たらそう見えるだろうなってくらいにはウッキウキで開いた木箱の中を覗く私。


 …その際にそそくさと私の元からウィルチェの膝へと移動していったロットの事は気にしちゃいけない。気にしちゃ…いけないんだよ…。くそう…。


 悲しみと悔しさと寂しさを少し抱えながらも、気を取り直して中身の方へいこう。


 「わぁお…」


 思わず感嘆の声を漏らす私。そこにあったのは一体のマネキンだった。大きさは私と同じくらいだろうか…っていうか測定されてたし同じなんだろうね。だからこんなに木箱が大きかった訳だ。


 まぁマネキン自体の事はさておき、私が声を漏らしたのはマネキンに着せられていた物を見ての事だ。


 「どうかな。それっぽいでしょ?」


 ウィルチェが聞くまでも無いと言わんばかりの表情で、あえて私に声を掛けてきた。


 「うん。お願いした通り…いや、お願いした通り以上にそれっぽい!」


 だから私も笑顔で答えた。…返答に語彙が無いのには目を瞑ってほしい。いつもの事だ。



 うん。つまるところ、そこにあったのは私の防具だったっていう話である。武器を作る時に「こういうのが欲しい」ってイメージをついでに伝えておいたんだよね。

 そしてそれがもう出来ていて、私の目の前にある…んん~…はやい!早過ぎる!嬉しいけど!


 少々どころか割かし興奮気味に私は全体を眺める。


 とりあえず、わかりやすく言えば要所要所に金属製の鎧…(合ってるのかな)が付いてるシスター服みたいな感じである。ざっくり言い過ぎ?私に知識と語彙が無いだけだよ…諦めてほしい。

 色はこれまたざっくり言いますと、青!白!黄!鉄!って勢いよく言えるくらいわかりやすい。メインは青、サブに白、装飾に黄、鎧部分が鉄の色…。細かく言えって?私に語彙が…


 ま、まぁ、私の悲しい貧弱語彙には改めて目を瞑っていただいてね。先にね…いやほんとお願い…私も己の貧相な知恵が悲しいの…。


 気を取り直しまして、私が伝えたイメージっていうのは一目で『ヒーラーっぽいとわかるやつ』…ていう恐ろしく大雑把なあやふや過ぎるものだった訳ですよ。厳密に言えばもうちょっとだけ細かく伝えたよ…?ほんとにちょっとだけ…うん…。

 そんなデザイナーぶちギレ要望がなんとまぁとてもとても素敵な物となって目の前にあるんですよ。もう大興奮でございます。ウィルチェは天才かな。才能しか感じない。ご飯奢るだけじゃ全然足りない気がするので、見合う金額か物をこれから頑張って稼いでくるね…。


 「カンナちゃーん?眺めてくれるのも嬉しいけどさ…装備はちゃんと着ないと意味が無いんじゃないかなぁ。」

 「え?あ、そう…だね。そうだよね!」


 いけないいけない。放心しかけていた…。初めての立派な防具だったからついね。あと費用的なのが怖くて…ね?


 はい、着ます。ってことでまずはインベントリにしまって…


 「え、これこのまま装備出来るんだ。」

 「うん。その木偶人形はそういうやつなの。便利でしょ?」


 こくこくと頷く私。素直に驚きだよ。便利だわぁ~…ていうか多分みんな知ってるんだろうな。私が一度も全身交換しなかったからだわ…。

 うん、そんな訳で防具達から表示されている[装備する]をポチっと押すとしよう。


 …別に面白みもないよ。チラッとインナーが見える!とかも無く、武器を取り出す時と同じで光の粒子みたいなのが、一瞬で防具をピッタリ着せてくれる。

 一応言っておくと、一つずつ手動で着ていっても反映はされるよ。私は装備する…というか着る物が少なかったから今まではそうしてたしね。まぁ、多分今後はしないと思うけど…。着方がわからない…。


 「おぉ…」


 思わず漏れる感嘆の声。見た時点で良いと思っていたけれど、いざ実際に装備してみるとまた良いと思える。なんていうか、ファンタジーの世界だ!っていう感じになった。わかりにくいと思うけど、私は今本当にそんな気持ちになってる。


 「どうかなー?違和感とか無い?」

 「うん、全然無い。びっくりするくらい自然だよ。すごい…」

 「そりゃよかった。あ、姿見置くから見てみなよ。」


 私がウィルチェに返すと、当の彼女は何やらニヤつきながら虚空…インベントリからデンッ!と人の背丈はある姿見を取り出した。何でそんな顔しているのだろうね。変な顔してたかな…。

 …どうでも良い情報でロットくんは悲しそうな表情でウィルチェの膝から転げ落ちました。勢いよく立ったからね…。かわいそうだけど体は丈夫なので問題無いのです。


 ま、一先ずわからないものは置いておこう。なので私は置かれた姿見で装備した私を見てみる事にした。


 「…え、それっぽ過ぎない?」


 そこにいたのを私…なのは当たり前なんだけど、この世界の私は現実の私とは少し違う訳だ。つまる所、予想以上にゲームとかにいそうな戦うシスターって姿の私がいた。自分の事ながらあまりにも何かに出ていそうな姿にびっくりしてしまった。金髪碧眼の力ってすごい…本来の姿なら何かちがうとか思っていたかもしれない。


 「ねー!私もびっくりしたよ。カンナちゃん似合うだろうなぁって思いながら作ってたけど、ここまでとはねー…。」


 それからというもの…色々と私に称賛の言葉を投げる機械と化してしまったウィルチェ。「かわいいねぇ」「良いねぇ」「ここがね~」とかそんなやつ。ほんと、生まれて初めてそんなに言われたよ…お陰で満更でもないって私もニコニコ顔で自分の恰好眺めてたわ。他人に見せたら「ウワッ…」ってなるくらい二人で騒いだ…。


 …ただし二人ともあまり語彙は無かった。私だけじゃなかったんだ…ウィルチェもよく知らなかったみたい…謎の安心感!



 そうやって一通り騒ぎました後、私たちはお互い満足した顔で向かい合う。ここからは真面目というか数値的なお話であるからだ。


 「出来る限り付加効果が付くようにはしたけど、素材と何より私の腕的にそれが限度だったんだよねぇ。」


 今は二人の間にステータスと装備一覧を表示して、それを見ている所である。


 「いやこのレベルと考えれば十分過ぎると思うよ。それに単純なステータスが比べ物にならないくらい高くなってるし、むしろよく付加効果まで付けれたね…。」


 まぁわかりにくいと思うから全体のステータスを出そう。


【カンナ】ヒーラーLv14


・HP:1150/1150 ・MP:1520/1520

・STR:35

・VIT:52

・SPD:30

・DEX:32

・INT:62

・MND:91

※割り振り可能なステータスポイント:39


・物理攻撃力:255 ・物理防御力:266

・魔法攻撃力:286 ・魔法防御力:453



 こんな感じである。一応捕捉しておくと、武器防具、それと腕も全て含めた数値になってるよ。どんくらい変わったかと言うと物理魔法共に100以上増えた。しかもHPとMPも増えた。レベル相応…というか私が調べてた数値より上である。

 それにまだステータスポイントがあるのだ。ここからもっと伸ばせるんだから、装備は十分過ぎる性能をしているって訳です。でもウィルチェは「もっと頑張れた気がする」と少し悔しげである。早くも職人になってきたのだろうかね。


 「いやほら、付加効果はレベル20超えるまではそこまで気にしなくていいって言われてるし…ね?」

 「うーん…確かにそうだけど…気にしちゃうんだよねーこういうの。」


 とまぁ、こんなやり取りをダラダラ続けている訳です。ゲームらしいっちゃらしいから嫌いじゃないし、こういう装備とかアイテム製作のランダムな数値っていうのは、拘る人はどこまでも拘りたくなる魔性の要素だから仕方ないと思うんだよねー。

 うん、まぁ気持ちはわかる。私も最終的に気にしちゃうタイプだし…いやぁ、思い出したくないね…。


 …んで、それも段々と落ち着きまして、話しは今後の方針に変わり始めた。


 「えーっと、結局カンナちゃんはどっちメインでやってくつもり?」


 どっち…というのは、近接か遠距離か。物理か魔法か。私がどっちでやっていくかという意味である。今まで散々見てきたと思うけど、私の戦い方はよくわからない適当な感じだ。ソロだからと甘えているけれど、今後も同じ感じでやっていくとなると、私の装備を作るウィルチェ的には非常に困るって訳。どのステータスを高める装備を作ればいいのか、先ほども話した付加効果は何を当たりとして狙っていけばいいのか。その他色々と影響が出てくるってものですよ。ウィルチェとしては出来ればハッキリして欲しい所である。


 これについては私も重々承知している。だから一応の方針を私はやっとこさ決めてみた。


 「んーっとね。メイン近接物理、サブ魔法でやってみようかなって。」

 「はー、なるほど…理由を聞いてもいい?」

 「えとねー…」


 私はこう決めた理由をウィルチェに話す。


 まずクドいけれど、私はソロプレイヤーである。なので戦闘に入った際は基本的に全て自分で解決しないといけない。これが前提だ。

 んで以前は魔法の逃げ撃ちでいいかなって思っていた。でも武器として受け取った物は大槍。杖として使えはするが、その本分は近接武器である。ここでまず悩んだ。でも実際に使ってみて、存外使いやすかった。これがまず大きい。


 そして冷静に考えてみて、そもそもの話し…ヒーラー系列に遠距離魔法が少ない。これもあった。あの時は魔法でいいや~とか考えてたけれど、魔法を習得するには神官になって神聖魔法を覚える事になるってのは当然として、それ以外の魔法だとSP5を消費して初期レベルの属性魔法程度しか使えない。根本的な手数が少なすぎるって話しだ。まだ神官のスキル情報が出回っていないのも一応あったりするけど…まぁこれは仕方なし。早い時期だしね。


 それで一番痛感したのは昨日のゴブリンとの実戦である。実際戦ってみて、逃げ撃ち出来る状況なのかを把握出来る脳みそを私が持っていない。喜び勇んで槍を振り回していたしね…。魔法一度も使ってない。ならずっと槍を振り回していた方が強いじゃんって思った訳です。けん制や物理が通りにくい敵に対して魔法を使ったりでいいんじゃないかなってね…。


 後はステータス的な話しをしておくと、ヒーラーはINTとMNDの伸びが良い。次点でVITが伸びる。STRとSPD、DEXは伸びにくいというステータスをしている。

 じゃあ物理ダメなのではと思うかもしれないけれど、このゲームは単純なステータス以外にもダメージに関わる要素があるのだ。具体的に言うと、武器の重さと速度である。運動エネルギーってやつ?


 そう、私はその二つを両方補えるのである。武器の重さは義腕が。速度は魔力推進が…。なのである程度の近接火力は出せるって訳だ。勿論それ用にステ振りしてやっている人には劣る。でもそれに食いつける範囲になるのではと打算している。まぁこれで近接専門職と同等かそれ以上の火力出せますなんて言ったら、それは虫が良すぎるって話しだよ。


 なので近接は割といけそう。そして魔法については元々のレベルアップで伸びる分や装備の効果でこちらもそこそこにはなるはずだと思っている。勿論魔法専門職には追いつかない…。


 つまり、平たくなる。特徴の無い感じだ。めちゃくちゃ頑張って良く言えば何でも出来る形。素直に言えばなににもなれてない形。オンラインゲームで一番嫌われるタイプだね。


 ここで前提に戻る。私はソロなのである。ならこれでも良いのである。そういう事です。行き詰まったらもうその時に考え直そうじゃないか。



 と、そんな感じに私はウィルチェに力説する。まぁウィルチェも納得してくれたらしく、

 「んー、じゃあ私もそっち関連のスキルにしてくね。」

 って言ってくれた。分かれてるんだ、スキル…それは知らなかったよ。


 「ま、私がカンナちゃんの方針に口出しする資格は無いし、どう言ってくれても合わせるつもりだったよ。」

 「それはー、まぁ嬉しいんだけど…ウィルチェはいいの?」

 私が聞くと、ウィルチェは「何が?」至極不思議そうな顔をした後、

 「あぁ…カンナちゃん。何度でも言うけどね。私は好きでやってるの。私は自分勝手にカンナちゃんを助けてるだけ。迷惑だと思った時…その時だけ私を気にすればいいの。カンナちゃんが心配するような事は何もないよ。」

 「……。」


 思わず開口して止まる私。そういえばそんな事言っていた気がする。でもこうしていくよ!って決める時にそんな当たり前みたいにさらっと言われるとは思っていなかったんだ。私が言うのもあれだけど、この人本当に良い人じゃない?私の相方なんですよ。えぇ。



 「はいはーい。とりあえず後のことはご飯食べてからにしよ?お腹へっちゃった。」

 そんな感じで手をパンパンと叩いて支度し始めるウィルチェ。いきなりの転換だったので私は少し遅れてから、「あ、うん。」と間の抜けた返事をした。


 何から何までやってもらったり、してもらったり…改めて私は彼女に会えてよかった、心に強く思う。


 じゃあ私はどうするのか…それは決まってる。強くなってそれに応えよう。あの日にした約束を果たそう。そうするしか、何も出来ない私に出来る事は無い。馬鹿らしいかもしれないけれど、馬鹿な私には丁度いいんだよ。


 「神様へお祈りですか。シスターさん。」


 そうやって考えていた私に、入口で待っているウィルチェが言ってきた。


 「…そうかも。」

 「かも…じゃないでしょー。折角それっぽかったのにー。」

 「あはは、ごめんごめん。さ、行こっか。」


 部屋から出る私達。既に登り切った日差しは明るく、今日という日にはぴったりだ。


 うん。何はともあれ、まずは今日という一日を頑張る事から始めよう。とりあえず…何を食べるかっていうのを決めようか。

気が付いたら期間空いてました。。。

そしてなんとこの作品書き始めてから3年経つらしいです。マジですかとびっくりしました。

それなのに未だ序盤みたいな雰囲気出てるんですけど、一体どうなっているんでしょうね。いやほんとすいません。気の乗った時しか書かないが故にこうなってます。


正直に答えてもまだ序盤…多分他作品様だと10話以内で済むくらいのアレだと思ってます。話しが進まない事に定評のある作者です。10年以内…いえ寿命までには完結目指したいですね。


次回からお外多めにしていきたいです。いつも言っていますが、作者的にはカンナさんにぶらついて欲しいと思っているので…

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