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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
一章 異世界召喚
9/30

過去と悪魔

前回の撮影での一幕。


作者「ヤバいヤバいヤバい!!」

雄次郎「どうしたんですか?」

作者「間違えて台本(書き貯め)消しちゃった!!どうしようあと三十分なのに!」

雄次郎「……頑張れ!」

俺は捨て子だった。


産まれて間も無く道路脇に捨てられ、段ボールと少しの毛布にくるまれて泣いていた。


それが最初の記憶。


どのくらい過ぎたのか分からなかったけど、誰かに拾われた。

とても優しい雰囲気を持つ人だった。


その人が俺の母親になった。

空閑 美依。

捨て子の俺を拾ってくれた人だ。


数日間は栄養失調で、危険な状態になっていた様だが、何とか一命をとりとめたらしく、生き残った。


その病院を出ると俺の引き取り手としての手続きを済ませ、母親になった美依さんがいた。


前後の記憶は曖昧だったが、俺はいくつかの検査などを済ませた後、少し入院してから美依さんの家族の元へと行った。


子供は居らず、美依さんとその夫だけがいる家庭に行った。


そして家族になった。


俺の父親になったのは空閑 宗也。

美依さんと同じ優しい雰囲気を持っている人だった。

俺の名付け親でもある。


俺は直ぐにこの人達になついたらしい。

両親も俺によくしてくれた。


俺はすくすくと育った。

やんちゃで、我が儘だったが、それは一般的な範囲で、近所の人からも微笑ましく見られていた。


この時に聖にあった。

聖の家は家の隣で、よく遊んだ。


この頃の聖は俺よりも元気過ぎて、近所のガキ大将として君臨していた。

今からじゃ思いもよらないな。


一緒に幼稚園に通い、学校も一緒になり、同じ登校班、帰りも一緒になった。


聖はいつも俺と一緒にいた。

授業の席も隣だったし、休み時間も一緒に遊んだ。


そんな一般的で、平和な毎日が続いていた。


しかし、あるとき、俺は誘拐された。

小学三年生の時だ。

この頃の俺は周りよりもチビで、小一位に見えたのだろう。

その時に限って聖は風邪で寝込んでいた。

この頃から病弱だったのだ。


俺は小企業を営む父への身代金目当てに誘拐された。

誘拐犯の計画はお粗末だった。

自分の家のアパートに立て籠り、睡眠薬で眠っている俺を縛り付けて、ただ警察相手に喚き散らすだけの薬中だった。


両親は通報するなという警告を無視して直ぐに警察を呼んだ。


俺はその判断は正しかったと思う。

薬中を刺激することになるが対応が遅れるだけで手遅れになるかもしれないのだ。


両親の判断は正しく、誘拐犯は立て籠ってからたった三時間で捕まった。


俺も無事救出された。


両親は泣きながら俺に謝り、そして抱き締めてくれた。

愛されているとわかった。


しかし、後日、小企業を経営していた父は多数の借金を抱え、無職になった。

俺が誘拐された事件の後、子供の危険を省みない親が直ぐに警察に通報した為、スピード解決した

のだという噂が広がった。


小企業は相手の信用が第一だ。

その相手に血も涙もない人間だからと、見捨てられたのだ。


勿論、それはライバル企業の策略だった。

ただ、誘拐事態はライバル企業は関与してないし、ライバル企業は誘拐事件に便乗しただけだ。

俺がその事を知ったのも数年後になる。


父は自殺した。

事故に見せかけた自殺だった。

その生命保険で借金の三文の一は返せた。


俺は母型の実家に引っ越した。

引っ越す時に聖に盛大に泣かれたが、俺が原因の一部であることを子供ながらに理解していたし、父親が亡くなった事のショックもあって、成り行きに任せてしまった。


母は実家の近くで職を掛け持ちして、昼夜問わず働いていた。

俺は新しい生活に馴染めずに学校でも前とは売ってかわって無口になった。

父の死とその原因が自分という事実の心の傷が大きかった。


引っ越して来て半年過ぎ、俺が四年生になって二ヶ月、母が倒れた。

そして二日で亡くなった。


衰弱死だった。

何と借金は利子を含めて全て返済されていた。

母がどれだけ頑張ったのか、今になって漸くわかった。

借金を返済仕切った事で糸が切れてしまったのだろう。


ただ、母と最後に笑って話せた記憶があるのは母が死ぬ八ヶ月前。

誘拐事件の直後が最後に、母と俺との楽しい記憶は皆無だった。


祖父母だけが俺に残された。


近所では俺が呪われた子供だという噂がたった。

捨て子、無口、両親の悲惨な末路、異様に綺麗な容姿。


その全てが俺にそのアダ名つける事に直結した。


学校で虐めも起きた。

子供というのは総じて親の言った事を信じてしまう。

俺が呪われた子供だという事を信じた子供が俺を虐め始めたのだ。


そして祖父母も母の様に衰弱していった。

この人達も両親と同じ様に拾い子である俺に愛情を注いでくれたが、娘の死と近所の俺を見る目のダブルパンチが祖父母を追い詰めた。


そしてあるとき、筆箱に着けておいたイルカのキーホルダー、引っ越しの日に聖から貰った大切なお揃いのキーホルダーを壊された。


俺は今までの分も合わさって怒り狂った。

虐めっ子達を叩きのめし、周りで囃し立てていた奴等も殴り倒した。


何故この世界は俺に冷たい?

何故この世界は俺の大切を奪う?

何故?何故?何故?

俺はかなりヤバい状況だった。


俺が暴れた日から虐めは無くなった。

その代わり、周りからは化け物を見るような目で見られた。

暴れた日からちょうど一ヶ月後、祖父のガンが発覚し、四ヶ月後、死んだ。


祖母は狂ってしまい、俺祖母と共には母の姉嫁ぎ先の家に引き取られた。


その日から俺は人を心から信用しなくなった。


俺を信用してくれた人は居なくなってしまった。

これから出来るかもしれない。

出来ないかもしれない。

ならどうする?

出来るまで待つ?


そんな自問自答を繰り返した。

そして結論に至った。


信用されるような人間になろう。

だけど、俺は誰も信用しない。

居なくなってしまうのがイヤだから。


小学六年生の冬、俺は新しい環境で今の“人に心を開かない人間”として新しい人生を歩む事を決めた。


新しい家は娘がいた。

九条院 静。

九条院財閥の一人娘であり、一緒に異世界に召喚された勇者の一人で、この頃は俺に心を開いていなかった。

静とはこの後色々あるのだが、それは割愛。


春になり、俺は中学生になった。

地元の中学校の入学式の後のホームルーム。

俺の自己紹介の時。


「空閑、雄次郎です。敬語なので堅苦しいと感じるでしょうが、元々それしか無いので勘弁してください。どうぞ宜しく」


俺は“仮面”(けいご)“嘘”(あたらしいじぶん)をつけて、新しい人生を歩もうとした。


その後、色々あって、今見たいに少しは柔らかくなったり、新しく仲間も出来たりしたが、俺は姫様に出会うまで誰も信用しなかった。


━━━


──これがお前が人を信じない理由?


俺は現在、真っ暗な空間に一人でいる。


──確かに呪われた子供だな。


そして、俺より少し低い声が話しかけてくる。


ああ。

そうだな。

その通りだ。

俺は呪われた子供だよ。


──何だ張り合いの無い。


悪いか?


──いいや。逆に使いやすくて調度良い。


使いやすい?


──覚えていないのか?お前はあの“魔王”に魔力を植え付けられたんだよ。

つまり俺をだな。


へぇ。

で?


──フフフ、既に生きる事を諦めているのか?ま、どうでも良いか。

直ぐにお前の体は俺に操られる。

いや、それにしても、お前の潜在能力は素晴らしいな。

普通ならあの“魔王”に従うしか無くなるのだが、お前の力ならその縛りを無くす事が出来る。


………それなら姫様は守れるのか?魔王に委ねる事無く?


──勿論だ。

力不足で魔王を殺す事は出来んが、逃げる事はできる。


……良いぜ。

それなら俺の体をくれてやる。


──フフフフフフ。

良い目だ。

では、貴様の中の《使徒》が目覚める前に──


──……じ……う!


?何だ?

先程の声ではない鈴のような声が聞こえた。

同時に少しずつ空間が明るくなっていく。


──ゆ……じろう!雄次郎!雄次郎!


!!!


──ほう。

ここまで声が届くとは、お前がどれだけあの女の事を信じているのかわかるだろう?ま、その“心”も俺に取り込まれるのだがな。


姫様の声を聞いて思った。

あの声を聞いた瞬間思ってしまったんだ。


……まだ生きていたい。


──今頃“生”にしがみつくか。

しかし、遅いわ!


何も無い空間から黒い手の様なモノが出てきて俺に襲いかかる。


イヤだ。

まだ死にたくない。


……やっと人を信じられたのに!


俺は目を閉じた。


──なっ!!


俺が黒い手に怯えて目を閉じていても衝撃は来なかった。


薄目を開けて見てみると──


「……天使?」


黒い手を押さえていたのは、純白の羽根が生えた真っ白な人影がだった。

いや~、危なかったです。

こっちの方の書き貯めも前回と同じ様に消してしまう所でした。

前回はまだ書き直せたんですが、こっちは無理ですね。

何せ重い。

雄次郎の過去が重すぎて不快だった方スイマセン。

しかし、仕方がないんです。

作者が主人公が重い設定背負ってるの凄い好きなんです。

ご理解ください。

本日はあと一話だけの更新で終わりです。

11時の更新です。

明日からは……一日一話か、二話ずつ更新していきます。

誤字脱字、感想など受け付けております。


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