天使と覚醒
前回の撮影での一幕。
作者「うぅ……ぐすっ」
魔王「苦労したんだな……ずるずる」
雄次郎「え?何?何?どうした?」
作者「こんな重くしなきゃ良かっだ~」
雄次郎「自業自得だろ!泣くなよ!」
聖&静「「私達の下り少ない……」」
「天使?」
目の前に現れ、俺を守ったのは真っ白な人影だった。
──チッ。
今、覚醒したのかよ。
目の前の人影は何も言わない。
ただそこに存在していた。
──《使徒》め。
何故この人間の体に巣くう?他にも良い寄り代があっただろうに。
「……寄り代では無い」
初めて人影が喋った。
男とも女ともとれる不思議な声だった。
「この方は今は亡き“主”の後釜になり得る可能性を秘めている」
──へぇ。
じゃ、何か?コイツが《神》を背負い切れるとでも?
「試す価値はある」
──フフフ、やめとけよ。
コイツの精神力でなれるのは精々俺の様に《大罪悪魔》か、《使徒》位だぜ。
何やら意味不明な単語が飛び交っていた。
神?悪魔?使徒?何だそれは?
──ま、どうせなら俺はお前と戦って見たかったんだが……今はそれよりもコイツを“手に入れる”方が先だ。
「させるとでも?」
──出来ないとでも?
瞬間、目の前が爆ぜた。
白と黒の光がぶつかり合い、拮抗した。
「っ!」
──クソッ!
力は互角な様でぶつかり合った白と黒は殆ど動いて無いように見えた。
が、少しだけ黒が押されている。
──ぐぅぅぅぅ!!
「……今なら!」
白い人影がそう言った瞬間、ぶつかり合いが終わった。
白い光が消えて、黒い光が目の前を通りすぎて行った。
「少し失礼します!」
状況を理解する前に俺はその黒い空間から消えた。
━━━
「……ここはどこだ?」
「貴方のもう一つの精神世界でしょうかね」
先程とは真逆の真っ白な空間に来ていた。
「で、……あんたは何だ?」
目の前には先程、真っ暗な空間にいた白い人影がいた。
白く発光しているから見えづらいのだが。
「私は貴方の中に存在している《使徒》」
また出たよわからない単語。
使徒?他に十二人いるのかな?ヱ○ァンゲリオンじゃねえんだぞ?
「もっと分かりやすく頼む」
「簡単に言うならば、私は貴方の潜在能力の一つ。この世界で言うのならステータスの“属性”と言うのでしたか?それにあてはまります」
「属性?“使徒”何て聞いた事無いぞ?レア属性か?そもそも俺は属性が決まって無かった筈だが?」
そう、俺のステータスの属性の欄は“無”になっていたはずだ。
てか、属性“使徒”って何?
「まぁ、“レア属性”ではあるでしょうね。しかし、これ以上の説明は私には出来ません」
「何故だ?」
「私は貴方の潜在能力。ある知識と“貴方が体験してきた知識”しか知りません」
ん?てことは俺が知ってる事は全て知ってるって事か?
「あまり良い気はしないでしょうが、話を聞いてください。貴方は此方の世界に来たときに“私”という力を手に入れました。しかし、私を手に入れた為に他の力が著しく無くなってしまいました。貴方が他の《勇者》よりも弱い理由はこれですね」
「ん?待て待て。つまり、お前がいたから俺はあんなに弱いのか?」
「そういう事です」
……理由が聞けてスッキリしたけど、その原因が目の前にいるのか……。
「変な気を起こさないで下さいね。貴方を傷つけたくはありません」
……そんなに分かりやすい顔をしてたかね?
「話を戻します。私というモノを手に入れた貴方は転移石を使って転移した。そして魔王に出会い、《悪魔化》をかけられた。そして貴方は自分の精神世界で《大罪悪魔》に会い、私に出会った。ここまでが先程までの経緯です」
「ちょっと待て!一つ一つ教えてくれ。混乱してて全然わからん」
そもそもハショり過ぎてる気がするのは俺のせいなのか?
「では、どこからが良いですか?私も貴方が知らない知識ならそこそこしか知りませんが」
それにコイツも何か決められた事ばかり言っている気がする。
RPGのチュートリアルをやっている様な気分だ。
まぁ、この世界事態RPGみたいなんだけどな。
「じゃ、《悪魔化》からで」
「では。《悪魔化》とは、魔王の固有魔法で、原因使えるのは一人しか居ません。《悪魔化》という名の通り、対象を《悪魔》へと転生させる能力です。対象の体内に魔力を送り込み、“心”に浸入すると、体に激痛を与えます。殆どの者はこれで狂うか、死にます。これを乗り越えると、肉体と精神が切り離され、先程の様な空間で精神が《悪魔》に喰われます。この時産まれる《悪魔》は対象の潜在能力によって強弱が分かれます。貴方の潜在能力は魔王以上だったので、産まれた《悪魔》は悪魔の中では最上級の《大罪悪魔》へと昇華しました。そのお陰で《魔王》に加担せず、対象で、主の貴方へと加担します。ま、結局、貴方の精神は喰われますが」
「……」
「次は何をお望みですか?」
いやもうお腹一杯です、とは言えず、次の疑問を切り出す。
「じゃ、その……《使徒》?の事をさっきよりも詳しく」
「はい。《使徒》とは今は亡き《唯一神オメテオトル》に仕える十三人の《天使》の事で、天使の中では最上級です。《天使》とは何か?と言うと、《悪魔》の魔力は“邪気”と呼ばれる力が含まれており、“呪い”、“呪文”等を使う時に大きな効果をもたらすのに対して、《天使》の魔力は“聖気”と呼ばれる力が含まれており、“浄化”“聖魔法”を使う時に大きな効果をもたらします」
「は、はぁ」
わかんねぇよ。
つか何で俺はこんな時にこんなの学んでるんだよ。
いや、確かに魔王は居ないけど。
四日後には来るんだよ。
「そして、貴方の記憶にある通り、《天使》が正義、《悪魔》が悪。というのは概ね正しいです。私は《使徒》ですかは弱冠の贔屓目はあるでしょうが……ま、それは良いとして、《唯一神オメテオトル》は私達《天使》と《悪魔》を産み出して《リンボ》へと行ってしまいました。《オメテオトル》は《天使》と《悪魔》を産み出す事により、世界を作りました」
「……」
全然わかんねぇ!
「この世に正義だけがあったらどう思いますか?」
「えっ?」
いきなり話を降るなよ。
え~と、正義だけの世界ね……。
「そんなの無理じゃないか?」
「何故そう思うのです?」
「だって、正義だけなら全部一緒で、皆何も出来ないし、ちょっと価値観が違うだけでそれは正義ではなくなる」
「成る程。正解です。正義だけの世界などあり得ない。悪があるからこそ正義が際立ちます。逆もしかり。そういう訳で《オメテオトル》は世界を作りました。しかし、彼は《リンボ》という彼専用の世界、まぁ、私室といった方がわかり安いでしょう。そこで、彼は現人神から空想的な神になり、死んだ事になりました」
「……難しすぎて良くわからん」
そもそも現人神て事は元々人間だったって事か?異世界の神様ってやっぱスゲェな。
「ま、最後まで聞いてください。後少しですから」
こう言うって事は、絶対長いよ。
止めてくれ、そろそろ頭がオーバーヒートしそうなんだ。
「《天使》と《悪魔》は物質としては存在せず、一種の霊的物質として存在しています。そして、この世界に新しく産まれる存在に憑くか、《悪魔化》の様に強力な存在に植え付けて貰わないと、あまり意味の無い存在です」
「てことは、お前は異世界に召喚された事で新しく産まれた俺にとり憑き、さっきの奴は《魔王》を利用して俺にとり憑いたという訳か」
「正解です。しかし、とり憑かれた相手にもメリットはあります。一定期間の間はとり憑いた《天使》または《悪魔》の強力な能力を使用できます」
「一定期間?」
「はい。その期間が過ぎると、とり憑かれた者は“寄り代”となり、《天使》なら体を《悪魔》なら精神を永遠に乗っ取られ、死ぬまで乗っ取られたままです」
「最悪じゃねえか!」
その二つにとり憑かれた俺って……つまり、体も精神も乗っ取られるって事かよ!ざけんな!
「落ち着いてください。貴方は別です」
「は?……ほっ。なら良い」
しかし、何故俺は別何だ?
「普通、《天使》と《悪魔》が同時にとり憑いた者は即座に死にます。過去に例がありますが……これは悲惨過ぎるので無しで。しかし、貴方は生きている」
恐すぎんだろ!!
「その様な者は未だかつて居ませんでした。貴方はイレギュラー中のイレギュラーと言えるでしょう」
お、おう。
何か凄いんだな俺。
「そこで、私は思い付いたのです。この者なら新しき神になれるのではないかと」
「は?」
「私達は元々、“神”の力を半分に分割して作り出されました。昔、《天使》と《悪魔》が融合した事件がありました」
「へ?」
ちょっと、その超展開について行けないのですが……。
「人間と魔族の体を乗っ取った《下級》同士は融合することで、“神”に近づこうとしたのでしょう。結果は大成功。“半神”として生まれ変わりました。しかし、完全な“神”にはなれませんでした。元々の肉体が二つもあるし、《下級》程度では《最上級》には程遠いのです。しかし、半分といえど、“神”は“神”。《唯一神オメテオトル》の威光は薄れ、いまや“半神”が“神”と勘違いされ宗教まで出きる始末。このままではダメだと思った私は閃きました!」
そう言ってバッと後ろの翼と両手を上げる天使。
何かイカれた狂信者に見えてきた。
「貴方が本物の“神”になれば良い!」
「……」
いや、もうね……驚くのに疲れましたよ。
ハイ。
そんな俺は取り敢えず話を聞く。
「貴方には既に二人の《最上級》がいる!そして、潜在能力も申し分無い!これ以上の良い人材がいるのでしょうか!?」
「知らねーよ」
咄嗟に突っ込んでしまった俺。
いや、だって他に何て言えば良いの?
「と、言うわけなので」
「どういう訳何だよ」
「貴方には私と“彼”の融合をしてもらいます」
コイツ……俺の言葉スルーしやがった。
「どうやって!」
「貴方には……まずはあちらに戻りましょうか」
天使が指を鳴らすと先程の真っ黒な世界に戻ってきた。
先程と違うのは人影が一つ増えていること位?
「やっと戻ってきたか」
よっこいせと言って立ち上がる人影。
俺と同じ位の身長の黒いマントを羽織った黒髪黒目の……つか俺だった。
「え?」
「あー突っ込むな。精神世界では皆こんなもんなんだよ。なあ」
「ええ」
横を見ると先程の発光する天使ではなく、白髪白目で、黒い方と同じデザインの白いマントを羽織った俺がいた。
「なにこの状況……」
「んなこたぁ、どうでも良い」
黒い“俺”が近づいてきた。
「話は聞いた。俺も《唯一神オメテオトル様》の威光を取り戻したい。てめぇ何かと融合すんのはご遠慮願いたいが、涙を飲んでやってやる」
「俺は貴様の千倍嫌だわ。しかし、融合はしてやる」
何故か目の前でバチバチ火花を散らし始める“俺二人”。
恐らくだが、コイツらは白が天使で、黒が悪魔だろう。
何とわかりやすい。
「よしっ。契約成立だな。おいお前!融合だ!」
「いや……」
そんな簡単に言われても……そんなノリで出来たら怖いわ!
「どうすれば?」
「お前……そうだな。過去に融合した奴等は情報が無い。……あ、でも一つだけ例外があった」
「ああ。あれか。協会の前で融合した奴等」
出来るだけ簡単にしてほしいのだがなぁ。
「懺悔だ」
「懺悔ですね」
懺悔。
その言葉は俺の心を暗くした。
もし懺悔をするなら……。
俺は両膝をついて二人の方へ向かって祈り、
「……生まれてきてすいませんでした」
「「ぶっ!!」」
と言ったら、二人が吹き出した。
「……」
「お前さぁ、ふざけんなよ?」
恐らく悪魔に胸ぐらを掴まれた。
力が強く息が出来ない。
「お前の過去と心情を見ててずっと思ってたけどさ……」
悪魔が一呼吸おいて、
「お前は勘違いをしすぎだ」
「!!」
「お前は別に呪われて何かいないし、人に信用されていない何て事も無い。あの姫様が最初?良く見ろ。他にもお前の事を見てくれた奴がいるだろ?」
姫様、成人、真紀、聖、静、祖父母、そして両親。
色んな人達が浮かび上がった。
心の何処かでは自覚していた。
愛されていると。
信じられていると。
しかし、それが勘違いで消えてしまうのが怖かった。
両親や祖父母の様に手の届かない場所に行くのが怖かった。
「全く……。貴方はもう少し自分を赦せば良いのですよ」
自分を赦す?
……だって、俺は“呪われた子供”で……。
「違う。貴方はただ一人の人間であり、空閑雄次郎であり、あの二人の子供です。貴様もそう思うだろう?」
「知るか。……ただ、コイツのしてきた事は間違いだ。さっさと目を冷ませ」
ああ……そうなのかな?
二人がそういうのなら……。
次の瞬間、目の前は光に包まれた。
本日の更新最後です。
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明日からは一日一話か、二話ずつ更新していきます。
これからもお付き合いいただきたく存じます。
誤字脱字、感想など受け付けております。
明日もお楽しみに!




