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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
二章 魔族・《魔王》
23/30

監視

誤字の修正をしたつもりです。

が、前回同様、未発見の誤字があると思うので報告のほどをよろしくお願いします。

何とか周りの奴等と協力してレラージュをあやした。

レラージュは精神不安定の様な状況っぽかったが、実年齢が俺の二十倍以上ある人を泣かしてしまうというのは変な気分だった。


泣き止んだレラージュに俺達は謝罪と説明とを受け、懇願された。


「つまり、こういう事だな?」


・レラージュは戦争を止めたい。

魔族は勿論だが、人間も死ぬのは嫌だから。

・しかし、自分には戦争を止めさせる術が無い。

《魔王》との権力闘争に負けたから。

そこで派閥を大きくしたい。

・現《魔王》の暴走を止めたい。

これはレラージュが幼少の頃からずっと持っている目標で、未だ成し遂げられていない。

レラージュは、最悪《魔王》と刺し違えても止めるという意見。

・人間や、亜人族との関係を元に戻したい。

実際、先代の《魔王》になるまでは関係は良好だった為、説得すれば可能だと思っている。

その為には橋渡しとして人間が必要。

・レラージュは人間に興味があり、俺達は初めて戦場以外であった人間だそうだ。

だから沢山話してみたい。


以上。


……まず一個目。

俺達が必要なのは人間との交渉や、人間が現在魔族をどう見ているかの視点でアドバイスが欲しいからだろう。


二個目は俺が既に解決したように見える。

《魔王》は俺が殺してあるし、担ぐ神輿が無いんじゃ派閥とやらも瓦解するだろう。

血縁的に、息子が居なければレラージュか、他の奴が《魔王》になると思う。

三つ目も然り。


四つ目。

これは正直面倒だが請け負った手前、断りづらいし、俺達以外に人間が居ないのであれば必然的に必要になってくる。

そんなに面倒な事にしないように。

と念を押してから引き受けた。


五つ目。

こんなの知るか。

関係が戻ったらいくらでもあるだろ。

って言ったら。


「ふえぇ」


と、レラージュは半泣きで。


「その場合、高確率でレラージュ様が新しい《魔王》になるのです。その時に善意でレラージュ様に近づいてくる人間が何人いるでしょうか」


イルミーさんにはマジな顔でこう言われた。


「雄次郎、私は別に良いよ?」


シルヴィアからもOKサインが出たので受け入れるしか無かった。

レラージュは狂喜乱舞、俺は四面楚歌を経験して、その時は解散になった。


と、言っても俺達には道がわからない訳で。


「こちらです」


イルミーさんが俺達に割り当てられた部屋に案内してくれた。

だけど俺がさっきこの人を蹴り飛ばしただけに、何か気まずかった。

イルミーさんも俺の方をあまり見ようとはせずにシルヴィアの方を見ていた。


で、部屋に着いたが、


「何で別部屋?」

「? 普通では無いのですか?」


真顔で返された。

俺とシルヴィアの部屋は別部屋だった。

まぁ、この人達は俺達の関係を知らないからな。

空気で分かれって言うのも酷だな。

現実で空気で分かる奴は二次元よりも少ないみたいだし。


「いや、何でもない。案内ありがとう」

「?? はい……」


イルミーさんの頭の上にハテナマークが増えたが気にせずに部屋に入っていく。

部屋は至って普通の部屋だった。

高級ホテルの様な綺麗なツインベッドに、染み一つ無いベッドカーテン、使用人を呼ぶ為に必要な金色のベルに、またまた高級そうなテーブル。

現代と違って冷蔵庫が無いが、代わりに保存の効くツマミの様な物が真っ黒な金庫の中に入っていた。

金庫の中には高級そうな年代物とみられるワインとグラスが入っていた。


……現代の感覚で見ずに王城の客室として見れば普通だ。

うん。


シルヴィアの部屋も覗いたが罠らしき罠は何も無かった。


「トイレはそこの突き当たりです。お食事になりましたら使用人が来ますので。それまでごゆるりと」


イルミーさんはそう言って去っていった。

正直この超展開についていけていない。

取り敢えず、寝床が決まったって感じかな?


「シルヴィア」

「何?」

「昼寝してるから何かあったら言ってね」

「……」


正直、迷宮を攻略するまえからずっと気を張ってたから疲れた。

だから寝た。

警戒? するかそんなもん。

奇襲が来ても寝ながら返り討ちにしてやる。


次に起きたのは使用人さんが夕食の時間になって起こしに来た時だった。

何故かシルヴィアが隣で寝ていた。


━━━


で、夕食時。

俺達はレラージュさんとイルミーさんと向き合って食事を取った。

恐らく前みたいに他の奴も控えているだろうから下手な事は出来ない。

するつもりも無いが。


「貴様らの事を詳しく教えて欲しいのじゃが……」


何て考えていると、レラージュがロリババア口調に戻って色々聞いてきた。

事故でここに来た詳しい経緯、迷宮で何があったか、何処でそんな力を手に入れたのか、《魔王》の疾走の理由を知っているか。

面倒過ぎたので俺は軽く流そうとしたが、嘘を見抜かれて逆に流せない雰囲気になった。

仕方無く、経緯と迷宮で魔物を狩りまくっていた事、ドラゴン100体連続討伐をしたこと。

未だに抜き身の無垢な覇竜剣(イノセント・ロード)がラスボス見たいな奴から出た事など。

力を手に入れた理由は人に話したく無かったし、《魔王》の方は言わずもがな。


そこまで話した所で使用人が風呂がわいた事を伝えに来た。

ちょうど良いのでそれを理由に逃げた。(異世界にも風呂はある。ウィーンにいた頃も普通に風呂に入っていた)


で、風呂に入ったんだが。


「ふぅ~。良い湯だ」

「……」

「……」


何故かお付きの人の内二人が俺と一緒に風呂に入ってきた。

一人は豪快なおっさんって感じで、もう一人は無口な仕事人って感じの人だ。


「じゃなくて、何で一緒に入ってくるんですか?」

「お? ダメか?」

「ダメです」

「ええっ!」


俺が戸惑うとでも思っていたのだろう。

しかし、俺はノーと言える日本人だ。

人様の家とも言えるし、監視がつくのは当たり前だが、流石に風呂位はゆっくりさせて欲しい。


「……君は……ケチ……だな」

「ほっといてください」


もう一人の方がぶつ切りで文句を言ってきたが、そっけなくかわす。


「何だよケチ」

「おっさんが唇尖らせても可愛くねぇよ」

「おっ……俺はまだ250代だ!!」

「おっさん所かクソジジイじゃねえか!!」


豪快なおっさんかと思っていたが、結構な歳をとったジジイだった。

あ、でも魔族って人間より寿命長いんだっけ……。


「……ロノは……人間で……言う……20代……老けている……が、な」

「シード!!てめぇ、人が気にしている事を!!」

「こ、これが20代……」

「てめぇも戦慄してんじゃねぇ!!」


ロノって名前の老け顔の青年とシードという名前の……青年なのか? タメ見たいなしゃべり方しているが。


ロノが落ち着いた所で問いかける。


「で、目的は監視か?」

「ま、そうだ。レラージュ様はああ言っているが、俺等はお前らを信用していない。イルミーに至っては今すぐにでも追い出したいとか言ってる」

「イルミーさんって裏表激しいんだな」


部屋を案内してくれた時はあんまり気にしてなさそうだったのに。


「イルミー……は、……感情を……表情に……出さない……けど、……怒りが……表に……出た時は…………死を……覚悟……しろ」

「言うのおせぇし、恐えぇ!!」

「そうだな。俺は一回貧乳って言ったら死にかけた」

「それはあんたが悪い!!」


てかイルミーさん女だったのかよ!


「ところで、だ。お前にちょっと提案があるんだが……どうだ?」


ロノさんがニヤリと笑って俺に聞いてくる。


「ろくな提案じゃ無いんだろ?」

「いんや。どっちかって言うと破格の提案だ。明日の十時、西門の訓練所に来い。詳しくはそこでだ」


何故訓練所なのか、嫌な予感がしないでも無いが、懇意は無さそうなので一応了解の返事をしておく。


「わかった。……変な事をしたら……」


そう言って殺気をロノだけにぶつける。

スキル《威圧》も混ぜているので効果は充分だろう。

風呂の汗だけじゃなくて、冷や汗もかいているみたいだし。

やりすぎは良くないので、すぐに殺気を出すのを止める。


「ふぅ。そんなこたぁしねぇが、ちょっと動いて貰うぜ」

「ま、それなら良いか」


脅してもキョドらなかったし、《真偽眼》で見ても嘘は言っていないみたいだしな。


「わかった。話は終わりだな。俺は出るぞ」

「俺らも出る。流石にのぼせるからな」

「……」


ロノ達と一緒に脱衣所に入る。

現代日本の銭湯みたいにドライヤーは無いが、鑑が置いてあったり、着替えを入れる籠があったりと、とても充実している。

入る前に服を入れた籠は無くなっているから洗ってくれているんだろうが、着替えが無いな。

ま、創れば良いんだが、コイツらに手の内を見せるのはちょっとな……。


「ほれ。お前の分だ」

「おっと。あ、着替え用意してあんのか」


ロノから渡された籠には着替え一式に、バスタオルと何故か牛乳見たいな飲み物があった。

この世界では風呂上がりにコーヒー牛乳でもフルーツ牛乳でもなく、普通の牛乳を飲むのだろうか。


牛乳は放置しておいて、用意されていたバスタオルで体を拭き、浴衣の様な物も用意されていたのでこれを着る。

良く見ると浴衣とは違い、腰に巻く物が無くてボタンになっていたり、裾がギザギザになっていたりしていたので、全く同じでは無いのだろう。


ロノは髪が黒じゃ無いし、顔立ちも日本人離れしているのに、これを着ると「和」って感じがするのは俺だけだろうか。

何か江戸時代のおっさんみたいだ。

ちょんまげじゃ無いが。


シードは……外国人のコスプレだな。

うん。


俺は……黒髪で顔はちょっと純日本人では無いが、日本人なのにロノより似合っていなかった。

この敗北感……。


「おし。じゃ、俺達は用事があるんで帰るぞ。たぶん他にも監視がいるから変な事は考えるなよ」

「考えねぇよ」


何故かロノ達は牛乳を飲みながら帰って行った。

そういう風習なのか。


「さて。俺も帰るか……早く寝よう」


で、さっそく迷っている。

夕食の所から自分の部屋はわかるんだが、近道しようと風呂から直接部屋に行こうとしたら完全に迷った。

何か危ない趣味を持った人の部屋の前にいるし、どうしよ。


「仕方無い。……イルミーさ~ん。迷ったので出てきてくださ~い」

「……お気づきでしたか」


ロノが言っていた通り、監視さていた様だ。

尾行されているのはわかったが、相手が昨日見た魔力っぽいってだけで適当に言ったので俺の勘は結構当たるかもしれない。

ロノとシードが、居ないから約三分の一の確立なんだけどな。

あ、レラージュ含めたら四分の一か。


「部屋まで案内お願い出来ますか?」

「お安いご用です」


風呂でイルミーさんが俺に怒っているって聞いたのでちょっとビビっていたが、イルミーさんはポーカーフェイスのままなので大丈夫な様だ。

いや、内心メッチャ怒っているのかも知んないけど。


「着きました」


何て考えている内に着いてしまったのでイルミーさんと別れ(と言ってもイルミーさんは何処かで俺を監視しているが)浴衣の姿のままベッドに潜った。


イルミーさん曰く、シルヴィアは既に隣の部屋で寝ていた。


カラスの行水の様な早さで風呂を上がってきて、すぐに寝たらしい。

何故か、後からレラージュが手をニギニギしながら追いかけていたが、これは……うん。

大丈夫だろ。


お楽しみ頂けましたか?

明日で連続更新は終了です。


誤字脱字、感想、質問など受け付けております。

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