幼女泣かせ
お待たせしました。
あまり展開は進まないので、省く事も考えましたが、これが無いと意味がわからなくなるので。
後、やっぱり更新ペース上げます。
詳しくは後書きにて。
「兄上の失踪について何を知っている」
レラージュさんは俺らが何かを知っている事を確信しているらしい。
だって質問じゃないもん。
断定しちゃってるもん。
「あわわわわわわ」
シルヴィアもわかりやすくテンパってる。
その態度でほぼ肯定してるよね!
「はぁ。……どうしようかな」
取り敢えず、俺も座る。
シルヴィアを座らせて、黙っておくようにアイコンタクトで指示し、レラージュさんに向き直る。
彼女も座っていた。
お付きの人は立っていたが。
「何で立っているんだ?警戒しているのか?」
「そうだ」
すぐにそう返されてしまった。
どうやらこの人は堅い感じの人らしい。
てかこの人、男か女かわかりずらいな。
鎧で体型もわかんないし、声と顔も中性的だし。
ま、関係無いか。
「話を剃らさんで貰おうかの」
レラージュさんが結構真面目に注意してきた。
弱冠殺気も出ている。
どうやら誤魔化しは効かない様だ。
「雄次郎」
「大丈夫だって」
シルヴィアが殺気を感じ取って俺を庇う様に手を出す。
俺的にはシルヴィアの方が何処か抜けてて心配なのだが。
「安心せい。答えによって変わるが、すぐに切り捨てたりなどせん」
「つまり余程酷い答えなら切り捨てると?」
「このまま誤魔化さなければそんな事はせんよ」
よし。
言質を取ったぞ。
これで奇襲の可能性は減った。
ま、俺とシルヴィアなら何とかなるだろうが。
「さ、早よせい」
さりげなくレラージュさんが殺気の密度を上げてきた。
「そうですね」
なので俺はにこやかに殺気を放った。
レラージュさんより少し小さい位だ。
「貴様……」
「よせ」
レラージュさんの後ろのお付きの人が腰の剣に手をかけたがレラージュさんが止めた。
ここで俺達を殺したら情報が手に入らない事を理解した様だな。
レラージュさんがこっちに振り返った所で、そろそろ話し出す。
「《魔王》の事なら知っている。本名はクトゥウ・グア。銀髪の魔族だ」
「やはり知っておったか」
そりゃ勿論。
だって俺が殺したし。
何て正直には言わない。
「彼とは迷宮の中で遭遇した。既にわかっていると思うが、俺達はウィーンの使い何かじゃない。不幸な事故の被害者だ」
「事故?」
「《転移石》を使った実験でな。迷宮に転移したという訳だ」
嘘は混ぜてあるが、真実か? と言われれば真実なので誤魔化せる筈だ。
シルヴィアもずっとポーカーフェイスだしな。
あ、コイツ聞いてねぇ。
ボーッとしてるだけだ。
ま、その方が都合が良いが。
「真実ではあるが嘘も混じっておるの」
レラージュさんが胡乱げな目で睨んでくる。
どうやら俺の《真偽眼》と同じ様なスキルを持っているのかもしれない。
俺もレラージュさんを《真偽眼》で視ているから当てずっぽうで嘘を言っていないとわかる。
これは俺が嘘を言っている事を確信している。
「嘘を見抜くスキルを持っているのか」
「答える義理があるかの?」
「釣れないねぇ」
アメリカン風に肩を下げておどけて見せる。
無論、それで逃げられる訳も無く、仕方無く俺は真実を話す。
どのみち嘘を言ったのは事故と言った部分だけだ。
《魔王》と闘った事には触れていないから大丈夫だろう。
「単に俺達は仲間に裏切られたのさ」
仲間何て思っちゃいなかったが、裏切られたのは事実だ。
事実だからレラージュさんも反応はしてこない。
「そこだけか?」
「おう」
「……嘘では無いな」
俺の《真偽眼》もそうだが、レラージュさんの嘘を見抜く力も嘘の数まではわからない様だ。
あと、ずっと思っていたのだが、
「なあ、手頃な鞘は無いか?」
無垢な覇竜剣を俺は移動中も国に入ってからも、城に入ってからも、ずっと刀身剥き出しなので持っているのだ。
危なっかしくて困る。
何せこの剣、かすっただけでも魔物を両断出来る力があるんだから下手に落としただけで床に裂け目が出来る何て事もありえる。
「うん?その剣はドロップアイテムか?相当な業物に見えるが」
「あ~…迷宮で誰かが落とした見たいで、拾っただけなんだ」
「嘘は良くないぞ」
「あ、わかるのか」
適当な嘘で誤魔化そうと思ったがレラージュさんにはわかる事を忘れていた。
「そう。ドロップアイテムだ。何のとは聞くな」
先に釘を指して置けば俺が迷宮を攻略出来る程の実力を持っている事もばれないはずだ。
「兄上から奪った。……という訳では無いな?」
ゾッとする程の無表情な顔で聞いてくる。
レラージュさんは《魔王》の話をする時はずっとこの顔だ。
「ああ」
「……ならよし。しかし、兄上と会ったのが本当なら、人間がよく生きていたな。兄上なら即刻、消すと思っていたが」
「……」
どうしようか。
答えるべきか、答えないべきか。
答えて嘘を言ったらバレて、聞き出されるかもしれないし、答えなかったら反応が無い事をいぶかしんで聞いてくるかもしれない。
「レラージュさん、聞きたい事があると言いましたが、それだけが私達を助けた理由ですか?」
と、ここでシルヴィアから援護射撃が入った。
先程から喋らなかったから、それほど不自然な流れになっていないし、レラージュさんもそっちに興味をもった様だ。
ナイス、シルヴィア! 流石俺の嫁! いや、まだ結婚してないけど。
「ああ。後は保護したかったんじゃな。父上と兄上のバカな政策でこれ以上戦争を続ける訳にはいかんかったからの」
お? どうやらレラージュさんは戦争に反対派らしい。
偏見だが、魔族は人間を根絶やしにすべし! とか皆言ってるイメージがあったんだが。
「それはつまり、レラージュさんは戦争反対派という事で、現《魔王》様、つまりレラージュさんの兄上様は戦争推進派だったという事ですか?」
「ああ。兄上は父上の影響を受けすぎた。……儂は父上とあまり接点が無かったからの。それに、変な派閥も出来てしまって、兄上と儂が対立した形になってしまっているのじゃよ。そこのイルミーも儂の派閥じゃ」
レラージュさんの言葉に合わせてお付きの人……イルミーさんがお辞儀をする。
45度の綺麗なお辞儀だ。
なるほど。
大体わかった。
現《魔王》を押している派閥が戦争を推進させていて、レラージュさんを押している派閥は戦争反対派。
つまり、レラージュさんが新《魔王》になれば人間的には楽だが、現在は現《魔王》の勢力に負けたからレラージュさんが《魔王》じゃないんだな。
兄弟で敵同士か。
王族って大変なんだな。
だが、何故こんな内情をレラージュさんは俺達に話したのか。
「何故俺達に話したのんだ?」
「フッ。何、気分だよ」
「嘘だな」
俺の《真偽眼》が嘘だと教えてくれているし、気分で済ますには良い情報過ぎる。
「ほう。貴様も嘘を見抜けるのか?」
「さあな」
さっきの意趣返しでとぼける。
レラージュさんは面白そうにクククと笑うと、手をバッと上げた。
すると部屋の隠れられそうな調度品や、ドア、窓からさっきまで居なかった、レラージュさんのお付きの人達の残り四人が出てきた。
イルミーさんも俺に斬りかかってくる。
「済まんがそこは聞かんで、今は素直に保護されてくれ」
レラージュさんの言葉が合図になり一斉に俺とシルヴィアに向かって刃が降り下ろされる。
木刀なので気を失わせるだけだろうし、俺とシルヴィアが亀の魔物と闘っていたのを見ているだろうから安心して攻撃をしているのだろう。
だが、
「甘っ」
俺は重力魔法で俺とシルヴィア以外を対象にした《斥力》を俺を中心に発生させた。
地球の引力の十倍位の斥力だ。
これに耐えられるのは、この中でも数人だけだろう。
「何!」
「……!!」
「バカなっ!!」
思った通り、レラージュさんを含め六人の内三人は吹き飛ばされて壁に打ち付けられたが、レラージュさんとイルミーさんともう一人は床にしがみついて耐えた。
ちなみに、《斥力》は俺の魔力が尽きない限りだし続けられるので、残りの奴等が吹き飛ぶまで発動し続ける。
「痛った~。雄次郎魔法使うなら言ってよ!」
「悪い。時間が無かった」
シルヴィアは俺の座っていたソファにも斥力が発生しているせいで床にソファが沈み、後ろにもたれ掛かっていた彼女は後ろにひっくり返ったみたいだ。
「随分と余裕……だなっ!」
「おっと」
イルミーさんが飛ばされない様に耐えながらも無詠唱で炎魔法を放ってきた。
火系魔法に《斥力》は効かないのでそのままの威力で魔法が飛んでくる。
それを俺はイナバウアーよろしく、大きくのけ反って避ける。
「っ!魔法なら効く様だな!ならっ」
「させるかバカが」
イルミーさんじゃない生き残りのお付きの一人が魔法を発動させかけていたので俺は目の前に移動して無防備な顎を蹴りあげて一回転する。
蹴りは綺麗に決まり、《斥力》の影響もあってか、ソイツはギャグ漫画見たいに天井にめり込んだ。
「イルミーさんもっ!」
「ぐっ!」
イルミーさんにも回し蹴りを決めて壁にめり込ませる。
これで残りはレラージュさんだけだ。
「くっ……貴様……何者なの……じゃ?」
「さあ? 俺はただの人間ですが?」
俺が近づくと《斥力》が俺を中心に発生しているせいで、レラージュさんが吹き飛びそうになるので少し離れた位置から話しかける。
倒した五人は天井にめり込んだ奴以外は皆意識がある様だが、《斥力》によって壁にめり込んだので動けない。
「嘘じゃな……」
「あれ? 嘘は言っていないんだけど! 何で嘘って思われた!?」
レラージュさんの能力で嘘判定されてたら地味にショック何だけど。
「雄次郎、その強さで人間は無理があるよ」
シルヴィアが後ろから呆れた見たいに言ってきた。
あ、そか。
レラージュさんは俺の強さを見て自分で嘘だと判断したんだ。
うん、そうだ。
そうに決まってる。
「レラージュさん、も一回聞く気は無いが、一つ言っておく。俺達は何処の国の回し者でも無いが、この国に保護される義理も無い。出来るならすぐに出ていきたい位だ。何せ俺達は《魔王》に殺されかけた」
殺されかけた。
の所でレラージュさんが、本当に驚いた顔をした。
《魔王》が俺達を殺しにきた事ではなく、俺達が狙われてまだ生きている事への驚きだろう。
「つー訳で、俺達はこの国に留まる気は無い。あんたの目的は知らないが、俺達が協力する事は無い。ましてやこんな武力で無理矢理なんてな」
「……」
事実だけに耳が痛いのだろう。
レラージュさんは何も言い返さない。
「だけど聞く事がある。俺達が事故でここにたどり着いたのは知っているな? だからここらの地形を知らない。この国以外で、近くに人が住む所はあるか?」
実際魔物を食っていれば飢えはしないが、栄養が偏り過ぎているのは困る。
野菜も食べなくてはいけない。
「……頼む」
「え?」
レラージュさんが小さな声で何かを呟いたが、よく聞こえない。
「頼む!手伝ってくれ!!お前の力が必要何だ!!」
「レラージュ様!!」
「お顔を上げてください!!」
「え、え~……」
何故か俺が必要だと土下座され、周りからは俺が完全に悪役のムードになっている。
てかレラージュさん、《斥力》やってんのに土下座出来るとか筋力のステータスすげぇな!
「頼む!この通りだ!!」
レラージュさんは何回も土下座をして、頭を床に打ち付けながら頼みの混んでくる。
何故そんなにも必死になるのだろうか。
「頼む!頼みます!おねがいします!!たの…むた…の…み…ます………たのむよぅ」
「ええっ!!」
挙げ句の果てに泣き出してしまった。
罠かもしれないが、これは流石にダメージがでかい。
「ガチで泣くなよ……」
「ガチで泣いて無いもん……だから、お願いしますぅ…うぅ」
《真偽眼》が発動しなかった事からレラージュさんが本気で泣いているとわかったが、若干引いた。
さっきまでロリババアやってた奴が、普通の女子のしゃべり方で泣くギャップって結構凄い。
可愛いとかじゃなく、普通に引く。
「レラージュ様を泣かすとは……」
「最低な奴……」
「待て待て待て。何でさっきまで俺に奇襲をしようとしていた奴等が俺を最低と言うんだ?」
「雄次郎……」
「何でシルヴィアまで!!」
何故か、壁にめり込んでいる奴等だけでなく、シルヴィアにまで冷たい目で見られてしまった。
「あ~……うぅ~ん……しゃーねーな!!」
「ふぇぇぇん」
「本格化して泣くな!」
「ふぇっ!!」
レラージュさんが本格的に泣き出しそうなのを見て俺も折れた。
「話の続きは聞いてやる!!だが、聞くだけだ!!」
「そんなぁ~。うぅ」
「だぁぁぁぁ!!わかった。わかったから!協力してやるから!だから泣くなよ!!」
「ホント!!」
レラージュさん……いや、もうレラージュで良いか。
レラージュがキラキラした目で見上げてくる。
泣き落としされた形だが、このまま針の筵にいるよりはましか。
「雄次郎……優しいね♪」
何故か嬉しそうにシルヴィアが言ってくる。
もう何か戦闘って雰囲気でも無くなったので《斥力》を解く。
途端にレラージュ達にかかっていた“重し”が解けた。
「ふう」
「やれやれ」
「……」
「レラージュ様!!大丈夫ですか?」
「うんっ!」
レラージュのお付きの奴等が復活して来るが、もう俺に危害は加えて来ない様で、泣きべそをかいていたレラージュの世話に行っている。
「はぁ」
何か迷宮で予定していたのと違う展開になりそうだな。
「雄次郎」
シルヴィアが近づいてくる。
やっぱりちょっと嬉しそうだ。
「何?」
「私は別に良いんだけど……これって凄く面倒な事になりそうだよね? もしかしたら今ここで酷い目にあった方が良かったんじゃない?」
良く考えればそうかもしれない。
だが、今レラージュを見捨てると何となく後味が悪いからな。
見た目中学生の少女を泣かしたとか、知らない人から見たら犯罪の現場だしな。
自分の力を過信しているみたいだが、今の俺なら大丈夫だろう。
「もしそうなっても、俺が何とかするさ」
「わかった。私は雄次郎についていくよ」
そう言ってシルヴィアは良い顔をしてくれるが、君は自分も俺を追い詰めていた事を忘れていないか?
お楽しみいただけましたか?
前書きにも書きましたが、更新ペースを上げます。
個人的な理由により、一時的にですが、明日と明後日にも更新します。
ペースをころころ変えてしまって申し訳ないです。
(自分で誤字脱字探すのは、かなり大変ですね。言い訳ですが、作者は体力が無いので一章の修正が未だに殆ど終わっていません。二章が終わるまでには必ず!!)
誤字脱字、感想、質問など受け付けております。




