第三章 不思議な宇宙(そら)のもとで⑤
【前書き】
第三章 第五話をお読みいただきありがとうございます。
今回は、テストを終えたテツロウのもとへ、
エミとミニが合流。
試験区画から外へ移り、
新たな実験が始まろうとする回です。
■登場人物
・青星テツロウ
白衣と眼鏡の研究者。本作主人公。
・エミ
やさしく穏やかな妹。兄さん呼び。
・ミニ
元気いっぱいの妹。お兄ちゃん呼び。
・リオ
上品で余裕ある、年上の妹。
・赤井エアリ
冷静で的確な補助役。
・紫雲タリア
試作機を作り上げた工学系の技術者。
外のフィールドで始まる、
少し不思議で賑やかな時間をお楽しみください。
■第三章 第五話
「ただいまー!」
明るい声が、
試験区画の空間に響いた。
その声に反応するように、
その場にいた全員の視線が、
入口の方へと向く。
――エミとミニだった。
エミは穏やかな微笑みを浮かべながら、
ゆっくりと中へと歩み入る。
白を基調としたセーラー服。
青いリボンと、
整えられたプリーツスカート。
どこか落ち着いた雰囲気をまとっている。
一方でミニは、
その後ろから勢いよく顔を覗かせた。
同じくセーラー服だが、
ツインテールが揺れ、
動きに合わせてスカートも軽やかに揺れる。
「お兄ちゃん、帰ってきたよー!」
その声は、
どこか弾んでいる。
テツロウは、
コクピットの中でその声を聞き――
そして、
視界に映った二人の姿に、
ほんの一瞬、言葉を失った。
(……そのまま来たのか……)
見慣れているはずの制服。
だが――
この距離、このサイズで見ると、
まるで別物だった。
視界の上部をかすめる、
揺れるスカートの影。
わずかに差し込む光が、
布越しに柔らかく拡散される。
その“近さ”が、
現実感を伴って迫ってくる。
(……近いな……)
思わず、そう感じる。
リオがくすりと笑う。
「ちょうどテストも終わったところですわ」
エアリも頷く。
「はい。最終確認まで完了しています」
タリアは、端末に視線を落としたまま、
淡々と告げる。
「実運用に移行可能な状態です」
ミニが、ぐっと身を乗り出す。
「えっ、それって!」
「お兄ちゃん、動かしてるの!?」
そのまま、
床に近づくようにしゃがみ込む。
視界が――
一気に変わる。
コクピット越しに、
巨大なミニの顔が迫る。
揺れるツインテール。
近づく制服のライン。
スカートの影が、
視界の上に落ちる。
影はゆらゆらと揺れ、
完全には遮らないまま、
視界に柔らかな圧をかけてくる。
(……うわ……)
距離が、近い。
近すぎる。
視界のほとんどを占める、
ミニの顔。
逃げ場がない。
視線を逸らそうとしても、
どこを向いても、
“近い”。
「……うおっ!?」
思わず声が出る。
「ちょ、近い近い……!」
ミニは楽しそうに笑う。
「ほんとだ!」
「ちゃんと動いてるー!」
さらに顔を寄せる。
距離が――詰まる。
(……ちょっと待て……これ……)
圧がある。
視覚的な圧迫感。
距離の近さが、
そのまま実感として伝わってくる。
逃げ場がない。
エミも、
その隣にゆっくりと膝をつく。
スカートの裾が、
静かに揺れる。
わずかな空気の流れで、
布が柔らかく動く。
その動きに合わせて、
光の入り方も変わる。
「……本当ですね」
やわらかく微笑みながら、
そっと覗き込む。
「兄さん」
「大丈夫ですか?」
その声は、
どこまでも優しい。
だが――
距離が、近い。
視界の上部にかかる、
スカートの影。
完全には遮らないが、
確実に“そこにある”。
(……これは……落ち着けないだろ……)
テツロウは、
わずかに視線を逸らそうとするが、
どこを見ても、
“近い”。
視界の端にも、
中央にも、
すぐそこに“存在”がある。
逃げ場がない。
思わず小さく息を吐く。
「大丈夫は大丈夫なんだが……」
「距離感がな……」
リオがくすりと笑う。
「それはもう、慣れていただくしかありませんわね」
エアリも静かに補足する。
「テツロウさん、視覚補正は入っていますが、物理距離は変わりませんので」
タリアは無表情のまま言う。
「仕様です、テツロウ氏」
「……仕様って言うな」
テツロウは小さく呟く。
そのやり取りを見ながら、
ミニがふと首をかしげる。
「ねえねえ」
「それって、どこまで動けるの?」
ミニの問いかけに、
タリアはわずかに視線を上げる。
「……現時点では」
「基本動作、跳躍、移動、視覚同期」
「ここまでは確認済みです」
エアリが続ける。
「ただし、まだ外部環境でのテストは行っていません」
リオが興味深そうに目を細める。
「外、ですの?」
タリアは、ほんのわずかに間を置いてから――
小さく息をついた。
「……では」
「外で実験を行いましょう」
そして、周囲を見渡す。
「フィールドの選定が必要です」
「どこが適切か――」
そのとき。
エミが、ふと思い出したように口を開く。
「……そうですね」
「この間、兄さんの誕生日パーティをした草原ならどうでしょうか?」
穏やかな声。
だがどこか、
含みを持たせた響き。
「結構、広かったですし」
「私たちにとっても……」
ほんの少しだけ、
微笑む。
「うふふ」
テツロウは、
コクピットの中で眉をひそめた。
「……誕生日パーティ?」
小さく呟く。
「普通に家でしてた気がするんだが……?」
違和感。
記憶が、かみ合わない。
“何か”があったはずなのに、
それが霧のようにぼやけている。
思い出そうとすると、
逆に遠ざかるような感覚。
エアリが静かに答える。
「やはり、記憶が差し替わっているんですね」
「テツロウさん」
その言葉は、
淡々としているが――
どこか確信を含んでいた。
テツロウは、
わずかに言葉を詰まらせる。
(……またか)
“宇宙のもと”での出来事。
断片的にしか残らない記憶。
思い出せないはずの何かが、
確かにそこにあったような感覚。
だが、
掴もうとすると消えてしまう。
リオが、やわらかく微笑む。
「とても素敵な場所でしたわ」
「お兄様」
その声音には、
わずかな余韻が含まれている。
タリアは短く頷く。
「広さ、地形、視界」
「外部テストには適しています」
そして、
迷いなく結論を出す。
「その草原を使用します」
ミニが嬉しそうに声を上げる。
「やった!」
「またあそこで遊べるね、お兄ちゃん!」
テツロウは、
小さく息を吐く。
「……遊びじゃないんだがな……」
だが――
その言葉とは裏腹に、
胸の奥には、
わずかな高揚感もあった。
(……外、か)
視界の中に表示される、
プロトタイプ・ヴァルゴのステータス。
その向こうに、
まだ見ぬフィールドが重なる。
未知の環境。
未知の体験。
それが、
確かに“そこにある”。
タリアは短く告げる。
「では、歩いて行きましょうか」
ミニがぱっと顔を明るくする。
「えっ、歩いて行くの?」
「いいねいいね!」
エミも穏やかに頷く。
「そうですね」
「私たちなら、すぐですし」
テツロウは小さく呟く。
「……まあ、そのサイズならな……」
タリアは続ける。
「外部フィールドは、先ほど選定した草原を使用します」
「地形、視界ともに問題ありません」
そのとき――
エアリが一歩前へ出る。
「タリア」
「外部テスト時の制御系監視は、こちらで行います」
リオも静かに頷く。
「わたくしたちは、観測用の区画へ移動いたしますわ」
「より正確に状況を把握できますので」
タリアは短く答える。
「了解です」
リオは、やわらかく視線をエミとミニへ向ける。
「エミ、ミニ」
「お兄様のこと、お願いしてもよろしいかしら?」
ミニはすぐに胸を張る。
「まかせて!」
「ちゃんと見るから!」
その声は、
どこまでも元気だ。
エミも静かに頷く。
「ええ」
「兄さんは、私たちが見ています」
その言葉には、
やわらかな安心感があった。
リオは満足そうに微笑む。
「頼もしいですわ」
エアリも続ける。
「テツロウさん」
「監視は継続していますので、ご安心ください」
その言葉は、
システム的でありながらも、
どこか配慮を感じさせるものだった。
そして、リオはゆっくりとテツロウの方へ視線を向ける。
「では――お兄様」
わずかに間を置く。
その一瞬が、
妙に長く感じられる。
「最後に、お兄様からご要望いただいたものを――」
その声音は、
どこか楽しげで、
わずかに悪戯めいていた。
次の瞬間。
リオは、ほんのわずかに身体の向きを変え、
チャイナドレスのスリットが、
自然に大きく開く。
その動きは、
決して大きくない。
だが、
確実に“見せる”ための動きだった。
視界の前に――
すっと伸びた、白く整った脚が現れる。
巨大でありながら、
無駄のない美しさ。
筋肉のラインと、
滑らかな曲線。
光を受けて、
柔らかく反射する肌。
その存在は、
圧倒的だった。
「……っ」
テツロウは思わず息を呑む。
視線を逸らそうとするが、
逃げ場がない。
視界の大部分を占める、
その脚。
どこを見ても、
“そこにある”。
(……おい……これ……)
頭では理解していても、
身体の感覚が追いつかない。
距離の近さ。
スケールの差。
そのすべてが、
強い実感となって迫ってくる。
リオはくすりと微笑む。
「どうぞ、心行くまで堪能なさってくださいませ」
その言葉は冗談めいているが、
どこか本気でもあった。
視線はやわらかい。
だが、
逃がす気はない。
テツロウは言葉に詰まる。
「い、いや……その……」
顔を逸らす。
だが、
完全には逸らしきれない。
視界の端に、
常に“それ”が入ってくる。
距離が近い。
近すぎる。
リオはさらにやわらかく続ける。
「ご要望があれば、いつでもお応えいたしますわ」
「お兄様」
その声は、
どこまでも穏やかだった。
しかし、
その内容は――
明確だった。
そして――
ゆっくりと姿勢を戻す。
スリットが閉じ、
視界から脚が外れる。
だが、
余韻は残る。
「それでは」
「少しの間、失礼いたしますね」
その言葉を残し、
リオとエアリはその場を離れ、
試験区画の奥――
観測設備のあるエリアへと向かっていく。
その背中が、
ゆっくりと遠ざかっていく。
(……なんか、急に静かになったな……)
テツロウは小さく息を吐いた。
先ほどまでの圧が、
わずかに緩む。
だが、
完全に解放されたわけではない。
視界にはまだ、
エミとミニの存在がある。
そのとき――
エミがそっと手を差し出す。
「兄さん」
「少しだけ、失礼しますね」
次の瞬間。
プロトタイプ・ヴァルゴが、
やさしく持ち上げられる。
揺れが少ない。
安定した手つき。
包み込むような動き。
(……あ、これは……)
安心感がある。
さきほどの圧とは違う、
やわらかい支え。
(……これは……安心できるな……)
だが――
距離は、やはり近い。
視界の端に、
セーラー服のラインがかかる。
布の影が、
ふわりと落ちる。
柔らかく、
しかし確実に、
“そこにある”。
(……近いのは、変わらないか……)
ミニが横から顔を寄せる。
「いいなーエミお姉ちゃん!」
「私も持ちたい!」
さらに近づく。
ツインテールが揺れ、
視界をかすめる。
髪先が、
ガラス越しにわずかに触れるような距離。
その動きに合わせて、
影もまた揺れる。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ちゃんと見えてる?」
「……見えてるが、近い……!」
思わず返す。
ミニは楽しそうに笑う。
「えへへ、ちゃんと見えてるならOK!」
その無邪気さが、
逆に距離を縮めてくる。
エミはくすりと笑う。
「順番に、ね」
「まずは安全に運びましょう」
ミニは少しだけ頬をふくらませるが、
すぐに笑顔に戻る。
「はーい!」
「じゃあ、横で見る!」
そのまま、
ぴたりと寄り添うように並ぶ。
距離は近いまま。
むしろ、
“横”に増えた分だけ、
逃げ場が減る。
視界の端、
左右どちらにも、
存在がある。
(……これ、慣れるのか……?)
テツロウは小さく息を吐く。
そのまま、
二人は歩き出す。
エミの手の中で、
プロトタイプ・ヴァルゴは安定していた。
揺れは少なく、
歩調も一定。
足取りに無駄がない。
柔らかく、
しかし確実に前へ進む。
(……さっきより、だいぶ楽だな……)
テツロウは小さく息を吐く。
安心感がある。
包み込まれているような、
穏やかな安定。
だが――
近い距離は変わらない。
視界の端に、
セーラー服のラインがかかる。
やわらかく揺れる布の影。
完全には遮らないが、
確実に意識させる位置にある。
(……これはこれで、落ち着かないな……)
思わず苦笑する。
安心と、
別方向のドキドキ。
両方が同時に存在している。
そのとき――
少し後ろを歩いていたタリアが、
ふと声をかける。
「ミニちゃん」
ミニが振り返る。
「ん?」
タリアは、わずかに身をかがめ、
ミニの耳元へと顔を寄せる。
距離はさらに縮まる。
小さく、
周囲には聞こえない声で――
「ミニちゃん、ミニちゃん」
「……あれ、持ってきてよ」
意味ありげに、
ごにょごにょと続ける。
内容までは聞き取れない。
だが――
明らかに“何か”を企んでいる。
ミニの目が、ぱっと輝く。
「えっ……なにそれ」
「……それ、絶対おもしろいやつでしょ!」
にやっと笑う。
その表情は、
完全に“乗った”顔だった。
「わかった、タリアちゃん!」
勢いよく頷く。
そしてすぐに、
テツロウの方へ顔を近づける。
距離が一気に詰まる。
「お兄ちゃん!」
「ちょっと取りに行ってくるね!」
「すぐ戻るから、待っててね!」
「……お、おい?」
テツロウが声をかける間もなく、
ミニはくるりと背を向け――
軽やかに駆け出す。
一歩が大きい。
数歩で距離が開く。
そのまま、
試験区画の奥へと消えていった。
(……なんだ今の……)
テツロウは小さく呟く。
エミはその様子を見ながら、
やわらかく微笑む。
「ふふ……」
「タリアちゃん、何か考えているみたいですね」
タリアは表情を変えずに答える。
「……テスト効率の向上です」
短い返答。
だが――
ほんのわずかに間があった。
(……絶対それだけじゃないだろ……)
テツロウは心の中で突っ込む。
エミは、くすりと笑いながら、
そのまま歩みを進める。
やがて――
視界の先に、
外光が見えてくる。
開けた空間。
風の流れ。
境界が近づいている。
そして、
一歩踏み出す。
次の瞬間――
視界が、一気に開けた。
広がる空。
揺れる草原。
どこまでも続く、地平。
そして――
そのすべてが、
“巨大な視点”で広がっていた。
風が流れる。
草が揺れる。
その一つ一つが、
スケールの違いを伴って伝わってくる。
「……っ」
思わず息を呑む。
エミがやわらかく微笑む。
「兄さん」
「ここが、あのときの草原です」
テツロウは、
コクピットの中でゆっくりと息を吐く。
(……なるほどな……)
記憶は曖昧だが、
感覚は一致する。
「確かに――」
「テストには、ちょうどいいな……」
その中で――
エミは、ゆっくりと周囲を見渡す。
風に揺れる草。
十分な広さ。
視界の抜け。
すべてを確認するように。
そして――
ふと、小さく呟いた。
「……あれも、必要よね」
そのまま、
やわらかく微笑む。
「少し、取ってきますね」
テツロウが顔を上げる。
「え?」
次の瞬間――
エミは、そっと手を差し出す。
「タリアちゃん」
「こちら、お願いします」
プロトタイプ・ヴァルゴが、
やさしく持ち替えられる。
タリアの手へと。
指先の動きは正確で、
無駄がない。
しっかりと、
しかし過度な力をかけずに受け取る。
「了解です」
短く答える。
エミはそのまま一歩下がる。
「兄さん」
「すぐ戻りますので」
やわらかくそう告げて――
そのまま踵を返す。
草原の向こうへと、
軽やかに歩き出していった。
(……なんだ?)
テツロウは小さく首をかしげる。
だが――
次の瞬間、
意識は別のところへ向く。
「……っ」
タリアの手の中。
距離が、近い。
先ほどまでの安定感とは違う、
どこか“固定された”感覚。
逃げ場のない距離。
視界のほとんどを占める、
タリアの上半身。
淡い紫の髪。
無機質な表情。
だが、
確かな体温と存在感。
「では――」
「微調整を行います」
そのまま、
プロトタイプ・ヴァルゴを
自分の胸元へと引き寄せる。
距離がさらに縮まる。
(ちょっ……またここか……)
逃げ場がない。
視界いっぱいに広がる、
タリアの姿。
タリアは気にする様子もなく、
淡々と作業を始める。
「外部環境に合わせて、各部の応答を再調整します」
機体の各所に、
指先が触れる。
肩部。
腕部。
脚部。
そして――
コクピット周辺。
細かく、
正確に。
迷いのない手つきで。
(……近い……っていうか……)
(全部見えるんだが……)
至近距離で動く、
巨大な指。
わずかな振動。
装甲越しに伝わる感覚。
そして、
ふと顔を上げると――
すぐそこに、
タリアの顔がある。
視線はまっすぐ、
機体を見ている。
その表情は、
どこまでも真剣だった。
「……問題ありません」
小さく呟く。
その声は、
いつもより少しだけ近く感じる。
(……なんだろうな、これ……)
テツロウは思う。
無機質なはずなのに――
妙に、意識してしまう。
距離。
空気。
存在感。
すべてが、
“巨大”すぎる。
そのとき――
タリアが、ほんのわずかに視線を上げた。
「テツロウ氏」
「操作系に違和感はありませんか?」
突然の問いかけ。
テツロウは少しだけ慌てる。
「あ、ああ……」
「今のところは、大丈夫だ」
タリアは小さく頷く。
「了解です」
再び、調整へ戻る。
その動作は、
変わらず正確で――
どこか、
丁寧だった。
(……こいつ、結構ちゃんとやってるよな……)
思わず、そう感じる。
無機質に見えて、
細部まで気を配っている。
その事実に、
少しだけ意識が変わる。
やがて――
タリアは手を止める。
「調整完了です」
短く告げる。
その直後――
遠くの草原の向こうから、
何かを抱えたシルエットが戻ってくる。
「お待たせしました――」
エミの声。
その手には、
大きく折りたたまれた布。
(……あれは……)
テツロウは、わずかに目を細める。
広げられたそれを見て――
ふと、引っかかる。
(……なんだ……?)
どこかで見たことあるような気がした。
だが、
はっきりとは思い出せない。
ぼんやりとした感覚だけが、
胸の奥に残る。
「……気のせい、か……」
小さく呟く。
その違和感は、
すぐに風の中へと溶けていった。
第三章 第六話へ続く
第三章 第五話をお読みいただきありがとうございました。
試験区画から草原へと舞台が移り、
少しずつ空気も変わってきました。
エミ、ミニの合流で賑やかさが増し、
タリアの思惑もまだ何かありそうです。
そして、最後に戻ってきた“あれ”が、
次回どう繋がっていくのか――。
次回は、さらに外での展開が進んでいきます。
次回は4月27日ごろ公開予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。




