第92話 クロスポイント
アカテナの木。勇者ライルがこの木の下で国を興すことを誓い、王妃がその国を守っていくことを誓い、そして結ばれたことは一般には知られていない。その木は人に目立たぬよう、それでいて手入れの届いていた。ギアスから王城に向かう道からそれたところにあるハタゴの丘にその木は立っていた。双眸の花が広がるその場所には墓がある。こじんまりとしたされど立派な名なしの墓。遠くに王都をのぞめるその場所は墓の主も安らかに眠ることだろう。
「行くわ。私は2年後王城に行く。自力で金を集めて大祓にでるの。だからまた会いましょう」と徳川巴は伏見遊都とステラにそう別れを告げた。徳川巴が旅立つその日。ステラには外してもらって、伏見遊都は徳川巴とともにハタゴの丘にいた。
「大祓はあの王城で行われるのね」
徳川巴は炎剣を王城に向け指し示した。
「私は地球に帰る」
自分に言い聞かすように誓う。
「遊都はどうするの?」
大祓で願いを叶えてもらうのは1人……だったら巴に地球に帰って貰いたいと遊都は思っていた。
「俺も大祓にでる。俺も地球に帰る」
徳川巴の炎剣に銀色の剣先を重ねる。
「どっちが勝っても恨みっこなしよ」
「もちろんだ」
「今度は敵同士よ」
行こうとした巴をよびとめる。
遊都は送金で無一文になった巴にわずかな財産の半分を差し出した。
「遊都に借りるなんて……屈辱……」
「返さなくていいから」
「返すわよ……絶対に」
徳川巴は感情より大切なものはないと思っていた。
それが伏見遊都と関わったことで価値観が変わる。お金は大事だ。満足に日々が過ごせるお金があって初めて自然体な感情が宿る。
……お金は気持ちを守ってくれる。
「そうだ」
徳川巴は代わりに火耐性の指輪をわたす。慣れぬ片手で遊都につけてあげようとした。
「右手は駄目だ。テキサスホールデムの邪魔になる」と伏見遊都が嫌がる。
合う指は左手の薬指だった。
思わず2人は顔を見合わせる。
「大丈夫。ステラには分からないわ」
それにと二の句を徳川巴が言う。
「これじゃ逆ね」
確かにと遊都と巴は笑いあう。
時々振り返っては手を振る巴を小さくなるまで遊都は見つめていた。
金より大事なものがあるのか??
……今ならそれは「ある」と自信を持って言えると伏見遊都は思った。
3章まで読破して頂き本当にありがとうございます。
心折れそうな時、本当に戻ってこれたのはPV、ブクマ、評価の存在が大きかったです。応援して頂けると本当に下支えとなります。宜しくお願い致します。さて、それだけではつまらないので本編に関係ない余談載せておきます。
Q:唐突に出てきたフィアエクイティって何?
A:フィアは英語のfear(恐れ)のエクイティ。equity(資本→つまり利益)となり、あなたを恐れることで得られる利益のことを言います。恐れるがあまり普通ベットやコール、レイズするところをしない選択をする=その結果得られる利益となります。つまり主人公は恐れさせる為に殺しにかかるような覚悟を持っているので強く連想していることとなります。




