第63話 魔力草採取クエスト
「報酬5ライルうううぅぅっ~~~??」
魔力草採取クエストの報酬をみて俺は叫んだ。
たったの5ライルだ。円にしたら600円。
「ダンジョン都市ギアスでこの報酬。見つけるのが逆に困難です」
「見つけちゃいました~」
「なしだなし、慈善事業やってる暇はねえ」
「だから煮詰まっているんだから気分転換にね」
「食べていくのにはお金が必要」
「何よステラ。あなたも反対なの?」
「自然の摂理」
「ここは自然じゃないの都会よ、都市。困っている人がいたら助け合わないと」
「でも5ライルって下限の報酬じゃないか」
「あら遊都あなたは私に助けられたとかなんとか言っていなかった」
俺はヘッズアップの時のことを思い出し恥ずかしくなる。
「確かに感謝した。でもそれとこれとは関係ないだろ」
「いいことをすると巡り巡って自分に返ってくるのよ」
俺はステラと眼が合い互いに首をかしげた。
「この前遊都引っ越しやってたでしょ? どうだった?」
「どうだったって、まあいい汗かいたな。テキサスホールデムの体力作りにちょうど良かった」
「だあああっ、そうじゃないでしょ。お礼言われた? 家具とか壊しまくったわけじゃないわよね?」
「引っ越し自体は丁寧にやったさ。感謝もされた。思い出の家具が傷一つねえってな」
巴がにやける。
「どうだった? 感謝されて」
「どうだったって」
「いいものでしょ。人から感謝されるのは」
にかっと巴が笑う。
「正しいことをするって気持ちいいものなのよ」
興味がなさそうなステラは一筆書きで六芒星を描き、魔力草の氷像を作って、苦々しげに見つめていた。
「損にしかならない儀式。神に捧げる奉納の儀のようなもの」
「なんかちょっと違うけどそういうことよ」
「私はあの儀式嫌いだった」
「ちょっ、ステラ消えないで、ここ?」
巴の手が空気を掴む。
ステラがそっと自分のそばに佇む。
ステラが眼で合図していた。断れと。
「なあ、悪いけど巴この話は」
「じゃあ話を聞くだけでもいいから」
「いやでもステラが」
「お願いっ! 私を助けると思って」
両手を合わせて巴が頼み込む。
ステラも真似して両手を合わせて魔力を充填してるが、何も起きないからな、それ。巴はその姿勢のまましばらく動かなかった。
「……どんな話なんだ」
「早速今から行きましょう」
「今から行っても遅いだろ」
宿の戸からは夕陽が降りてきている。
巴が沈黙する。不機嫌兆候その1だ。
「相手の用事もあるだろうからな、依頼主は孤児院のシスターか。そりゃあ報酬だせないな」
「魔力草絡みなら私は行かない。遊都も行かない方がいい。嫌な思いをする」
「ステラもお願い」
「嫌。私は断る」
巴がステラの肩を持ってぶんぶん回している。
「遊都。困っている人たちがいるのよ。お願いっ」
「わかったわかった。話を受けるかは、話の内容を聞いてからだ」
巴の表情が明るくなり、ステラが憮然とした顔つきになった。
「そうだ依頼を受けるかどうかは、明日の朝の巴のテキサスホールデムの結果次第でもいいな」
巴が尻尾を踏まれた猫のような顔をしていた。




