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第62話 現状確認

「お帰り遊都」

「ただいまステラ」


 ステラが俺に抱きつく。鼻腔にいい匂いが直撃して立ちくらみにも似た溺れそうな感覚を覚える。


「ねえ遊都キスして」


 ステラのおでこにキスをする。

 ステラが怒っている。


 ギアスに来た俺達は宿屋で3人部屋をとっていた。俺はさっと扉を見て巴が帰ってこないことを確認すると、静かにステラにキスをした。

 ステラが艶めかしい声を出し、舌を絡ませようとする。俺は口を離して、何か話題はないかと考える。


 巴の象が歩くような足音がする。助かったと内心思う。扉が勢いよく開かれた。


「今日も収穫なしよ。でも充実してたわ」


 俺は息が荒くなっていたステラを引き離した。


「ふんやっぱりね。私が必死に地球に帰る方法を探っていたのにいちゃいちゃしていたわけ。不機嫌になったわ」

「機嫌を取りなさいよ」

「すまない……ビーフジャーキーこの世界にないんだ」

「干し肉あるじゃない、よこしなさいよ」


 巴が干し肉と水でもっちゃもっちゃやり始めた。巴を横目で俺は見る。「地球の帰還方法を探るのはステラに内緒にしましょう」巴はそう言った。こいつのいう内緒とはなんなのだろうか。地球に帰ると聞いてステラが不機嫌になる。まあ後で機嫌をとればいいだろう。


「独り身だもんな」

「何か言った?」

「いや何も」

「ギアスに来て2ヶ月こうも手がかりがないとやり方が間違っている気がするわ」

「例えば……ハーデスを捕まえるとか」

「ハーデス?」

「俺たちが転移してきた時にいただろう爺さん。神とか言っていたっけ?」

「え? そうなの。転移した時にいた人……ね。何か思い出せそうな、思い出さないような」


 巴は腕組みして不思議そうに首をかしげる。


「転移した時の状況ってどうだったんだ?」

「高速で事故りそうになって……私死ぬんだって心が空っぽになった瞬間があったの。そうしたら転移してたわ。そういえば、私も車のそばに誰かいたような……でも高速よ?」

「俺は金がからっぽになった時だったな、ハーデスに出会ったのもその時だ。転移はハーデスがしてくれた」

「捕まえとけば良かったわね。そのハーデスっていう人」

「巴襟首つかんでぶん回してたぞ」

「えっ? 何? 私知らないわよ」

「巴に忘れられるぐらい存在感ないのか? 神名乗ってたのに」


 まっいいわと巴が話題を変える。


「デアロが言ってたスキルを使うって可能性も手がかりはなし」

「見つけたとしても膨大な魔力が必要になるだろうってやつか」

「ええ、そうよ。魔法陣を使うには大祓シリーズで優勝したら使えるかもしれない。それなら直接帰りたいって言ったら国が直接支援してくれるわ」


――ただ、それには


「地球に帰れるのは1人」


 ステラが言う。


そう、1人なのだ。過去の願いでも複数の人を対象とした願いは却下されている。なんでもといっても制限はある。魔法のランプと違って、これに変えると別の願いを言えばいいだけなので気が楽だが。


「煮詰まっているから気晴らしにいかない? 遊都もステラも手伝って欲しいクエストがあるんだけど」


そういって巴が羊皮紙を広げて見せる。

それは魔力草の採取のクエストだった。

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