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PIECE1:手紙

 窓越しに朝の光を浴びて、ヴェルナンド探偵はその長い体を伸ばした。

「おはようございます、先生」

 まるで太陽を手本にしたような微笑みを見せた少女は、自称"優秀なお手伝いさん"のリーシャだ。彼女は探偵を慕い、彼の所に来た依頼には必ずと言っていいほど熱心に耳を傾けて、時々口をはさんだりもするのだが、あくまで"お手伝いさん"で、"助手"ではないと本人は主張している。

「朝食の用意は出来ています。飲み物はどうされますか?」

「ありがとうリーシャ。紅茶を頼むよ」

「分かりましたぁ!」

 リーシャは返事をすると、薄茶色のショートヘアを揺らしながら、踊るようなステップでキッチンへと向かった。

 ある事件がきっかけで探偵と知り合った彼女は、それから毎日探偵が起床する時間にここへ訪れて、勝手に朝食を作ったり部屋の掃除をしたりするのが日課になっていた。探偵は最初、毎朝ドアを激しく叩いて起こすリーシャをよく思ってはいなかったのだが、どうしてもそれを止めようとしないので、合鍵を彼女に渡して自由に出入りすることを許したのだった。しかしリーシャは本当によく働いたし、自分に対する強い気持ちが伝わったので、信用することはそう難くないことだった。その証拠に、今の探偵はリーシャに感謝あるのみだった。

 

 たちまち部屋には紅茶の香りと湯気が漂い、暖かい空気に包まれた。

 探偵はいつものように用意された朝食を一通り口にしてから、リーシャの変わらぬ料理の腕を確認したところで、郵便受けを見て戻ってきたリーシャの異変に気づいた。

「どうしたんだい?」

「食事中にすみませんが先生、真っ白な封筒の不審な手紙がポストに……切手も貼られていませんし、恐らく誰かが直接入れたものだと思います」

 探偵が中を開けると、そこには何かのHPのアドレスと短い文章が書いてあるだけだった。


『この腐った世の中で一番美しいものが何か知りたくないか?

 その答えがある場所はコンピュータを使えば分かる。

 ただしパスワードが必要。次にヒントを記す。

 PRの中 8のB』


「誰かの悪戯ですよきっと!捨ててしまいましょう!」

 リーシャはひたすら気味悪がったが、一方探偵は対照的な態度をとった。

「いや、面白いじゃないか。ちょうど今日は丸一日予定がない。たとえ悪戯であっても、退屈するよりマシってもんさ」

「……ですかねぇ?」

 探偵はテーブルの上に乗ったノートパソコンを立ち上げ、手紙に書いてあるアドレスを慎重にキーボードで打っていった。

「確かに……パスワードが必要らしい」

 現れたページは真っ白で、何かを入力するスペースだけが存在していた。

 リーシャは画面を横から覗き込んで言った。

「一体誰がこんなこと!――先生、やはりこの"PRの中 8のB"っていう暗号を解くしかなさそうですね」

「そうだな……前半部分は分かったんだが、後が何だか」

「えっ!私は、後半の予想はついてます。最初の"PRの中"は何なんでしょう?」

「そのままだよ。アルファベットを思い浮かべてごらん」

「――ああ、なるほど!案外簡単だったんですね。 後半も単純なものです。こうして読みを書いてみると分かりやすいですよ」

 リーシャはメモ用紙を持ってきて、『ハチのビー』と書いた。

「つまり……」

 それを手で制する探偵。やられた、という顔で笑っている。

「前半と後半を合体させると一つの生き物になるな。これが答えか」

「でも先生、全部で7文字の英数字になりますが、普通パスワードは偶数ではないでしょうか?」

「まあ、とにかく入れてみよう」

 探偵は再びキーボードを叩いた。

物語の基本構成は、一つの謎と前の答えを一話ごとに入れていく予定ですのでできたら一緒に解いてみて下さい。

これからもヒントは文中に会話などで入れるつもりです。

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