ニ 天使の気まぐれ
コメントと表情よろしくお願いします。
してくれたら、喜びのダンスを1人でしときます。
「ルミエル。私お腹すいたな!!!」
いつもの何倍も身長を伸ばした女性の姿のアリスがこちらに文句をぶつける。
天使のアリスは身長も年齢も操れるのか。
いつもは少女の姿をしているが、こちらの方がよっぽど賢くていいな……いや。
「お腹すいたー!!何か食べたい!食べたい!!!」
夜の暗い商店街で駄々をこねるアリスに頭を抱える。
夜とはいってもこの世界の朝と言うやつはとっくの昔に消えちまったらしいがな。
ある闇組織に乗り込んでから二日目。表を歩こうとすると俺とアリスを追う人間と怪物が星の数ほどいる。
いくら仕事だったとしても、あの時は素直に退散するべきだったな。ただ、天使の使い【天制者】のアリスと接触できたのは爆アドだ。今後何かと使えるかもしれない…。が、流石にこいつのお世話をするのは大変すぎる。
「いいかアリス。俺はお前と一時的な協力関係となっただけで、親でもなんでもない!1人で暮らしていけるほどの能力はつけろ!……てか、あんた今何歳だ?」
「女性のお方に年齢を聞くのは失礼と教わらなかったのか!?………28歳だ。いつもの少女の姿では8歳ぐらいだがな。普通はこの女性が本物の姿である。」
へー、そうだったんだな。少女の姿よりまだ辛うじて知的な大人の姿であってほしい。
「とはいえ…腹が減っては戦はできぬ。だな。」
俺は頭を掻きながら、アリスを見ながら考える。
表を歩けば指名手配。身を隠し続けたら餓死で死ぬ。
「詰んだな〜……おっ、忘れていた。」
俺はいい場所を思いつき、アリスの方を見る。
「アリス!やっと飯にありつけるぞ。」
「おぉ!本当か!!!すぐ行こう今すぐ行こう!!!!!!!!」
アリスは少女の姿に早変わりし、俺の背中に乗る。
「少し飛ぶぞ…しっかりと捕まってろ……!!」
俺は翼を広げ、空へと飛びたった。
「さぁ、ここだぞ。」
光景はほぼ変わらない。てか、この辺は全て裏路地みたいな光景だ。
背中で眠るアリスを起こすと、急に大人の姿になり、俺は急は重量に押しつぶされる。
「あ、ごめんごめん。忘れてた〜。」
こいつ、許さん。
そんなこともありながら俺はある家の扉を3回ノックする。すると扉の先からも3回音が聞こえる。入っていい合図だ。
俺はゆっくりと扉を開ける。そこは余りにも暗く、先が見えない。
「おーい、旦那。薄気味悪い趣味はやめてくれ。」
電気が突然ついたかと思えば、視界の先には大柄の男が腕を組んで座っている。
アリスはすぐさま俺の背中に周り、少し顔を出して様子を伺う。正直いって大人の姿は俺よりでかいから意味ないんだが。
「よぉ、久しぶりだな。名無し。」
「お久しぶりです。ガロウさん。いやぁ、参ったことになって。」
俺は扉を閉め、席に座る。アリスも少女の姿になり、横に座った。
「あぁ、話はよーくあいつから聞いてる。で、どうだった?」
「いやぁ、幹部たちが圧倒的ですね。他は余裕でしたけど。」
「余裕かましたら負けたと…ハハハ。笑い話だな。」
俺たちが楽しく雑談しているところをアリスがジト目で見てくる。
「そうだそうだ。俺とこの少女。二日もご飯食べれてないんですよ。ちょっと何かくれませんかね?」
俺が申し訳なさそうに頼み込むとガロウは快く了承する。
「あぁ!もちろんだ。ただ、その少女について教えてくれるかな?」
「俺の名はガロウ。ガロウ・デンジャーだ。この事務所の創設者だ。役職は【責任者】」
スーツ姿のガロウは手を出し、アリスに握手を求める。
「私はアリス。【天制者】である天使の使いよ。ある用事があってここに来たわ。お腹が空いて力が出ないから、手を貸して欲しいの。」
20歳ほどの姿のアリスはとても知的で、変に大人にならない方がいいらしい。2人は互いに握手を交わし、ガロウは口を開く。
「もちろん。食料の提供はしよう。寝床も用意するぞ。ただ、それはこの事務所に名簿登録してくれたらだな。」
ガロウは立ち上がり、棚からファイルを取り出し、中の紙を渡す。
「俺特製の《契約書》だ。魔術で保護されているから安心しろ。しっかりと目を通しておいてくれ。」
俺が横から覗き込むと、それは俺がこの事務所に入った時と同じ内容だった。
内容はシンプル。ただ、この事務所の契約者として働くだけだ。俺はこの事務所に所属する【魔天使】である。
アリスがサインをし終わると同時に、2人は俺の方を見つめた。
えぇ、俺も自己紹介するのぉ。
「ルミエルもしてくれ〜。聞きたいよぉ〜。」
別にみんな普通なんだし聞きたいとかないだろと思いつつ、俺は口を開く。
「ルミエル。最近はこの名で通している。役職は【魔天使】、闇魔術を使用する。あー、かんぐらいでいいか?」
もうやめてくれと付け加えた俺にガロウは笑って肩を叩く。
「すまんすまん。久しぶりでな、少し意地悪をしてしまった。」
「はぁ…そんなことよりも”あいつ”は?」
俺がガロウに聞くと、アリスは首を傾げた。
「あいつって…誰のこと?」
「あぁ、ここの事務所のまぁ…秘書?みたいな…」
あいつとは誰を指している言葉なのか分からないアリスはまた首を傾げる。
そして、ガロウが俺たちの間に割って入り、手を叩く。
「そんなことよりも、飯だ!」
一面に並べられた二日ぶりの絶品。肉に魚、野菜にフルーツ。あらゆるものが揃っている。
「珍しいな。ケチなガロウがこんなに出すなんて。」
「お前のためじゃ無いぞ?今回は新入りが入ったからな。お祝いだ!」
そう言いながら俺とアリスのお皿に大盛りの料理を盛り付ける。それにアリス(大人)は目を輝かせる。
「お・い・し・そーーー!!!」
「そうだろう、そうだろう。今日は大いに食べてくれ!」
そうして俺たちはみるみる料理を平らげる。
そうして、料理を食べ終えた後。ガロウが話題を出す。
「そうだそうだ。ルミエル今仕事ないだろ?新しく大量の依頼が来ているぞ。」
俺はガロウから渡された資料に目を通し、一つの紙を指差す。
「このお尋ね者を探すってなんのこと?」
「簡単だよ。そこの写真の人を探して依頼主の前に持ってくるだけ!ただ、そいつを連れてくるのがSSS級にむずいんだよなー。」
その写真の人物はガリガリに痩せ細った男性。見るに50は超えていそうだ。
「よし、アリスと一緒にこの仕事やるわ。報酬も相当いいしな。」
俺はガロウに資料を返すと、二階へと上がる。
1番向かいの扉を開けると、そこは俺の部屋である。
「今回は……こいつを使うか。」
そこにあったのは黒い槍。闇でできているため原型が定まっていないのが特徴だ。
俺は槍を片手に持ち、一階へと降りて声を出す。
「アリス行くぞ。【暗毒師】グラフ・グランデを捕えて、依頼主の元に突き出すぞ!!!」




