第54話
新たに加わった仲間4人に簡単な強化を施して、今日の集いはお開きとなった。
昨日から続く、混乱にみんな大小あれど疲れているだろうし、特に沙耶ちゃんと直子さんはまだ見ぬ俺の家へ引っ越しの最中なのだ。
「それじゃあ、また明日な」
「おう!優斗には心配無用だと思うけど、気をつけて帰れよ!」
別れの挨拶を交わし、陽輝の家を後に3人で俺の家に向かう。
「予定より、遅くなってごめんね」
今更ではあるが一応、謝っておく。
「大丈夫です。それに強化してもらったおかげなのか体が軽くなった気がします」
「そうね。なんだか若返ったみたいに体が軽いわね」
「二人にそう言ってもらえると助かるよ。それと直子さんは十分、若いですよ」
「あら、そう言ってもらえると嬉しいわ。うふふ」
他愛ない会話をしながら歩いていれば、すぐに俺の家へと着いた。
「ここが俺の家です」
至って普通の家の為、リアクションは期待していないし、する方も困るだろうから、さっさと家にあがってもらう。
「俺が言い出した事なんで遠慮なくあがってください。ただ、男の一人暮らしで掃除が行き届いてなかったら、すいません」
家の中を見渡して、直子さんがひと言。
「そんなことないわよ。正直、思っていたよりも綺麗に片付いてるのね」
ひとえに使わない物などをアイテムボックスに全て収納しているおかげなのだが黙っておこう。
まもなく、夕方になるということもあり、今日は部屋決めと家具の入れ替えを行うだけにしておく。
今まで俺は2階にある部屋を使っていたが何かあった時にすぐ対処できるように1階の両親の部屋に移る。
二人には2階の2部屋を使ってもらおう。
元々あった家具をアイテムボックスで収納して、簡単に掃除してから指示された場所に家具を置いていく。それを2部屋行うと結構、いい時間になった。
夕食もお弁当で済ませたが体のことも考えて、明日からは直子さんが作ってくれるとのことで楽しみだ。
夕食が終わり、お風呂を順番に済ませていき、二人にとって今日は色々なことがあったので、早めの就寝となった。
それにしても、沙耶ちゃんの寝巻き姿はなかなか良かった。
◇
翌朝、俺がいつもの時間に起きると直子さんは既に起きており、朝食の準備をしていた。
「おはよう、優斗君」
「おはようございます。直子さん」
「勝手に台所を使わせてもらってるわよ」
「一緒に住むことになったからには遠慮はいらないですよ」
「そうさせて貰うわね。それとうちから持ってきてもらった食材を出してもらえるかしら?」
「わかりました」
最近ではアイテムボックスを常用している為、冷蔵庫の中を見て何もなくてさぞ驚いただろうと思いつつ、言われた食材を取り出していく。
「後、沙耶を起こしてきてもらえるかしら?」
「えっ!?いいんですか?」
突如発生した、年頃の女の子を起こすイベントに戸惑いつつもなんだか顔にいやらしさが出てしまう。
「ちょっと!?どんな起こし方、するつもり?」
顔に色々と出ていたのだろう。見事に看破されてしまった。
「ふ、普通に扉の前から起こしますよ」
「なら、良いけど・・・」
残念ながら可愛い寝顔は拝めそうにないようだ。
それと出来ることなら俺が沙耶ちゃんに優しく起こしてもらいたかった。
直子さんのジトッとした視線に見送られながら、昨日まで俺が使っていた部屋の前まで行く。
コンコン!
「沙耶ちゃん、もうすぐ朝食が出来るよ」
俺の声に驚いたのか部屋の中から慌てた音と共に声が返ってきた。
「い、今、いきますっ!」
響いてくる音だけで部屋の中がどんな状況なのか想像出来る。
とりあえず、起こすことには成功したので台所に戻り、鼻歌を歌いながら朝食の準備を進めている直子さんを見ていると沙耶ちゃんがやって来た。
「おはようございます」
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「はい。思ってたよりも疲れていたようですぐに寝ちゃいました」
「それは良かった」
「二人とも出来たわよ」
会話もそこそこに朝食が出来たのでさっそくいただくことにする。
朝食のメニューはトーストに目玉焼きとサラダだった。
簡単なメニューではあるが久しぶりに感じる暖かみのある朝食の風景に自然と顔が綻ぶのであった。




