第52話
俺と陽輝以外の強化をはかる為、スキルクリスタルを吸収させようとするもステータスボードを取得していないと使えないことが判明。
なのでステータスボードを取得させる為に全員で外に出てモンスターを探すことになった。
手筈としては俺と陽輝が索敵スキルでモンスターを見つけ、俺が影魔法で拘束、ステータスボードを取得させたい4人に一撃を入れさせて、俺か陽輝が止めを刺す。
そうすれば、戦闘に参加したことになり、ステータスボードを手に入れられる寸法だ。
問題はまだ心の準備が出来ておらず困惑している3人だろうか。
特に沙耶ちゃんのお母さん直子さんが不安なのだろうなんとか断れないか、模索しているようだ。
ええ、1人はノリノリなので3人ですね。
その1人とは言わずもなが陽輝の妹の美嘉ちゃんです。
「優斗君、やっぱりみんな強化しないと駄目かしら?」
「俺の計画には直子さんも組み込まれているので残念ですけど、覚悟を決めてもらうしかないですね」
世界は危機的状況にあり、強化は安全確保の為にも必ずしてもらう予定なので強引だろうと頑張って叩いてもらうつもりだ。
そんなやり取りをしていると陽輝が早くもモンスターを見つける。
「優斗、見つけたぞ。みんなも心構えくらいはしといてくれよ」
直子さんも諦めたのか、無言で頷く一同。
モンスターとはまだ距離があるがすぐに拘束出来るように俺が先導して進む。
住宅街を進むこと数分。住宅の角を曲がった先にモンスターの反応を感じる。
俺は角の手前で止まり、手で止まるように指示を出す。
みんなの顔を見れば、陽輝以外、緊張の色が窺える。
声を出さずに行ってくるとゼスチャーをして、一人で角から飛び出すとでっぷりとした二足歩行のモンスターが視界に入った。
そこには実物は初めて見るが見慣れたイメージ通りのオークがいた。
「フガッ!?」
「(シャドウバインド)」
無詠唱で影魔法を発動。オークの足下から影の帯がスルスルと巻き付く。足から腰、腰から胴体、そして腕にたどり着く頃には完全に締め上げていた。
「ブモオォォ!!」
なんか、怒ってるみたいだけど、うるさいので影で口を塞ぎ、吠えれなくしておく。
「フゴッ!?フゴッ!?」
まだ、少しうるさいがこれくらいは許してやる。
「捕まえたから出て来ていいぞ!」
俺の報告を聞いて、4人は恐る恐るといった感じで陽輝の背中について歩いてくる。
そして、俺が捕まえたオークを見て、女性陣がギョッとした表情を浮かべる。
恐らく生理的に拒否反応が出たのだろう。
なんてったって、オークと言えば、女騎士の宿敵として代名詞であり、つまりは女性の敵なのだから。
「ほ、ほんとにこのモンスターを殴るんですか・・・!?」
一番近くにいたモンスターがたまたま、このオークだった訳だけど、初心者でしかも女の子の沙耶ちゃんには荷が重い相手だったかもしれない。
そんな中、我が道を行く者が一人。
「お、お兄ちゃん・・・あれってひょっとして・・・オークだよね・・・」
「そうだと思うけど、肩を震わせて、ど、どうしたんだ?美嘉。」
「お兄ちゃん、私は今日、数多の女騎士達の無念を晴らす!」
「お、お前、それは『くっころ・・・』」
妹に睨まれ、途中で言葉を切る陽輝。
「お兄ちゃん、余計な事はいいから早く武器貸して!」
妹の気迫に圧されて、素直に武器を渡す。武器はミスリルバットを渡したようだ。
ミスリルバットを片手にオークの正面に移動する、美嘉ちゃん。
静かに構え、オークを見据えて何やら語り出した。
「お前の悪行も今日までだ!数多の被害にあった女騎士達の怒りと悲しみ!!受けてみろ!」
「成敗!!」
バスン!
「天誅!!」
バスン!
「チェストォ!!」
バスン!
「「「・・・・」」」
変なシーンを見せられ、意識が遠退いて、間もなく大気圏を突破しかけていた、俺を沙耶ちゃんが呼び戻した。
「わ、私も叩く前にな、何かセリフを言わないと、だ、駄目ですか?」
変なものを見せられて、かなり困惑しているようだ。
「沙耶ちゃん、言わなくて大丈夫だからあれは初めてのオークに混乱してちょっと、いや、かなり頭がおかしくなっただけだから沙耶ちゃんは普通にね」
俺は陽輝に向かい、「さっさとあのアホな妹を止めろ」とアイコンタクトを送る。
その後、妹を抑えることに成功した陽輝が俺に小声で「妹がなんかすまん」と謝ってきた。
美嘉ちゃんの奇行を見せられた、残りの3人は色々と精神的に乗り越えたのか吹っ飛んだのかわからないがすんなりと無抵抗のオークを叩くことが出来た。
最後は俺が頭を剣で一突きして止めを刺した。
こうしてステータスボードの取得は『何事もなく』無事に完了した。




