第25話:強化開始
ハァ、ハァ、ハァ・・・
室内には若い男の荒い息が木霊する。
「ハァ、ハァ、優斗・・・俺もう・・・うっ!」
素直に言って、初めてにしては頑張った方だろう。陽輝のギブアップ宣言を受けて、供にサイドステップを踏んでいた脚を止める。
最初の勢いは何処へやら精根尽き果てて、床に倒れ込む陽輝を見下ろしながら、俺は先輩風を吹かせる。
「情けないなぁ~、この程度で根をあげてたら、いつまで経っても強くなれないぜ」
「く、くそっ!絶対に優斗を追い抜いてやるからな!」
「とりあえず、普通に立っていられるようになってから言ってくれ。とにかく、今日は終わりにしてどれだけ貯まったか確認してみるか」
俺の言葉に最早、反応すら出来ない陽輝は倒れたまま、片手を挙げて頼むとゼスチャーしている。
リビングの中心にあるダンジョンコアに触れて、DPの確認をすると約120万DP程貯まっていた。
ここ最近の俺の平均が110万DPいかないくらいだったので今日の陽輝の稼ぎは約10万DPくらいだ。
俺の初めての時と比べても倍以上ある。
「陽輝、かなり稼げてるぞ~」
「よっしゃー!」
少し回復したのか声だけは威勢が良いがまだ倒れたままだ。
「ところで今後も効率的にDPを稼ぐには身体強化と超回復のスキルを取得すると良いんだが陽輝って、どんなスキル持ってるんだ?」
喋る元気も無くなってきたのか俺の問いに返事もなく、ステータスボードを開いて見せてくる。
レベル22 陣内陽輝
スキル
・索敵Lv:2
・剣術Lv:3
・雷魔法Lv:5
「おお~~!」
流石、現トップ探索者だ。スキルを3つも持っているなんて、ブイブイ言わせてただけのことはある。
「雷魔法のスキルクリスタルをゲットしてたのは噂で知ってたけど、他のスキルもクリスタルから取得してたのか?」
そこでうつ伏せから仰向けになり、息も絶え絶えながら答えてくれた。
「スキルクリスタルから取得したのは雷魔法だけで、他は知らない内に身に付いてたな」
それはそれですげぇよ。俺なんて2年間潜り続けても何も身に付かなかったのに。
「何かスキルの希望はあるか?」
「あるにはあるけど、まずは優斗の言う通り、身体強化と超回復から頼む」
「了解。スキルの振り分けは適当で良いか?」
「ああ、任せる」
任されたのでテキトーに交換していく。
レベル22 陣内陽輝
スキル
・索敵Lv:2
・剣術Lv:3
・身体強化Lv:8
・雷魔法Lv:5
・超回復Lv:4
今回は俺の分のDPも全て交換したのでかなりスキルレベルが上げられた。
スキルクリスタルを吸収させるとすぐに効果を発揮しているのか、陽輝が今からまたやれそうだと強がりを言うので誘ってみたら丁重に断られた。
今日はこれで終了だが実際にチートを体験した陽輝はすぐにでも強くなりたいようで明日から合宿をしようと言いだして、俺も賛同したため、強化合宿が行われることになった。
「うちは見ての通り、家族はいないからいいが陽輝ん家は問題ないのか?というか学校は大丈夫なのか?」
「ああ、家は親父と妹がいるけど、家事は妹が全部やってくれてるし、今日も遅くなるかもと言ってあるから問題ないかな。学校の方はもともと休みがちだし、特に今回の怪我で親父が長期休学の申請していたらしいから大丈夫じゃないか?」
「俺に聞かれても・・・」
結構、行き当たり張ったりな奴なのかもしれない。
「なんにせよ、強くなれば今回みたいな大怪我を負うこともないだろうしな。俺は止められてもやるぜ!」
「まあ、陽輝がそれで良いなら良いんじゃないか」
こうして家に泊まることになった陽輝と明日からは激動のサイドステップ法スキル強化合宿が始まるのであった。




