第24話:コンビ結成?
溜まっていた不安を出し切るかのように泣いた陽輝の顔はスッキリしていた。
「それで色々と説明して、貰いたいんだがその前に俺は医者になんて説明すれば良いんだ?」
「ん?」
言われている意味がわからなかったが簡単に説明してくれるようだ。
「はぁ~、重傷だった俺がいきなり何事もなかったように元通りの体になってたら医者はどう思うだろうね」
「・・・考えてなかった」
「とりあえず、それらしい理由でも考えるか」
「そうだな」
話し合いの末、いくつか案が出たが結論から言うと寝て起きたら、元に戻ってたということになった。
次案では陽輝地球外生命体案もあったのだが陽輝がどうしても勘弁してくれと言うので不採用とした。
話がまとまったところでもし、俺が医者などに問い詰められたとしても知らぬ存ぜぬで通すよう口裏を合わせて、今日は帰ることにした。
俺は帰り際に受付のお姉さんに「お姉さんが深刻そうに言うから心配してたのに会ってみたらなんともなかったじゃないですか。ははは」と猿芝居をしてから帰ったのは余談だ。
陽輝は俺が帰った後の回診で驚愕する医者達から検査や調査やら研究で血肉のサンプルの提供を求められて、大変だったらしい。
度重なる陽輝の超再生力検査が終わった夜には陽輝からメールで退院したら、絶対に説明しろよと念押しのメールが来ていた。
それから陽輝が退院出来たのは再検査に次ぐ、再再検査を経ての3日後だった。
その間にメールでのやり取りで口で言うよりも実際に見せたほうが早いので説明は家で実践することになった。
◇
早朝6時。
チャララ~!
「(こんな朝から誰だよ。)」
普段のアラームとは違う、着信音が鳴る。
チャララ~!チャララ~!
なかなか鳴り止まないスマホ。
「(うるさいな~)」
チャッチャラ~!チャララ~!
「はいはい、出れば良いんだろ!出れば!」
寝起きで頭が冴えない状態でスマホの通話ボタンを押す。
「はい、もしもし・・・」
「もしもし、俺だけど」
早朝からおれおれ詐欺かよとツッコミたいところを堪えて本題に入る。
「それで早朝から何の用だよ?陽輝」
「それがさぁ、家でじっとしてられなくて来ちゃった」
「来ちゃったって何処の家出娘だよ。ん?来ちゃった?」
「おう。今、優斗の家の前にいる」
「はぁ~」
早朝から深い溜息を吐きつつ、着の身着の侭、玄関の扉を開けてやる。
「おはよう!」
陽輝の爽やかな笑顔を見て何も言わずに扉を閉める。
「おいっ!?なんで閉めるんだよ!」
お約束である。
出来ることならもう1回くらい天丼したかったが早朝から家の前で騒がれても、近所迷惑なので素直に場所をリビングに移す。
「で、こんな朝から押し掛けて迷惑だと思わなかったのか?」
「それについては悪かった。それで早く教えてくれ」
コイツ全然反省してねぇ~。
焦れる陽輝を放っておいて、俺はマイペースに朝の仕度をする。
朝食は俺の分も陽輝がコンビニで買ってきていたのでそれを頂き、食べながらの超簡単な説明となった。
「それじゃあ、優斗はダンジョンコアを使って、スキルやエリクサーなんかを交換出来るのか?」
「まあ、そうだな」
「すげぇ~、それってチートじゃん!」
「チートだな」
そう言って俺のステータスボードを開き、陽輝に見せる。
レベル18 御影優斗
スキル
・索敵Lv:10
・危険察知Lv:10
・棍棒術Lv:10
・剣術Lv:4
・体術Lv:10
・身体強化Lv:10
・影魔法Lv:10
・闇魔法Lv:10
・超回復Lv:10
・サイドステップLv:10
エクストラスキル
・地図
・アイテムボックス
・鑑定
俺のステータスボードを覗いた陽輝が息を飲む。
「・・・すげぇ」
そんなに驚かれると、どや顔になってしまう。
「俺もこんな風になれるのか?」
「なれるさ」
俺の中では陽輝の怪我を治すと決めた時点ですでに巻き込むことを決めていたし、ついでにコンビも組んで貰うことになっている。
幸いにも今の陽輝はスポンサーから契約破棄されており、フリーなのだ。
「でも、本当に良かったのか?」
これだけで察した陽輝は吹っ切れた表情で返事を返してくる。
「構わないさ。むしろ今回のことでスポンサー契約にはもううんざりしたし」
当初、スポンサーは陽輝が怪我を負い探索者を続けるには不可能とわかるやいなや、一方的に契約破棄を伝え、怪我が治ったことを知るなり再契約を迫ってきたらしい。当然、そんな尻軽スポンサーなど追い返したと言っていたが。
そこで俺が秘密を共有する代わりにコンビを組もうと、まるで傷心の女の子に優しく言い寄るように言ったら2つ返事を貰えた。
「そんなことよりも早くチートしようぜ」
「そうだな。ははっ!」
陽輝に促されて、リビングにダンジョンコアと衝撃吸収マットを二人分出して準備する。
「・・・なあ、優斗・・・何してるんだ?」
チートすると言いながら、自然な仕草でマットを敷きだした俺を怪訝な表情で見てくる陽輝。
「陽輝、スキルやアイテムを交換するにはDPが必要なんだぜ」
「それはわかっているがそれとマットが関係しているのか?それにDPならもう貯まってるんじゃないのか?」
「何言ってるんだ?これから自分の足で稼ぐに決まってるだろ」
「ええぇ~~?!」
その後、夜までひたすらサイドステップを踏ませて、陽輝の足腰をガクガクにさせてやった。




