5
そう思い立ったら私は走り出していた。
「アリス!どこに行くの!?」
「決まっているでしょ!助けるのよ!」
「助けるってどうやって!?」
イリアは私の走る方向を見て気づいた。
「もしかしてあなた!」
「ちょっと拝借するわよ、このマシン!」
私はそう言って会場に展示されていたクサナギに乗り込んだ。
「よっし、これならゲームと同じね!いっけー!!」
私はクサナギの電源を入れるとブーストをふかして空に向かって飛び出した。大会会場の天井を突き破って。
私は敵の姿、「神竜」の姿を追いながら武装を確認する。
「・・・なにこれ、この子もカスタム機?」
このとき、私のケータイに電話がかかってきた。・・・イリアからだ。
「もしもし?」
「ちょっと、何を考えてるの!?ゲームとは違うのよ!」
「なによ、ちょっと拝借しただけじゃない。それにゲームと同じよ。ほら、コックピットだってゲームそのまんまだし。」
「でもあなたが野郎としているのはゲームじゃないのよ、実践なのよ!わかってる!?」
「わかってるわよ。大丈夫、ゲームなら死にはしないわ、じゃあねー。」
「あ、ちょっと!」
そう言って私は電話を切った。
続け様に今度は通信が入った。何だろう?回線をオープンにする。
「誰だ!?クサナギカスタムを操縦しているのは!?」
「クサナギカスタム!?やっぱりこれはカスタム機なのね!」
「あーそんな事はどうでも良い!そいつを操縦しているのは誰だ!?」
「ユニットバトラー決勝進出の姫路アリスですっ。てへっ!」
「なにが「てへっ」だ、あほう。いいか、お前がその機体に乗っている以上俺たちの指示に従ってもらう。いいな。」
「了解。」
「ああ、それと、ビーム兵器は使うな。コロニーに穴が空くぞ。それと人質の救出を最優先にしろ。不用意に攻撃は仕掛けるな。わかったな。」
「わかったわ。後は任せて!」
「・・・不本意だが今更パイロット交換のために戻っていては時間が無い。貴様に任せるしかないのだ。もし人質に何かあったら、機体を無断使用したことも含めて貴様に責任を取ってもらうからな。わかったな。」
「あー了解、了解!わかったから通信切るわよ!」
「じゃあ、任せたぞ。」
そこで通信は途切れた。
それじゃあいくわよ、待ってなさい、私の金づる!