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鶴の恩返し

むかしむかし、ある村に、心優しい猟師がおりました。

ある冬の日、猟師は罠にかかった一羽の鶴を助けました。

その夜、見知らぬ娘が訪ねてきて言いました。


「わたしを、おそばに置いてくださいませ。

そのかわり……恩返しをいたします」


娘は織物を織り始めましたが、こう言いました。


「どうか……決して覗かないでくださいませ」

猟師

「わかった、覗かん……(ガラッ)」

「早い!!」


障子を開けた猟師が見たのは、

羽根をむしりながら布を織る“鶴の姿”でした。


「だから覗くなと言ったでしょうが!!

もうやめじゃ! やめじゃ!!」

猟師

「す、すまん……!」

「もう知りません!!」


怒りのまま、鶴は娘の姿のまま

バサァッ! と羽ばたいて飛び去ってしまいました。


猟師

「……娘の姿で飛ぶんかい……」


翌朝、猟師が山道を歩いていると——


ガサガサ……ガサッ……


猟師

「……ん?」


そこには、昨日助けた罠とまったく同じ場所で、

娘の姿のまま罠にかかっている鶴(娘)がいました。


鶴(娘)

「…………」

猟師

「…………」

鶴(娘)

「……ち、違うんですこれは……

昨日怒って飛び立ったら……

着地に失敗して……その……」

猟師

「また同じ罠に……?」

鶴(娘)

「言わないで!!」

猟師

「……助けるぞ」

鶴(娘)

「……お願いします……」

猟師

「昨日は……悪かった」

鶴(娘)

「……わたしも……怒りすぎました……

でも……覗くのは本当にダメです……

あと……罠の位置、覚えていたんですけど……」

猟師

「覚えてたなら、なんでまた……」

鶴(娘)

「ドジなんです!!」


その夜、鶴が鶴の姿のまま訪ねてきて言いました。


「……改めて恩返しに参りました。

娘の姿は……ちょっと恥ずかしいので……

今日は鶴の姿で失礼します……」

猟師

「いや、どっちでもいいが……」


鶴は織物を再開し、

猟師は絶対に覗かないように

障子に“覗くな”と大きく書いた紙を貼った。


「……ありがとうございます……

これなら安心して織れます……」

猟師

「罠の場所も地図に書いといたぞ」

「助かります……!」


こうして二人は、

“恩返し”と“ドジっこフォロー”で結ばれた

奇妙で温かい関係になりましたとさ。

おしまい。


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