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第134話 さらばアケうにょ6

前話からさかのぼること2か月、2035年10月。

「この店でアケうにょ打てるのも今日が最後だねぇ。」

ここはサンシャインZ。秋の朝日を背景に、ルネが名残惜しそうにつぶやく。

「おれらには思い出が多すぎるよね。何人並ぶか分からないけど今日こそは並んで打ちたいもんだなぁ。」

そう。大幅減台の発表を受けてアケうにょで少しでも稼いでおこうと考える人や、お別れ打ちをする人が集まってくることもあって、ここ数日は中々一緒に打てていない。そして今日はアケうにょがこの店で打てる最終日。お別れ会、ただありがとうを伝えたい。そんな最終日。

「ねぇ、少し歩かない?」

実はまだ8時30分。何故こんなに早く来たのか。・・・そうゆう気分の時もあるでしょ?そうゆうことよ。

「ナイス提案。」

エンジンを止める。車内で流れていた楽曲も止まる。束の間の静寂。無音のセンチメンタル。「ほら、歩きながら色々話そうよ。」

ルネの言葉が無音を切り裂く。ドアの開閉音や風の音。思いのほか車の外は音が溢れていた。

「ほいさ。まずは店の周りから。」

「分かってるじゃん。」

この一年で何度も訪れた終わりの地ことサンシャインZ。まず目についたのは並んだベンチと灰皿。

「・・・一本吸いなよ。わたし結構好きなんだ。ツキヒトが隣でタバコ吸ってる時間。」

「ん。・・・おれがルネに最初に話しかけたこと思い出したよ。・・・恥ずかしい。」

タバコに火をつけ、空を見る。吐き出す煙は雲になる。シュウザ。

「ふふ、懐かしいね。「お姉さんタバコの臭い大丈夫?」で合ってるかな?あの時、ツキヒトが隣でフリーズ引いてなかったら今こうして二人並んでることもなかったのかもしれないよね。」

もくもくと立ち上る雲を少し肌寒い風が流していく。ジューイ。燭台。

「あってる×2。そうだねぇ。多分ルネにフリーズの件で話しかけてもらえなければこちらから話しかける度胸はなかったと思われる。」

「フリーズさせたツキヒトと声をかけた私。どっちが欠けてもなかった関係ってこと?」

「そゆことよ 奇跡の価値は ラブバイツ」

「いい句だわ。そぉーどぅーあい。」

こんな感じでタバコの火種は黒の海へダイブ。シュハク。吸い終わったよって合図を目で送る。

「よし。もうちょい歩こうか。」

「承知。」


終わりの地を今までの思い出を語りながら1周すると、ポコポコと車が増えてくる。今日も思いを同じくした人が多そうだ。抽選と言う名の本日最大の勝負まであと30分ほど。

「もし今日二人とも抽選で駄目だったらさ。」

少し間があった。最近ルネがショートロック話法を覚え始めた。密かにブームが始まってるのかも。

「駄目だったら?」

慣れないうちは何秒ロックかけるか難しいはずなのでアシストする。

「・・・アクエリヨンしてみない?」

?・・・どゆこと?こっちもショートロック。

「・・・」

こちらを見たまま無言や。え。もしかして合体したいってこと?

「間違ってたらすまん。きしむベッドの上で優しさを持ち寄り?」

「・・・うーんそうさご名答。」

まじか。いや、たしかに付き合ってから大分時間は経っている。いつかはそうゆうこともあるかもなぁくらいに考えていたが。

「・・・ス ステータスオープン。ツキヒトレベル1 職業:魔法使い見習い 経験値:ぜろ 状態異常:緊張 本当によろしいですか?」

「・・・だがそれがいい。」

漢。ルネさん傾奇者やで。気分は松風、ブルルンヒンヒン。旦那ぁ、愛車は目の前ですぜぇ。戻ってきた車内は少し暖房のぬくさが残っていた。抽選開始までしばしの休息。忘れそうになってたけど今日はこの思い出の地、サンシャインZでアケうにょが打てる最後の日。抽選で勝ち取るぞ。・・・まぁ合体でも。うん。


「おはようございまーす。」

さぁ時間だ。店員が抽選のための機械を並べている。まもなく抽選開始。よし。行くか。

「9時30分抽選開始です。こちらに2列でお並びください。」

同じように車からぞろぞろと出てくるライバルたち。今日こそは俺らが勝ち取るからな。

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