賢者エキドナ
「はいはいは〜い お喋りな豚さんにはお仕置きをするです」
私の前にいたオークカイザーは不審がって周りを見渡しているがその声の主の姿は見当たらない。
そして、唐突に木の影や地面から生えて来た鎖がオークカイザーを死なない程度に、鎖が少し体にめりこむぐらいの力で体を縛られた。
「グッ! コノテイドノ クサリ ヒキチギッテクレル!」
オークカイザーが武器を振り回し体を捩りなんとか鎖を振り解こうとしているが、一見拘束力のなさそうな鎖だが全く解けないし壊れない。
「あはは、そんな事しても無駄で〜す 豚くん如きに壊されるほど私のは軟弱じゃないです〜」
「グググ… ケンジャメ……」
「はいは〜い 無駄な足掻きタイムは終了で〜す
来世への期待を胸に〜あの世行きで〜す 私の慈悲で、幸せ一杯に殺してあげるです」
また、なんの前触れもなく今度はオークカイザーの真下の地面から半分に割れて内側が刺で覆われた巨大な球体が現れて、それがまるで口の様にオークカイザーを下半身だけを喰いちぎった。
当然オークカイザーからは大量の血が流れ出ている筈だが本人は全く気にしないというか、寧ろ気持ちよさそうにしている。
次第に下半身を平らげた球体はオークカイザーの上半身を咀嚼し始める。
しかし、それでもなおオークカイザーは気持ち良さそうな顔のまま食べられていった。
「いや〜豚くん如きにも労力を使ってあげる私…なんて慈愛に満ちあふれているんですか… おっと邪魔者もいなくなった事ですし、お話をするですか闇の賢者オオトリ サクヤ君 それとも冒険者ラファちゃん?」
「……」
「おやおや〜無視ですか〜」
「煩さい こっちからは話すことなんて無いんだし、そもそも人と話すときに人前に合わない様な人と話すつもりなんてさらさら無い」
「う〜ん、まあ折角のお話なんだし手土産もあるですよ〜 あと話し方を気遣いしているなら…
この扉の先に来て欲しいです そしたら、私の麗しい姿を見ることができです」
すると、私の前に扉というには大きい門の様な建造物が現れた。
「だから、わざわざそんな事しなくても会うつもりなんかないんだから意味ないよ」
「む〜 強情だな〜サクヤ君は〜 えいです!」
そう言う声と共に門に向かって強い風が吹き、体が門の方へと引っ張られる。
勿論抵抗しているのだが、風は止む事なく吹き続け、次第に立っている地面の土が無くなり出して
流されるまま門の中に吸い込まれた。
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