過去編 ローズ
私の名前はローズ。
魔大陸に住んでいたオーガの一族の生き残りだ。
私が産まれたのは比較的に王国側に面している側の海の近くの集落で狩りも漁も盛んだった。
そんな集落に私はキングオーガの子供として生を受けた。
キングオーガは本来国家存続をぐらつかせるぐらいの強力な魔物だ。
キングオーガの父は女である私にも常に死と隣り合わせの訓練を齢6歳ほどの時から行わされていた。
それまでは、母が女性としての嗜みと魔法の座学、基礎訓練が行われていたが父の訓練は正直言って常軌を逸しているとしか思えなかった。
解体用のナイフだけでタイラントベアーやワイバーンなどの強力な魔物が平然として徘徊している様な森に置き去りにされたり。
無人島に置き去りにされて泳いで帰ってこいと言われたり。
平気で食事に毒を盛られたり。
マジックオーガの魔法実験の被検体にさせられたり。
挙句には竜の巣に放り込むは。
ダンジョンを攻略するまで集落に入れてもらえなかったりと、いつもこんな訓練をさせられていたので、私はそこにあるものだけで戦うかなり変則的な戦闘スタイルになってしまった。
こんな生活をしていたものだから、私は心底父が嫌いだった。
私に弟がいたらこの訓練を私がしなくてよかったのか?と何度も考えていたが、やがてそんなことを考えることもしなくなった。
訓練を始めてすでに10年が経ち、私はすでにオーガキングである父も凌ぐほどの戦闘力を持っていた。
年齢は16歳もうそろそろこの集落から逃げ出したい気持ちが強くなってきた。
結局は私の下に弟は愚か妹すらできなかった。
なので暫定的に次の族長は、私になると言うことだ。
父に相談したいのだが、小さい頃からの仕打ちがトラウマになっているので、父を前にすると戦闘力は決して負けていないのに必ず萎縮してしまう。
そんな幼少期を過ごしてきた、私にはこの集落ですまともに話せるのは、母ただひとりだけだった。
そんな風に父からの訓練を淡々と過ごしている時にあれは突然やってきた。
今日野訓練は森に入り、タイラントワームは10体狩るまで帰ってくるなと言うもので、はじめは3日ほどかかると思っていたが、ちょうど子連れの群れ遠見つけたので、予想よりも比較的に速く訓練を終わらせることができた。
訓練を終わらせて村には帰るとそこには地獄絵図が広がっていた。
帰ってきている時に見た煙はどうやら火災ではなかったらしい。
父からの訓練で得た優秀なスキル隠密と遠視よ二つを使い、遠目から村の様子遠確認する。
敵の数母どれほどかと見るとざっと見ただけで2千人近くの兵士が集まってきた。
すでに半分以上のオーガの戦士達が横になっている。
オーガの戦士の死体の数は100人ほどなのに対して、人間の兵士の死体は1000人近く死んでいた。
更に父も血塗れで満身創痍の状態で母も父のすぐそばで、横たわっていた。
そんな感じで戦況を見ているとするとついに父が倒れた。
すると必死の抵抗をしていたオーガ達も次々と死んでいった。
父は嫌いだったが、父の訓練は大きく意味があったと思っている。
流石にあの数の中に単身で突っ込んで勝てる自信はない。
すると人間達が海の方に帰っていった。
人間の兵士がいないのを確認して父と母と他の人を弔ったりしているうちに、あっという間に月日が流れた。
「母さんの仇は必ず取ってあげるからね!」
そう言い残して、もう誰もいない故郷遠後にした。




