閑話1話 その時のあの人達
その日公爵邸の職務室にいたリゼの父である
アドルフ リイータはとある厄介ごとによって最近まともに睡眠を取っていない。
その厄介ごとというのが南のシャガール王国から勇者召喚の儀を行った。
それだけならばよかったのだが、その勇者召喚が成功した上に、勇者だけでなく勇者の仲間をも召喚してしまったのだ。
異世界からの勇者は多くの場合が特別な力を宿している。
たった1人ならば良いのだがそれが何十人ともなると大きく話は変わってくる。
魔王が復活したという話は聞いていない。
しかし、遅くても魔王が一年以内に復活するというのは、各国の上層部にしか知らされていない、
聖王国に降りた神託からの情報だ。
しかし、同時に魔王が復活するまでは決して勇者を召喚してはいけないと釘を刺されていたのにも拘らず、王国の連中はやってくれた。
そこで、急遽大陸中央の聖王国に各国の代表が話し合いをする事になったのだ。
その話し合いに王国の代表として参加することになったのが俺だ。
「は~ あのクソ兄貴 面倒ごとばっかり押し付けやがって」
アドルフは実際には国王と兄弟ではない。
正確に言うと従兄弟だがほとんど兄弟として育てられてきたので,未だに兄と呼んでいるのである。
実際国王とアドルフとの仲はいい。
そう言う理由で今は慌てて、身支度を済ませて3日後には聖王国に向かわないことになっている。
聖王国に出発する1日前に事件は起きた。
冒険者ギルドにて魔族が発見されたとのことだ。
しかもその容疑がかけられているのが、我が家に客人としている、サクヤ君とリゼさんなのだ。
幸い2人はバラバラにいる。
リゼさんは図書館にはずっと篭っているので、私と娘や妻、使用人たちはすぐさま我が家を離れた。
妻と娘は明らかに困惑しているようだったが気にしている余裕は無い。
衛兵達が私の許可を得て、館に入ってからすでに20分ほど経過したが未だに衛兵達は誰1人として帰ってきていない。
流石に不審に思って館の警備兵を数人を図書館まで向かわせた。すると、全員戸惑っている様な感じで帰ってきた。
「それで! 中はどうなっていた?」
「え〜……大変申し上げにくいのですが……」
「そうか…やはり衛兵達は殺されてしまったのか」
「いえ! あの状況をなんと説明したらいいのかが」
「良いから サッサっと中がどうなっていたのかを報告せよ!」
「はっ! 図書館まで行ってみましたがそこには死体は疎か、血すら見当たりませんでした…
しかし、図書館のに机の上にこんなものが……」
そこには一通の手紙と袋が握られていた。
『親愛なる リイータ家の皆様へ
この度はお世話になったことを心から感謝いたします。
私としては、本当に感謝しております。
今後、魔王による侵攻があってもあなた方の身の安全を保証させていただきます。
袋の中身をささやかなお礼となっています。
次期魔王候補者リゼット グランヒルテ』
その手紙の内容は決して口外できるものではなかったが、魔王がいるのに魔王候補者というのはどう言うことだろうか?
「すまない 今から聖王国にすぐさま出発することになりそうだ」
「ザグロ! 今すぐ馬車の用意を済まして聖王国に出発する!」
「かしこまりました旦那様」
そして私はすぐさま聖王国に向けて出発した。




