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復活したら人食いチート怪物と化していた天外優人、その奇怪で危険で姦しい日常について  作者: まんぼうしおから
第四章・暗黒埋蔵金伝説

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43・ぶっ殺しの誓い

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「忠告とはまた親切なことだね。魔女にしては、らしくないな」


 天原さんのその言葉に、俺も、その通りだと思って少し頷いた。

 他のメンツも同じ思いだろう。


 にしても、なんでそんなことを森の魔女はわざわざ告げたのか。


(……ま、らしくないとはいえ……だいたいの予想はつくけどさ)


 俺を倒したがってる奴らからしたら、間狩たちなんてただのお邪魔キャラという認識だろう。先に排除しときたいのは当然だ。

 しかし排除するには一筋縄ではいかない。

 『浄』はともかく、この五人は雑魚じゃない。日本の退魔師では優秀な部類に入る(特に天原さん)。

 そんな相手と戦えばどうなるか。

 ダメージや消耗は避けられないのは確実。しかも倒したところでメリット無し。

 まさにお邪魔キャラだ。


 ならば、事前の警告でこちらの人数を減らしておけば、それだけメインディッシュである俺に手が届きやすくなる。

 思惑は、たぶんそんなとこか。


 他に、これ以上余計な犠牲者を出したくない気持ちもあるだろう。

 犠牲者が出れば出るほど戦後の話し合いはこじれていくに決まってるし、なにより、あちらにいる聖女さまとしても人が無駄に死んでいくことをあまり好まないはずだ。

 だって聖女なんだから。

 心を痛めるだろ、普通は。

 血を見たくて見たくて仕方ない聖女なんているはずがない。

 ただでさえ前日に、調子こいてた退魔剣士の一部隊を潰しているんだ。少なからず殺しに嫌気が差しているんじゃないか。


「……だが、せっかくああ言ってることだし、キミ達はお言葉に甘えるといい」


 天原さんが言う。

 それは、間狩やグロリア先輩でもなければ、部下であるほむらとゆらぎに言ったのでもない。

 尼さん達、『浄』のメンバーに対してだ。


 メンバーは、互いに目配せしてから、わずかに頷く。ここは『撤退』でいいよなって、全員の意思を確認したんだろう。

 そして、ほぼ同時に天原さんに一礼すると、後ずさりながらこの場を離れていった。

 残ったのは、化け物とお邪魔キャラのみ。


「んじゃ皆の衆、行きましょーかね」


『あら、キミ一人だけでもいいのよ、坊や? それとも、頼れる女の子たちがいないと怖いの?』


 小馬鹿にしたような言い方。

 安い挑発だ。

 そんな挑発に乗って「よっしゃわかった。俺一人で片づけてやるよ」となるほど俺は頭が悪くない。といって飛び抜けて冴えてもいない。普通よりちょい出来が良いくらいだ。


 いや乗ってもいいんだけどね、挑発。

 周りに敵しかいないなら、俺としても手加減なく好きなように本気で暴れられるから。

 でもな……。


「怖い怖くないとか以前に、ここまで同行してもらっておいて、もういいから帰んなってのは……」


『情けない言い訳ねぇ。男なら一人で立ち向かったら?』


 言い訳じゃないんだが、この場で俺が何を言おうと魔女は言い訳扱いして馬鹿にしてくるのはわかっている。

 性悪女とクソみたいな水掛け論なんかやりたくはない。


 だから無視して、


「──らしいけど、どうする?」


 誰に──ではなく、この場の全員に問いかけてみた。


「聞くまでもない。無論、参戦だ。我が物顔でこの国で猛威を振るう礼儀知らずどもにお灸をすえてやるのも、また我らの使命」


 代表するかのように、間狩が、毅然として言った。

 有無を言わせない口調である。

 反論は出なかった。みんなやる気らしい。

 じゃなかったら、そもそもこんなところまで来ないもんな。


「ハッ、お灸どころか、ド級の炎でお仕置きしてやろうじゃねーの。人のシマを荒らす奴らなんかにゃ、情け容赦いらないもんなあ?」


「あはは、つまんない洒落♪」


「るっせえ」


「でも、荒らしを見逃せないってのは、同感(ど~かん)だねぇ。しかも、オトモダチが狙われたら黙ってらんないかな。ウチも、久々にガチでやっちゃおっと♪」


「ああ。ダチの危機ならほっとけないね」


 ギャルコンビも戦意ありありだ。

 あと、俺ってこいつらからしたら、もう友達なんだな。てっきり、友好的な知り合い程度にしか思われてないとばかり。


 グロリア先輩は微笑みながら静かにたたずんでいる。

 いつも通りだな……と思っていた俺と目が合うと、なんと、かわいらしくガッツポーズをしてみせてくれた。

 この人でもそんなことやるんだな。軽く面食らったわ。

 びっくらこいたぜ……。


 天原さんはサングラスを外すと、パキパキと指を鳴らし始めた。

 おっぱいでかい美女のやる仕草じゃねえ。戦意があるというか、戦意しかねえよこの人。乱世とか世紀末とか似合いそう。


「だとさ、魔女さん。誰も引かないようだ」


『……最後のチャンスをフイにするなんて、お馬鹿さんの集まりねぇ』


 一度言葉を切ると、魔女は「はぁ……」と、わざとらしく溜め息をひとつつき、


『けどまあ、言うだけは言ったわよ? こちらとしては坊やだけ仕留められればよかったのに……警告を無視するなら、これはどうなっても自己責任よねぇ?』


「……そういうことか」


 それが目当てだったのか。

 言質を一応取りたかったと。

 もし、俺だけでなく間狩たちも殺してしまったあと、多少でも言い訳ができるように。こいつらがどうしても挑んできたから仕方なく始末したと、言える余地があるように。


 こざかしいもんだな。さすがは魔女だ。


「笑わせるなよ。要は殺害後の言い逃れだろ」


『どうとでも解釈なさい』


「だいたいよ、警告だの自己責任だの、あんたも人のこと言えないと思うぞ。ブーメランだよブーメラン。きっとさ、あんたもいずれ、泣き女ともども逃げてりゃよかったと後悔することになるぜ?」


『……言ってくれるわねぇ、東の僻地の、小汚い魔物が』


「警告さ。無視しないほうがいいよ。それとも……耳が遠くて聞こえないかな?」


『ホホッ、浮かれてるわねぇ。未熟な双剣使いごときに完勝したのが、そんなに嬉しかったの? これだからオムツの取れないお子様は嫌ねぇ』


「よく言うぜ。お花越しでしか喋れない腰抜け年増が」


『ホホホホッ、それはどうも』


「あははは、どういたしまして」





 よし決めた。


 この植物ババアは俺の手でくびり殺す。

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