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復活したら人食いチート怪物と化していた天外優人、その奇怪で危険で姦しい日常について  作者: まんぼうしおから
第四章・暗黒埋蔵金伝説

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18・激突!哀しきチートモンスターVS地獄のブルドーザー

 廃墟に眠るお宝探しにいったら武装した蠅の群れと戦った後に要塞みたいなブルドーザーとガチンコやることになった。

 うん、今回はいつにも増して悪夢みたいな事態だな。こんな支離滅裂なの低予算C級映画でもそうそうないぞ。

 俺はつらい。耐えられない。


 でも頑張らないといかんのよ。



 なぜなら十億が俺を待っているから。



 厳密には四億(さらにそこから一億ほど機関へ納めるから実質三億)だが、だとしても俺からしてみれば桁外れの額だ。

 三億。

 しかも税務署の手が伸びてこない大金。


 それだけあればスローライフという名の自堕落な生き様が可能になる。昼寝て夜起きたりしてもいい。犬の散歩とか部屋の掃除とか図書館で本借りたりとか、どれか一個こなしただけでその日のイベント終了にして後はスマホ見ながらダラダラしても許されるのだ。素晴らしい。


 そのためにも、これから先の日々をずっと日曜日にするためにも……たかがブルドーザーの一台くらい、どうとでも料理してくれる。かかってこいや。



 かかってきた。



 突撃してくるブルドーザーへ、こちらからも駆け出していく。

 これしかやれることはないとばかりに突っ込んでくるブルドーザー。

 そりゃブルドーザーだしな。やれることなんて、跳ね飛ばすか、壁とか岩とか使って挟み潰すか、轢き潰すかの三種類しかない。


 それはそうと、速い。

 鈍重かと思ったが全然違う。

 はたらくくるまに詳しくない俺でも本物のブルドーザーがこんな素早い挙動をするのは絶対無理なことくらいはわかる。


 助走など全く必要とせず、巨大な野獣のごとく襲いかかってくる車体が、この部屋に踏み込んで四歩目くらいの俺とぶつかり──


「よっしゃあ!」


 土砂とかを持ち上げるのではなく、ごっそり何もかも押し込んでいくための板──ブレードを、俺は両手で受け止めた。

 それと同時に腰を落とし踏ん張る。


 しかし──勢いは止まらない。


「ぬうう…………っ!」


 その体勢のまま部屋から押し出され、廊下に全身が出たところで、止めることに成功した。


 体は無事だったけど、床との激しい摩擦で靴がだいぶダメージを受けたはずだ。もうもたないかもしれない。

 バトルやる度に俺の衣類が減っていく。


 高い靴などではない。

 どこでも売ってる普通のスニーカーだ。

 だが、裸足で帰るってのはちょっと嫌なものがある(全裸よりはマシだが)。

 頑張ってくれ俺の靴。


『おお、やりますねぇ! まさか正面から力で止めるとは!』


 少女の楽しげな声が、廊下に響く。

 このブルドーザー型式神を操る術者、更地崎とやらの声だ。


 声だけなら十代後半から二十歳前後に聞こえるが、実際はどうだかわからん。


「ずいぶんと楽しそうだな。そっちは乗り物の中でふんぞり返ってるだけだから、気楽だろうけどよ……生身でやりあってるほうの身にもなれよ」


 大型のラジコンカーでネズミと対決してるくらいの感覚なんじゃないのかテメー。


『あららぁ、もう弱音ですかぁ?』


「事実を言ってるだけだ」


『勘弁してほしいって事実をー?』


「好きにほざいてろ」


 会話しながら奥のほうをチラッと横目で見る。

 あの二人はまだまだ探索を終えてないはずだ。俺とこいつがぶつかり合ってからまだ一分くらいしか経ってないからな。


 踏ん張りながら、一応ソナーで探る。

 ここにいると伝わってくる感覚が不気味に歪んでしまうのだが、このくらいの距離ならば…………ああ、いるわ。奥の部屋と男子トイレに一人ずつ。

 そっちに被害がいかないようにしないとな。


「ずいぶんと余裕だな。こうなった以上、そっちにやれることはもうないと思うんだけどね」


 俺を押し切ることができないなら、後は、俺が疲れて力が衰えるのを待つしかない。

 しかしこの俺は痛みや疲労をほとんど感じないときてる。均衡が崩れるまで時間はかなりかかるだろう。

 もしかしたら、先に式神のほうがヘバるかも。


『いやいや、あなどらないで下さいよー! 打つ手ならまだありますからねぇ!』


 不意に、押し込む力が消えた。


「ん? 何のつもり……」



ガチリッ



 金属質の音が手首辺りで聞こえた。

 何の音かと、目をやる。


 ブルドーザー式神の前方にある唯一の武器──と呼べるかどうか微妙だが──であるブレードから、手錠めいたものが生えていた。

 その手錠は俺の手首にガッチリとはまっている。


 さっきの音、あれは、手錠が締まった時の音だったのだろう。


『ほいっと』


 ブルドーザー使いの、とても潰し合いをしてるとは思えない、呑気なかけ声。


「うおっ」


 ブレードが持ち上がる。

 そうなると、ブレードに両手首を手錠で固定されている俺も、当たり前だが持ち上がる。


 ふわりとした感覚。

 これはまずい。体が浮いている。

 つまり、足が床についていないわけで、そうなると踏ん張ることができず、

 

『フッフフ、かなり頑丈だと聞きましたが、ここからどこまで耐えれるでしょうねぇ! んじゃ……いきますよぉ!』


 またしても急加速するブルドーザー。

 だがさっきとは違って止めることができない!


「ごわっ!」


 廊下を挟んで、反対側の部屋の壁をぶちぬいて突入していく!

 俺がくっついたままのブレードで!


「なんてことしやがるこのアマママママッ!?」


 身軽に小回りをきかせ、まだ壊れてない壁をぶち抜きまた廊下へ。

 そのまま隣の部屋の壁をぶち抜き中へ入り込み、同じように向きを変え、そこの部屋の無事な壁をぶち抜くと再び廊下にと繰り返される。

 ダメージはそんなでもないが、衝撃が酷い。酷いんだ!

 壁に叩きつけられまくってるようなもんだからな!


 ボロボロになっていく俺の衣服。

 やはり今回も助からなかった。

 嫌な予感がするから自宅にスマホ置いてきて良かったぜ。

 危うく衣服ともどもゴミにされるところだった。正解正解。


 でもいちいち連絡手段を手放すのもあれだから、今度、根ノ宮さんに仕事用のスマホ支給してもらおう。壊れても惜しくないやつ。


「クソ、いい加減に──」


『そーですねぇ、どーもこのくらいじゃ倒せないようですしー』


 蛇行しながら廊下を縫うように走行していたのが変わった。

 逆走して戻っていく。


 どんどん速度が増していく。


「なんだ、今度は何の真似を──」


『フフ、フッフフフフ! 薄くてもろくて重くない壁じゃいけませんよねぇ!』


 悲惨な服装になった俺をくっつけたまま、このクソッタレなブルドーザーは、吹き抜けになったあの部屋の壁から外へと──


「まさか!?」


『だからぁ──地面でサンドイッチといきましょうか!!』


 吹き抜けから矢のように飛び出したブルドーザーは、そのまま斜めに、猛烈な速度で地面へと落ちていくのだった! どうなる俺! 助かるのか俺!

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おはようございます。 地球「止めて下さ~い!?僕がぁぁ!僕そのものがぁぁぁぁ!?」
壁さん逃げて!
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