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Primula  作者: 澄葉 照安登
第八章 熱が寒空を溶かして
114/139

それは、誰かと同じで

 彼はずっと大切にしていた。

 あの場所を、あの空間、そこにいる人たちを。

 とても大切で、ただ失いたくなくて。壊れかけだとわかってはいても、そうし続けるしかできなかった。

 本当は気付いていた。文化祭よりも前からあの空間に亀裂が入っていたことを。その原因は他でもない自分にあるということを。

 あの場所がボロボロになったのは、誰かのせいでも、何かの影響でもない。

 ほかの誰でもない自分の行いのせいだと、彼自身分かっていた。

 それでも、そうし続けるしかできなかった。

 大切だとしても、彼にとっての一番はそこではなかったから。

 どうやったって、それに勝るものは見つけることが出来なかったから。

 大切で、守りたいと願っても、それ以上のものがあるから。どうしたって中途半端にしか口を出せなかったんだ。

 だから、彼は自分の無力さを思い知らされながら、せめてこれ以上壊れてしまわないようにと笑顔を浮かべて続けていた。


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