入学式
翌日、学園内で入学式が催された。
入学式は午前十時から大講堂にて執り行われ、壇上には学院長を名乗る白髭の老人が立ち、その背後に並んだ教師陣と前に座り整列した生徒を前に、長々とした祝辞を述べている。
一諸君らは帝国の未来を担う若き翼である。切磋琢磨し...と、要約してもこの程度の内容に膝をつきそうになるも、生徒の椅子に膝掛けはない。
「晴れ舞台で眠くするのは、人間の得意文化というやつなのか?」
二日酔いの匂いと共に、あくびを扇子で隠しながら小声で。
「ふふ、老人の長話は種族問わず眠いものね」
式典は続く。学院の理想、施設案内、寮生活の規則。どれもビッチェロから聞いた説明に水増したような粗末なもの、そんなことを考えていると令が出される。
「国歌斉唱__起立をお願います」
口パク、一年で歌えているものはそれほど多くなく、二年生と三年生の声が八割を占める。
学内に魔王本人がいるとも知らずに、歌は人類の栄華と生徒となった我らを讃えて終わった。
新入生は総勢150名弱。貴族の子弟、平民出の天才、朧の周りを囲む訳ありの問題児ー。
その全員が同じ白い制服を着ている光景はなかなかに壮観だった。
ただし着こなしには個性が出るもので。
「最後に、試験で特に優秀な成績を収めたお二人の挨拶です!!」
校長が壇上から離れ、主席の朧とすれ違った__その瞬間。
朧の肩が掴まれ、それに朧が舌打ちで睨んだ。
「んだよ、おっさん」
「...その衣装で上がるつもりか?」
着流しの上から無理やりに羽織ったような着方で、周囲の視線を集めていたが気にする素振りは欠片もなかった。
――時折、妾の方を見ている以外に気にするところはなかった。




