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pro-log/壁画の裏面:古代からの声

 私は、本当の目的を果たすためにここまでやってきた我々人類の子孫たちのために、表の面に起動の手助けとなる物を刻む。

 

 ただし、今から記すこれはただの自己満足だ。表面と違い、見られることは絶対…とはないが、まず起こり得ないだろう。

 

 神殿が生まれたきっかけは、怪死事件とあまりにも現実から飛躍したような、月との意思疎通があったからだ。

 

 月は地球とその子たる我々をも見守ってきた。


 だから月からの信号を信じるなら、このごろ地球は病にかかって少し眠りを欲しているようだ。

 

 事実として我々にもその疲れ、影響は出ている。近年、人間性の喪失および肉体の変形による変死が発生しているのだ。

 

 人々は神の怒りだとする意見が大半である。しかし皮肉ながら、暇人である我々スカラーは違和感を感じていた。

 

 違和感が異論に変わった決定的な瞬間は、星の運航を観測する装置に乱れが生じたこと、先のように月光の波長が明らかな信号を示し、意思のある文字として変換されたことだ。


 月からの文字は以下の通り…


『私は地球の分身であり、盟友であり、兄弟である。したがって今回の事件に関連して我が子同然の者たちに伝えなければならないことがある。


 1.直近の怪死事件は論点の怪死は進化と絶滅を繰り返す生命の終わり方としてはそのルールを逸脱している。

 

 2.このままでは人類は滅亡するだけではなく、地球は運航を止めて、他の星にぶつかってしまう。


 3.解決方法が存在する。


 解決方法に関しては今後送る設計図を元にすること。またこれは義務ではない。私は人の選択肢として終末を選ぶことも否定しない』

 

 あとから送られてきた設計図のようなものはオーバーテクノロジーもいいところだった。組み立てることは我々にもできるし、どういう装置かは理解できても一つ一つの技術は全くもって意味不明だった。

 

 装置の概要は純正の月のエネルギーが得られる新月の夜に地球に降り注いだ月のかけらを使って、エネルギーを神殿に収束させ、打ち上げることで地球の大気に特効薬を投与。加えて、特殊な影によって時間を極限にまで引き伸ばし、療養させるという、何がどうなっているのか、スケールや概念的にも頭が痛くなるようなものだった。


 それでも我々スカラーは、否応なく月からのメッセージを尊重し、解決策を推し進めた。

 

 結果、この神殿が出来上がった。


 そして、今回の事件は二人の若者によって解決した。


 その後、破壊するという手立てもあったが、この壁画を残し子孫のために封印を施した。


 我々の子孫がもし、今回の事件と同じようなことに遭遇するのならば、月は人をこよなく愛するスカラーに事を託し、またこの神殿は浮上するだろう。


 すなわち、地球の危機であるから、そんなことがあってほしいとは絶対に思わないが。


 それでもきっと乗り越えるだろう。


 起動条件の最後の鍵でもあるそこに寄り添う心、


 つまり、


 いや、やめておこう。


 論理的ではないかもしれないが、それを一言で表現することはできても、実際にはその時その場所で輝くものだから。

 






 読んでいただき、本当にありがとうございました。

 そしてこの場を借りて、うまく文章を組み立てられず、ダイジェストのようになってしまい、特に常盤についてはキャラをうまく動かせなかったことをお詫び申し上げます。同様に、夏企画の黒歴史についてもクオリティの低さに反省しています。


 さて、ここからは私なりの物語の分析と本編の補足をしたいと思います。


 まずは分析から行っていこうと思います。

 本編は何も考えずに思ったように書いていますが、この後書きは書き上げてしばらく経ってから自身の作品を読み返しているので、やや自分の否定的な意見をいうかもしれませんが、暫しのお付き合いをいただけると幸いです。

 これは前年度の冬童話作品についてもいえることではありますが、注目したい点はズバリこの一つでしょう。

 「自己犠牲」です。

 例えば、前年度投稿した作品のうち、セレスティアルファンタズムはこびとの「自己犠牲」によって物語は収束していきます。

 今作では所々に現れているのがわかりますね。

 しかしながら実は意識せずにテーマとして組み込んでいません。これは、どちらかというとこの話を書く上で今までに影響を受けた作品の「自己犠牲」的なものが、私の無意識に潜んでいる人物像としての理想だったり、精神の根底に刻まれていたからなのかもしれません。

 実際、冬童話のテーマに含まれる星という概念にフィーチャーしていうのならば、「自己犠牲」は『星の王子様』や『銀河鉄道の夜』といった作品に大きく関わっています。

 そういうと「自己犠牲」は美しく愛に満ち溢れた物であるように思えますが、否定も肯定もできる側面を十分に持っているように思えます。

 本編では、常盤が「自己犠牲」に対して怒りを見せていますし、断章の中で博士は逃げたことを罪だとしながらも「自己犠牲」に戸惑っています。結果、ホズの意図的に造られた「自己犠牲」を、己の所為にするように見せかけるプログラムをホズに仕込むという「自己犠牲」で打ち消そうとする博士の行動がありました。なかなかに皮肉が効いていますね。

 ほかにも自分で分析したい(と言いつつココが変だよ飯塚くんと突っ込みたい)部分はたくさんありますが、キリがないのでここまでにしておきます。


 次に、本編の補足です。以下ゴリゴリにネタバレなので、おまけから読んでるぜ。なんていう希少種がいない限りは、注意です。








 この文章や本編で匂わせている通り、ドライオプティミズムに似た現象は古代にも起こっています。だから本編において神殿はあらかじめ準備されたお約束的建築物でした。

 ただ、古代の場合は原因は地球が病気になったことでした。それが星の子たる人類に影響したことで事件は起こったわけです。だから月の石をもって、童話壁画に隠されたヒントが示す条件を満たせば、人の手で解決できたのです。

(それでも流星になる時点で命という犠牲はつきものですが。あ、古代の場合の若者の二人の犠牲というのは、彼らがどうせなら一緒にという甘いやつの結果です。)

 ですが、今回は違った。

 原因が人類で、その影響が地球に出たのです。

 人類ではない第三者が、病んだ人類を肯定してやらなければならなかった。そっと背中を押してやらなければいけなかったのです。

 

 ちなみに突然出てきた月に吠えるのは、狂気という言葉から引っ張ってきた枕詞みたいなもので、私なりのギャグというか小ネタです。失礼しました。

 

 結びに、改めてありがとうございました。またどこかでお会いできたら嬉しいです。

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