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第39話 餓鬼族氾濫①

あれからゲーム内時間で一週間、現実世界で約10日間経過した。


現実では別サーバーの動向をチェックしつつ、他ゲームのゴブリンとは何かを調べてみた。

俺らのいる日本第三サーバーでは現状テラノアまでの進捗。そして餓鬼族氾濫のクエスト始動。

他サーバーは中には別の街へ進行しているものもいるが、今回第三サーバーで始動したクエスト発覚により、他サーバーでも同様にクエストが始動したらしい。で、準備期間もまちまち、ただ第三サーバー以上に期間があるサーバーはなかった。


また、ゴブリンとは。共通で設定されている内容としてはこんな感じだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇

小さい・醜い・小賢しいの三拍子がそろった小型の人型モンスター。

森林、洞窟、廃墟などを拠点化し、群れを形成して生活する。


単体能力は低く知能は低い。が、簡易武器の使用や待ち伏せ、包囲に罠の設置など生存本能による知能は爆発的に働くされ、特に負傷者や孤立個体、要は俺らでも勝てそう!と思える対象を執拗に狙う。


また、装備品や道具を死体・遺跡・他生物から回収して使用するほか、ゴブリンは成長・変異による上位個体発生率が非常に高く、長期間放置された群れでは、指揮個体、魔法使用個体、大型変異種が出現する場合がある。

繁殖力も高く、討伐後も短期間で群れ規模が回復する危険性がある。

◇◇◇◇◇◇◇◇


とのことらしい。

FFFでのゴブリンはどんな種族かはあまり調べていないが、ま、概ね似たようなものだろうな。


で、今日は餓鬼族氾濫当日。いやぁ大変だった。やれシェルターの数が足らないだとか、やれクエスト達成がどーのこーのとか、やれ誰が当日指揮を執るだとか。

まっっっっっっっっっっじでめんどくせぇ。誰だっていいだろうがむしろギルドマスターに指揮とってもらって俺らは殲滅すりゃいいじゃねぇか。

だってこの世界――





死んだNPCは生き返らねぇんだからよ。





――――――――――――――――

「うっし、おっはーファーブリー。」

〈 おはようございます、辰馬様 〉

「グルゥ♪」

『バツ、おはよ』

「おう、ルクスにニトもおはよ。」

〈 辰馬様、本日はどうぞお気を付けて 〉

「ん?あぁ、ファーブリーも今日何が起こるかはわかるのか。」

〈 はい、そして厳しい戦いであることも 〉

「まぁまぁまぁ。何とかなるさ。どんなことになってもまずは楽しくやらねぇとだしな。」

「グルァ!!」

「お!気合入ってんじゃねぇか。」

『いこう、バツ』

「ま、そだな。んじゃ、行ってくるぜ。」

〈 ご武運を 〉


【最後にログアウトした場所へ転送します】






――――――――――――――――






【転送が完了しました】


「おう!!ようやく来たか、バツ。」

「遅いわよ、全く。」

「まぁまぁ急いできてくれてるんですから。」

「あ、バツさん!!」

「ん?おぉ、カルナさんじゃないですか。あとはその他1、2、3。」

「誰がその他だって?その馬鹿な口ふさいであげようかしら?」

「ふさげるもんならふさいでみろアバズレ。」

「.................」

「.................」

「「その面貸せやゴラァ!!!!」」

「やっぱお前ら仲いいな!!!カッカッカ!!」

「「どこ見て言ってんだ(るのよ)!!グレイトル!!」」

「息あってるだろうがよ!」

「.................」


転送されてすぐに声をかけてきたこいつら。

この準備期間中に俺に絡んできた(?)チーム『百獣』のグレイトル、アリー、マインの三人。そして前お世話になったカルナだ。


百獣の奴らは俺にルクスを見せてくれって絡んできたから吹き飛ばした。そしたらなぜかそれ以降もしつこく付きまとわれ、結果として知り合い程度になっている。................仕方なくだがな。


で、カルナに関しては、鳥獣戯画のチームメンバーになってくれた。なんでも、チーム名に惚れたらしい。よくわからん。


「バツさんバツさん。」

「どした。」

「私のピュリィちゃん、今風魔法使えるじゃないですか。」

「だな、いつも助かってる。」

「あ、いえいえ............。じゃなくて!!その魔法でニトさんの機動力をより生かせないかなって!」

「え?あー、無重力中ってことか?」

「はい!そうすれば殲滅力上がって爽快感マシマシ.............クフフ............」

「あぁーまた変な方向に意識いってるよ............。」


そしてこの準備期間でアンナの意外な一面が発覚した。

それは、重度の魔法ヲタクだったのだ。


「バツさんの契約獣たちのサポートをしつつ魔法をいっぱい使う。気持ちいい.............!!」

「おーいアンナー。」

「ブツブツブツブツ...............」

「アンナ!!」

「は、はいぃ!!」

「おかえり。」

「あ、ただいまですぅ..........。」

「またアンナさん魔法の世界逝っちゃったの??」

「カルナさん、それ漢字絶対違いますよね?」

「カルナ。」

「.............カルナ。」

「はいっ!!ちゃんと呼び捨てとタメ語で話してくださいね!」

「..........なぜ。」



..................この一週間でなぜこんなにぎやかになってるんだろう。

バツは思わず頭を抱えた。

それもこれも全部ギルドマスターのせいではあるんだが。その話はまた違うときにでも話そう。



「お、俺が呼んでた奴らは全員揃ってるな?」

「おいザルス。今日氾濫が起こるんだろう?なんだって急に俺ら百獣と鳥獣戯画だけ呼び出してんだ?ほかにも有能な奴らはいるだろうに。」

「あぁ、そりゃ簡単だ。俺らからの信頼が高い二チームがお前さんらだってだけだ。」


うそつけ。体のいい広告塔にでもなれってことだろ?


「お前さんらにやってもらいたいのは簡単だ。ギルド公認チームとして、今回の氾濫を食い止めるメイン柱をしてほしいんだ。報酬も他とは違うものを用意する。どうだ?頼めるか?」


ピコンッ


【 特殊クエスト『氾濫を食い止めろ!』が発生しました 】

【 受注しますか? ※ ここで受注しない場合二度と発生しません 】

【  する  /  しない  】


............二度と出ないって言葉ずる過ぎんだろ。


「アンナ、カルナ。お前らはどう思う?」

「んー、私は受けていいと思います。やることは変わらなそうですし。」

「ぼくも受けていいと思いますよー。そっちの方が得できそう!!」

「.........さいですかい。じゃ、俺ら鳥獣戯画は受けるぜ。あんたらはどうするよ、百獣。」

「もちろん受けさせてもらおう。報酬は期待しるぞ、ギルドマスター。」

「............感謝する。」


【 クエストを受注しました 】

【 成功条件:NPCのデス数0でのクエスト完遂 】


.............ま、俺らに頼るってことは相当プレイヤー全体への信頼度がないってことか。

仕方ねぇか。現状このサーバーでNPCと友好的にってプレイヤーは俺らかあと数チームだけだからな。


「んじゃ、現場の指揮だけは頼むな。俺らは俺らで殲滅を図る。」

「バツ、競争しようや。」

「あぁ?なんのだよ。」

「どっちがボス級のモンスターを狩れるかだ。」

「賭けは?」

「なんでも一つ言うことを聞かせられる権利。」

「ノったぁ!!」

「あーもうほんっとに男って...........。」

「まぁまぁアリーさん、いいじゃないですか。」

「バツさんまた頭に血が上ってるよあれ。」

「ですね、でも魔法いっぱい打てるならまぁ///」

「その顔やめてくださいアンナさん。」




――――――――――――――――




パンパカパーン

《 残り600秒後、緊急クエスト『餓鬼族氾濫』が開始されます 》

《 この緊急クエストでは各プレイヤーが持つギルドランクにより戦闘範囲が定められております 》

《 カッパー:街周辺500m内 》

《 シルバー、ゴールド:テラノア外縁森林区域中腹まで 》

《 プラチナ以上:全区域戦闘可能 》

《 定められた範囲外での戦闘をした場合、デスペナルティ効果は3倍となります、お気を付けください 》

《 ご武運を、プレイヤー諸君 》


「さて、今回の餓鬼族氾濫。この場は契約者ギルドテラノア支部マスター、ザルスが取り仕切らせてもらう。で、だが。各自のギルドランクをもとにし、殲滅に当たってもらう範囲を分けさせてもらった。無駄死にを避け、確実に守りきるための考えた。それが聞けない奴はギルドから離れてもらっても構わない。」


ギルドマスターがそういうと、その場にいた約半数が離れていった。自由にやらせろと嘆くもの、縛られたくないもの、中には戦闘自体したくないからというものもいた。


「ま、予想通りだな、カルナ。」

「そうですね。ぼくらは全員全区域で戦闘できるからいいですけど、そうではない人はこんな損っぽく聞こえる話聞く耳すら持たないですよ。」

「もったいないですよね..........。」

「よそはよそウチはウチ、だ。」


そうして今いる場所が静まり返ったとき、改めてギルスが口を開く。


「..........この場に残ってもらった契約者たち。感謝する。」

「いいんだよギルマス。俺らはこの街に恩義があるんだ。なくなったら寂しいしな!!」

「そうだそうだ!!あんな連携も取らねぇ奴らのことは気にせず、できることをしようぜ!!」

「そうですよ!いなくなった人たちを見返してやりましょ!!」

「「「おー!!!」」」

「...........ほんとに頭が上がらないな。ウォッホン!!.........では気を取り直して作戦を伝える。まずはこの氾濫、先頭に立って殲滅にあたってもらうのはチーム『百獣』、そして『鳥獣戯画』の二チーム。こいつらはすでにギルドランクをプラチナ以上にあがっている。そしてギルド公認のチームでもある。」


ザワザワ..................


契約者たちが一様に反応を見せる中、


「じゃあその人たち以外は奥までいけないってことか?」

「そうではない。ただしこちらで指定していない区域での戦闘は一切の関与はしない。自己責任で頼む。」

「承知した。」

「よろしい、では作戦の続きだが...............」


そのあとに聞いた作戦内容としてはこうだ。


・街周辺で殲滅を行う契約者は命大事に、死なずに敵を押さえつけながら殲滅を図る

・森林区域まで行けるものは徹底的に殲滅、ただそれだけ

・死んだら終わりだと思え


だそうだ。


「では、すまんがこの街を..........テラノアの明日を守ってくれ。」



《 緊急クエスト『餓鬼族氾濫』を開始します 》



テラノアを守る戦いがここに始まる。

第一章最大の戦い、始まります。


では、今回もお読み頂きありがとうございます。

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