王女登場
ウンエンス邸にやってきて数十分後。カイムは大広間にとおされた。大広間は広く、一部が高くなっていた。高くなっている場所には、高そうな椅子が置かれていた。
少し待つと、三人の女性が部屋に入って来た。真ん中を歩いていた女性が上座にあるイスに座った。彼女がタンベス13代王第1王女『タクサララ』であった。
「そなたがわがレジスタンスに加わりたい若者ですね。」と王女が言った。
「はい。私は、『ウンエンス家』9代当主『コロンナンス』の孫ウザル=カイムです。」とカイムが言い。
紹介状を王女に渡し、指に付けていた聖雷の指輪を外し王女に見せた。王女は紹介状を受け取り、
「私にその指輪を貸してくれぬか!」とタクサララ王女は言った。
カイムが指輪を渡すと、王女は指輪を受け取りよく眺めた。そして指輪をウザル=カイムにかえした。
「本物のようだ!そなたがコロナンスの言っていた跡継ぎか!そなたはこれから『ウザル=カイム・ウンエンス』と名乗るがよい。」と王女は言った。
王女は、渡された紹介状を読んだ。
「コロナンスのたのみだしなそなたをレジスタンス『風の歌声』の隊員にしよう。
『アクサンマ・エルテロス』隊長はいないか?」
一人の男が大広間に入って来てた。
「はい、アクサンマ・エルテロス参上しました。」とアクサンマ隊長は言った。彼は騎士団時代、王国遊撃騎士団副団長をしていた。
王国遊撃騎士団は、四つの分団に分かれていた。それは、『朱雀』『玄武』『青龍』『白虎』の四つであった。分団長は、四家の人間が世襲していた。部隊は、隠密『鷹』『隼』『鷲』『雷鳥』・破壊工作『鳶』『白鳥』『雉』『雲雀』・暗殺特別『燕』『梟』などがあった。そして、帝国との戦争で壊滅的な被害を受けていた。
「この少年をお前の隊に加えてくれ!」とタクサララ王女は言った。
「こんな少年をですか?わが1番隊は精鋭部隊ですよ!王国遊撃騎士団の出身の隊員がほとんどなんですよ。新入隊員にはわが隊の隊員は勤まりませんよ!新入隊員は、普通5〜8番隊の後方支援部隊に入れるのが筋じゃないんですか?」とアクサンマ隊長は言った。
「ウザル=カイム・ウンエンス。さっきの指輪をアクサンマに見せてあげなさい。彼は、王国遊撃騎士団『白虎』分団の団長後継者だ!歴代最強と言われた『コロンナンス』の推薦状と他に元遊撃騎士団部隊長の推薦者が3人いるんだ!お前の隊で育ててやってくれ!」とタクサララは、言った。
ウザル=カイムがアクサンマに聖雷の指輪を見せると、アクサンマは驚いた顔をした。四家の本家筋は皆、断絶していたとアクサンマはおしえられていた。彼は、帝国との戦闘の前線指揮を取っていた。また、帝国の標的にすらなっていた。
「わかりました。ウザル=カイム、私に付いてきなさい!宿舎に案内します。」とアクサンマ隊長はカイムに向かって言った。
「ウザル=カイム・ウンエンスをよろしくお願いしますよ!コロンナンスに叱られますから!仕事が終わったら、別邸に来てください!」とタクサララ王女は言った。
「分かりました。それでは、失礼します。」とアクサンマ隊長は言い、敬礼した。