港町
アグロマウス村を旅立った、カイムは何を想いアセイを目指すのだろう。
徒歩で町をでたカイムは街道を数日かけてイクン町を目指していた。
数二日後、土ぼごりで少し汚れた姿のカイムの姿がイクン町の門の前にあった。
カイムは、門の前に立っている門番に挨拶をし、自分のアグロマウス村での身分証明書を見せ門の中へと進んでいった。村長からは、この身分証明書は本来のお前の身分を示していないから、アセイ村では、手紙を見てもらうんだぞと言われていた。
町の中に入ったカイムは、人通りの多い町を昔、村の皆と買出しに来た時のことを想いながら歩いていた。
歩くこと10数分、カイムは、イクン町長の家にやって着た。門の前に立つ衛兵にアグロマウス村アイゼンバルクの手紙を見せ町長にあわして貰うように話をした。衛兵は、手紙を見ると二人いるうちの若い方に町長に取次ぎをするために家の中へと入っていた。
数分後、家の中から戻ってきた衛兵に連れられて家の中へカイムは入っていった。
家には、イクン町長『ナンクラン』がいた。カイムは、ナンクラン町長にアイゼンバルク村長の手紙を渡した。ナンクランは手紙を受け取り、封を開け読み出した。
「よし、船を出してやるよ!向こうに着いたら、『ティアンス』さんに会いなさい。彼がアセイ村へ行ける『キュウリン洞窟』への道を教えてくれるだろう。この手紙を持っていけばいい。今から船に案内しよう!」と言った。
カイムは、『ナンクラン町長の紹介状』を受け取った。ナンクランは、カイムを連れて家を出た。彼らは、港にある大きな建物へと入っていった。中に入るとそこは酒場になっており、たくさんの海の男たちが集まっていた。
「『ウエン・ヘンダー』は、居ないか?」とナンクランは、叫んだ。
すると、部屋の隅にいた一人の男が立ち上がり、ナンクランの元へと歩いてきた。
「よう、町長。なんだい。」
「ウエン・ヘンダー、こいつをソインダまでに送ってくれないか?
ウンエンス家の関係者でアセイにいきたいそうなんだ。」
「この坊主がウンエンス家の血縁者か。」
声を小さくして、
「もしかして、アグセイリンさんの息子か?」
村長も声を小さくして
「そうじゃ。」
「わかったよ。ナンクラン町長。」
カイムの方を向いて、
「坊主。お前を連れて行ってやるぜ。」
とごつい腕で頭をなでた。
カイムは、腕をどかそうとしながら、
「僕は、坊主じゃなくて、カイムて名前があるんだよと。」
と言っていたが、カイムの力では男の腕をどかすことは、できなかった。
「そうか、明日港に来てくれれば、お前を連れてってやるぜ。」
これでストックは終わりです。