一次試験終了
誰かを幸せにする。
「私はあなたならそれが出来ると思う。だから、あなたにサンタ試験を受けるように促した。あなたは確かにおかしな教育を受けて、その望んだ結果にすらならなかった人間かもしれない。でも、それで何もかも諦めてしまわなくてもいい。あなたにしか出来ないことが、きっとあると思う。だからあなたの向かう道は間違っていない。あなたは忍者からサンタへと変わることに精神が動揺しているだけ。それを違和感に感じているだけ。あなたが始めに出したサンタとしての答えはきっと間違えていないから。それを忍者の考え方で置く直すから、錯乱してしまっているだけなの。即決即答!! それしかない!!」
★
一次試験が終了して、半分以上の受験生が脱落した。半日に一回しか来ないあのバスで家まで帰るのだろう。及火や金髪も生き残った、どうやら橇の使い方を時間内にマスター出来たらしい。及火においては、サンタになるにあたって、良い予行練習になったことだろう。
夜はバイキング形式のかなり豪華な食事が用意されていた。皆疲れ切っていて、食欲のある奴が多かった。俺は逆にあまり食べれなかったけど。個室は二人一組で分け与えられた。シャワーやテレビなども充実していて、高級ホテルとはいえないまでもそれなりに清楚な部屋だった。しかし、運が悪かったことがある。
部屋があの金髪マッスルと同じだったのだ。いつの間にバイキングから持ってきたのだろうか、部屋の中でもまだフライドチキンを頬張ってやがる。何て強情な奴だ、遠慮という言葉を知らないのか。
「あと、二日か。憂鬱だな……」
明日もまたこいつと過ごさなくてもいいように、明日の試験で奴が不合格になって、この部屋からいなくなることを祈る。
「兄ちゃん、他の受験者から一目置かれているらしいじゃねーか。忍者ってのも本当らしいな。スゲェじゃねぇか、どんな理由があってサンタクロースになりたいって思ったんだい?」
「別に、忍者になれなかったから、ってそんだけだよ」
制覇様のことまで言わなくてもいいだろう。
「へぇ、兄ちゃん。三次試験の面接でもそう答えるのかい?」
……頭の悪い脳筋野郎が言葉尻を捉えてくるじゃねーか。フライドチキンを片手にどんな事聞いているんだ。
「面接じゃちゃんと、『誰かを幸せにする為です』って答えるよ。それが模範解答らしいからな。誰にでも出来ないことですが、私には出来ますって言うつもりだよ」
「そうかい、じゃあそれは兄ちゃんの本心じゃねーってことかい?」
「……本心だよ。俺は誰かを幸せにする人間になるんだ」




