今度こそおしまいだ
ベットに身を投げた。明日の筆記試験の為に少しでも体調を整えておきたい。いつまでもこのおっさんに気を使っていたら、無駄に体力を奪われる。今は8時と寝るには早いが、もうそんなこと気にしない。
非常に癪だが、俺は国谷の意見を採用し何も考えずに行動することにした。確かに下手な事を考えすぎるこの性格を解消する為には、一度極限まで自分を変えてみない事には始まらないかもしれない。ただ国谷の言いなりになっているのではない。今の俺にとって弱点克服の為の一つの作戦だ。
「って言ってもなぁ。今は試験中だからなぁ」
問題は何故今するのかということなのか、ということなのだ。今は命の掛かった正真正銘の俺の首の皮を繋げる為の試験だ。そんな試験に『考えずに戦う』なんて自殺行為だ。だって、次の試験は……。
「筆記試験だ」
筆記試験、つまり考えることがメインの試験だ。試験傾向から筆記試験の形式はマークシート。四択から正しい答えを一つ選び、黒く塗りつぶす。だから大前提として四つの答えを吟味しなくてはならない。大切なのは問題の中に引っ掛けも混ざっているということだ。それを警戒しつつ、一問一問を着実に貰っていく。マークシート試験とは、『考える試験』と言っても過言ではない。今日の一次試験のように、去年と大幅に試験内容が改変されていなければの話だがな。
ここ最近の試験を全て解いたが、思いの外しっかり問題になっていた。自分で言うのも何だが、サンタ資格試験の筆記テストなんぞ馬鹿みたいな問題しかないと思っていた。それこそ考えなくても解ける問題が多いと思っていた。だが、現実は全くそんなことはなかったのだ。
「さーて、この『考えない作戦』。この試験にも採用するか。採用しないか」
いや、採用しない一択だろう。馬鹿か、俺は。考えずに筆記試験を解く?
完全に戦いを捨てているも同然だ。四択を選ぶ試験に考えず解くって、どうするって言うんだ。六角鉛筆をナイフで四角形になるまで削って、試験中に転がして……絶対に合格しないよっ!!
「どうするんだよ、国谷...。筆記試験をどうするんだよぉ」
やはり考えて解くか。過去のテストの問題でも俺はしっかり合格出来るだけの点数を取っている。さらに桜台制覇様の用意してくれたプレテストでも合格ラインだった。つまり俺が考えて戦えば勝てる。だが……。
もし今の精神状態で、深読みを連発してしまって間違った答えを選び、合格ラインに達しなかったら、俺は今度こそおしまいだ。




