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ファーストミッション

「じゃあファーストミッションを伝える」


 桜台制覇の暮らす侵入者撃退屋敷、通称『モンスターキャッスル』。そこが俺のしばらくの職場となる。だが、あくまで寝泊りする場所であって俺の任務は潜入捜査が専門となるだろうとのことだ。


 「君が今回、潜入する場所はここだ」


 モニターに映ったのは、雪山にそびえ立つ古びた工場。


 「君はこれからサンタになって貰い、僕との中継役になって貰う」


 国谷からサンタ試験の概要については聞いている。どうやら、面接、筆記、実技試験の三種類を持って診断し、サンタに必要な素質や知識を測る試験らしい。俺は言われなくてもサンタ試験とやらに挑戦する気ではいたが、任務として任されるとは、少々驚きだ。


 「えっと、別に一切の異論はないけど、一応質問させて貰ってもいいでしょうか。親方様」


 「その形だけの素振りをやめたまえ。僕は君にそんなことを要求していないよ。僕のことは『総統』と呼びたまえ。そして、質問についてだが、別に『する』だけならいくらでも構わないよ。ただし返答するかどうかは、僕が判断する」


 小学生が随分とでかい態度だ、敬語使わなくていいのは、気が楽で助かったが。俺は忍者として雇われた訳ではなかったな。


 「では総統。なぜ国谷朝芽という既に友好関係の深いパイプ役を持ちながら、俺をまた新たに投入するんですか」


 「それは教えてもいいかな、簡単だよ。彼女は友達であって別に仕事の関係で有効な訳ではない。彼女はかなり真面目な性格と見た、例え僕が懇願しても来年に僕の元にクリスマスプレゼントが運ばれることはないだろう」


 確かに、あいつは空回りしている感が否めなかったが、仕事に対しては真剣そのものだった。出会ったばかりの俺のことを気に掛けたりと、根は本当に良い奴だと思う。だからこそ、姑息な悪事には友人だろうとも加勢してはくれないだろう。


 そう考えるとだ、俺をサンタにしたい理由も明白だ。


 「つまり、俺を今のうちにサンタにしておいて、来年もしっかりプレゼントを受け取ろうという魂胆だな」


 「その通りさ。友人という関係ではなく、上司と部下という関係なら問題無くプレゼントを受け取ることが出来る。どうだい、完璧な作戦だろう」


 いや、俺が加入したからといって、俺が担当するなんて保証はどこにもないし、そもそもお前の名前は絶対にブラックリストに刻まれていると思うぞ。なんて今言ったって、『お前がどうにかしてこい』と返されるだけだ、黙っておこう。

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