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受け取る資格無し

 サンタクロースが独断で、プレゼントを子供の家に持っていく行為など、許されているのだろうか。


 今更だが、サンタクロースは一個に固められた『組織』である。組織とは基本的に、個人の身勝手な行動は許されない。特に魔術の世界的な露見を阻止するという、制限を置いている組織では極めて危険な行為だ。


 俺はサンタクロース見習いという表現が正しいような人間だが、プレゼントをあげる手筈くらいは知っている。受け取れる子供は北欧の本部で決定され、そこから手順通りにサンタ達が連携して職務をこなすのだ。


 「国谷。お前はどうやって制覇様の事を知った?」


 「別に私が独自に調べたとか、そんなはずがないじゃん。そもそも私がどうこうする前に、既に去年の時点で噂になっていたんだよ。あの子の噂が」


 制覇様は自分ではサンタクロースからプレゼントを受け取る規定を全て満たしたと言っていた。『桜台制覇』を調べない限りは、おそらく受け取れていたのだろう。


 「さよう。確かに去年の11月下旬。我々は桜台制覇という人間について、激しく討論が巻き起こった。いくら規定を満たしていたとしても、それは表面のみの話だ。あの子は致命的に『良い子』じゃなかった。だが、不穏な面影からしか、その邪悪性を見抜けなかった」


 制覇様の情報網のガードは硬い。外を完璧な天才少女として偽っている彼女は、サンタクロースの目さえも一部は欺いていたのである。サンタ側が彼女へのプレゼントを断念する理由は……『本能』とか『直感』とか、そんな曖昧な物になってしまった。


 「それでも私たちの感じていた直感は間違っていなかった。結果的にまんまと国谷朝芽は桜台制覇に捕まった」


 「まぁまぁ、及火ちゃん。そんなに怒らなくても……」


 「あの場で拷問や記憶を奪われて、魔力が露見する可能性があったのですよ!! それに捕まった張本人がどうして一番に憤慨していないのですか」


 制覇様……なんて事を……。もうがっつりサンタ協会のブラックリストに名前を刻んでいるじゃないですか。サンタからプレゼントを貰うとか、そんな都合が良いシナリオにはならないと思いますよ。


 「でも……最終決定は……」


 「疑わしきは罰せよ。結局は『受け取る資格無し』という判断の元、話し合いは済んだはずじゃった」


 「でも……私はどうしても納得できないで、勝手にプレゼントを持ち出して、最後に一個、余分に置いてきたってわけ。まあ、催眠ガスで捕まったりしたけど」


 どうして魔力の露見を阻止する事を納得できないんだ……。

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