教えてあげなよ。制覇ちゃんに
「君の狙いは初めから分かっている。桜台制覇様の為に、魔術の極意を調達すること。でも……その知識を桜台制覇に与える事は、世界に大きく反響する。あの子の異常性は、科学者には明るみに出過ぎている」
だろうな、これで制覇様は……更に上手の強さを手に入れる事になる。世界に魔術が明るみに出るという意味では、まさに最悪の人と言える。それに制覇様は魔術を利用して、何かを企んでいる。それは極めて不純なことだろう。
「桜台制覇に魔術を与えるわけにはいかない。あの子は危険過ぎる。裏社会に君臨する暴君に新たな知識を与えるのは、新しい戦争の火蓋となりかねない」
そうですよね。あの暴君がそんな最高の玩具を貰って好き勝手しないはずがないですよね。戦争……否定要素がないな。あの人なら……国家だろうが、組織だろうが、お構いなしに喧嘩を売りそうだ。ただの『魔術』の様子見として。
「君がしようとしている事の重みが分かったかい? ロリコンもいいが、もう少し現実を見たほうがいい。仮にその場だけ、彼女に喜んで貰っても、最終的に彼女にとってプラスとなるだろうか」
ならないだろう。彼女が戦争に勝利したからって何が残る。虚しい被害者にデータだけだ。それを持って、また次の戦争が引き起こるのだ。彼女を止めなくては、まだ巻き戻れる状態で、彼女を止めなくてはならない。
「やれやれ。このまま君が萎縮して、桜台制覇の野望を語らずに、質問しなくて一日が終わったならば、そのまま私たちも何も気にせずに済んだというのに。本当に嫌な事をさせてくれたよ」
ロリコンは贔屓は許されない。制覇様の為に、その他大勢の幼女を見捨てる事は、サンタクロースの流儀に反する。制覇様の任務は俺の命よりも思い。しかし、俺の軽はずみな行動には、もっと多くの命が乗っかっている。
「そうか……」
やっちゃ駄目か。制覇様を本当に憂いるならば、俺はここで成果を持って帰るわけにはいかないかもしれない。
「これで……諦める理由がついた。俺はこの工場見学の前から、心のどこかで諦めがついていたんだ。胸を張って制覇様に、見つかりませんでしたって言えるかな」
……安堵した。これでいいのだ。俺は今、正しい選択をした。制覇様を守る為に、最大最適の判断をしたのだ。
★
「そんなの駄目だよ……」
話は終わらなかった。折角、話が纏まりそうだったにの、あのカップラーメンを食べ終わった国谷朝芽が話しかけてきたのだ。
「お前……何を言っているんだよ」
「教えてあげなよ。制覇ちゃんに」
思考がコロコロ変わるのに、定評のある太刀風居合……




