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人間の目に見えない美しさが

 元の設定よりサンタクロースは一般には知られてはいけないという絶対ルールがある。それは世界に干渉すればマズイ事があるからだ。空飛ぶトナカイ、煙突からの侵入、プレゼントの寄付。そのお決まりの『不法侵入』が、サンタクロースの異質だった。


 魔力で覆い尽くすも、人間技の極意にも、全てに限界がある。だから、サンタクロースのプレゼントが受け取れる人間はごく少数に限られてくるのだ。規定を満たさない、規則に準ずるレベルに抑える為に。


 「非現実が含まれているから、ここまで警備が畏まっていて、サンタクロースになった者だけが知り得る情報だ」


 情報は武器だ。これはあらゆるメディアで共通する考え方である。それ故に無知は愚かさであり、情報漏洩は許される行為ではない。機密性の保持、秘密厳守は極めて重要な意味合いがある。忍者を目指した俺だから嫌ほど分かる。


 「現実世界に魔力は広まっていない。全ての人間が異質な物を無いものとして生活している。これが世界の掟だ。これを侵す事は絶対に許されない。一般人は絶対に魔法を触れてはいけない。誰にも魔法の存在を口外しない、そんなピュアな人間だけが、魔法の玩具を手に入れられる」


 その魔力は微弱な物ある。『壊れにくい』、『錆びにくい』、『長持ちする』などの、神のお加護という意味での補強。そんな人間の目に見えない美しさが、サンタクロースの手渡した玩具には詰まっている。


 「サンタクロース内部でも魔力保持者は少ないさ。ただの人間として一生を終えていく者が殆どさ。我々もそれでいと思っている」


 「どうして、そんな危ない賭けをしてまで、子供たちに玩具を見返り無しに与えるのですか?」


 「決まっているだろう。子供の夢という素晴らしい物は、禁忌を侵す事よりも尊い物なんだよ。広告とかで良く見るだろう。『子供の夢を守る為に』って、魔力を司る人達は、それを本気で大切だと思ってくれているんだよ」


 だから……制覇様が欲しがっているのは……科学とは違う未知の分野。いわゆる古典的な言い方をすると、『魔力』について欲しがっていると解釈すればいいのだろう。それをわざわざサンタクロースから摘出しようと考えている辺りが、回りくどくてあの人らしい。


 「それで? 君は魔力のメカニズムを知りたいのかい? サンタの仕事には知らなくても支障は無い。研究熱心なのは素直に良い事だと思うけど、それでも……君が考えている事は……ちょっとそういう事とは違うのだろう?」


 そうだ、俺はこれっぽっちも魔術には興味がない。ただ俺はサンタクロースのしてはいけないルールを破ろうとしているだけだ。

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