1話〜保安組織の抵抗1〜(改)
―謎の艦隊出現から13時間後―
海上保安庁本庁(東京)
ある隊員が「長官」と書かれた札が置かれている座席にいる男に報告していた。
『只今、国土交通省を通じて内閣府から通達がありました。』
『硫黄島付近から東京湾の入口に向けて謎の武装艦隊が向かっているとの情報が入ったため、海上の安全を守るために海上保安庁の巡視船を配置してくれとのことです。』
長官は青ざめているように見える
少しの沈黙の後、吐息した後
『わかった、では関東地方エリア管轄の三管本部にそのことを伝えておく!』
『了解!!!!』
報告をした男は深く頭を下げてから部屋を出ていく
第三管区海上保安本部(神奈川)
保安本部長
『はい、こちらは三管本部本部長です。 どのようなご要件で?』
『私(長官)が国土交通省大臣から東京湾入口封鎖の要請がありました。三管本部の管轄ですのでお願いします。付け加えますと今回は国籍不明船団の東京湾侵入を防ぐための出動ですので気を抜かずに対応してください。では、後はお願いします。』
『ちょっと!』
『プツン、ツーツーツー』
『クソ!切りやがったなぁ、あの野郎!!!』
『もう一度、連絡しますか?』
『いいや、もうあいつは絶対電話に出ないから諦めて自分達で出来ることをやるしかない⋯クソ』
刻一刻と近づく奴ら、この日本の中心の港がある「東京湾」に到達するのは時間の問題だろう
―海上保安庁本庁からの連絡から1時間後―
横浜海上防災基地
今までこの基地は常時は各種訓練や研究等、非常時は災害派遣にしか使われなかったが、このときに初めて不審船対応をするための現場基地として使用された。
このときにはここの基地の巡視船だけでなく、第三管区管轄にある武装されている巡視船をかき集めてこの事態に備えていた。
現在、この基地に待機している巡視船はひたち・かとり・あきつしま・さがみ、いず・ぶこう・おきつ・ふじの八隻である。
今回対応する船隊の旗艦(船団の司令塔)は”あきつしま”でありすべての命令や報告等はこの船に集約される。つまり、この船長の判断や責任もより重くなることを指している⋯
―謎の艦隊出現から15時間後―
同基地内
『これより一時間待機していた巡視船隊が約40分かけて観音崎〜富津岬の間にある第二海堡に向けて航行している。なのでそれまでは少しでもゆっくりしていてくれ。以上!』
そうして話を終わらせようとした時…とある隊員が質問した
『すいません⋯』
『どうした。』
『艦長、なぜ東京湾外ではなく東京湾内で対応するのですか?』
船長は厳しい表情で海図を指さした。
『浦賀水道は世界有数の混雑海域だが、同時に最も狭隘な難所でもある。東京湾周辺海域で戦力をなるべく分散せずこの狭い海峡で対峙することで不審船に侵入させる隙を与えさせないためだと上が決めたからだ。 以上!他に質問等はないか!』
『・・・』
『では、解散!!』
『はい!』
彼らは観音崎〜富津岬の間約6〜7kmの距離があるところの近くにある、第二海堡へと向かっている。
ここの海域は浦賀水道と呼ばれている。
補足すると、水道は意味合いとしては海峡のようなものを指しているのでほぼ同じ意味である。
その海域は明治時代に東京湾要塞が造られるほど、国防上最も重要な場所であった。
今、巡視船隊はこれから来るであろう謎の艦隊がこれより先に侵入させないため、単横陣で待機していた。
某巡視船内
『今回の謎の艦隊は8日前にあった「血のチチジマ事件」の際に確認された帆船の可能性が高いらしいですよ。』
『そうらしいよな、かなり心配なんだよ。』
『どうしてだ。』
『奴らは人を残虐に殺めるらしいじゃないすか!そんなやつが『撤退しろ』や『手を上げてこちらの指示に従え!』と言って聞くなんて思えないんだよ。』
『まぁ、その情報が確かというわけではないから、もしかしたら今回は違うかもしれないよ。』
『あぁ、じゃあ俺休憩してくるわ!』
彼らの船は隊列を成して待っていた⋯その光景は白く輝いていて、とても強者には見えなかった。
だが、何かの「不安」は巡視船の隊員全員が感じていた。
かつての要塞の跡地で、二度と繰り返されてはならない残虐な戦争を再び異界の者により繰り返されることになるとは誰も思わなかっただろう⋯
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