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第10話「式典前日」 - 5

※生成AIで作った画像を挿絵に使っています。その為一貫していない部分がありますが雰囲気モノとしてご容赦ください。

聖騎士団が勢揃いして、明日の警備配置を確認している最中に現れたのは、国境の城塞都市イリアーデイの領主、エリック・ヴァリンドール公爵だった。


「おお! グレース!! また生きて会えて嬉しいぞ」


場の空気を読まない笑顔と声の大きさで団員たちを圧倒しながら入ってくるエリック。

団員たちは公爵の来訪に恐縮し、頭を下げる。


「この前の戦争は本当に大変だった。我が軍の脇の甘さで聖騎士団に迷惑をかけた。申し訳ないっ!」


公爵はグレース、そして聖騎士団の面々に深く頭を下げた。


数ヶ月前、イリアーデイで魔王軍との激しい戦いがあり、魔王軍の罠にかかった聖騎士団とイリアーデイ軍は分断され、それぞれが壊滅の危機に陥った。エリックとグレースはそれ以来の再会だ。


「エリック様、ご無事で何よりです。聖騎士団撤退後、魔王軍の猛攻をしのぎ、遂には奴らを撃退したと伺っています」


「ああ、そうだ。イリアーデイ陥落の危機を耐えに耐えたぞ。そうだ、その件でスカーレット枢機卿に御礼申し上げなくてはならない」


「スカーレット様に?」


「彼女がイリアーデイに送ってくれた新型のライフル銃。あれが情勢を一変させた。ライフル隊が魔族を全て駆逐してくれたわ」


グレースは驚きを隠せなかった。


次期教皇を争って国境付近の村々を訪れて顔を売っていたのは知っていたが、新型銃を村々だけでなくイリアーデイにも送っていたとは知らなかった。


少し離れたところで2人の会話を聞いていたタリーサも同様だった。


その時、聖騎士団の門からもう一人、貴族の男が現れた。

彼はヴィンセント・ヴァリンドール侯爵、エリック公爵の遠縁であり、もう一方の国境を守護する人物だった。


ヴィンセントは細身で少々ひ弱さを感じさせる外見だったが、銀髪の奥から光る鋭い眼差しはどこか得体の知れない力を感じさせた。彼の足取りは軽く、無駄のない動きが見る者に不安と緊張感を与える。


「ヴィンセント! よく来たな!」


エリックが振り返り、大声でヴィンセントを呼び寄せる。

グレースは驚きつつもその人物に一礼を送った。


「グレース団長、この者はヴィンセントだ。俺のいとこであり、向こう側の国境を守っている。腕前も一流だぞ」


ヴィンセントは穏やかな微笑を浮かべて応じた。


「はじめまして、団長殿。今日は手合わせを期待しています」


エリックの笑顔がさらに大きくなる。


「そうだ、グレース。手合わせだ。2人を相手にしてくれ!」


大陸一の武人と名高いエリックの目的はこれだった。


薙刀や剣を扱わせたら右に出る者はいないと言われるエリック・ヴァリンドール公爵は、毎日退屈していた。彼といい勝負ができる者がほとんどいないからだ。その中でエリートの騎士達が集まる聖騎士団、その騎士団のトップのグレースは格好の相手だった。


「あ、あの…公爵、式典前日で準備が…」


グレースが断ろうとしたその瞬間、ヴィンセントが無言で間合いを詰め、拳を繰り出してきた。


「何を!?」


挿絵(By みてみん)


咄嗟に反応したグレースはその拳を難なくかわす。ヴィンセントの攻撃は終わらない。拳を振り切った瞬間に足さばきを変え、低い姿勢から跳ね上がるように蹴りを放つ。


グレースはその蹴りを身をひねることでかわすと同時に、体勢を整える間もなく、再びヴィンセントの掌底が襲いかかるのを感じた。


「速い…!」


ヴィンセントの一連の動作は滑らかで無駄がなかったが、グレースもまたすでに次の行動に移っていた。彼女はその掌底を半身でかわしつつ、彼の手首を掴むと、軽い力で関節を極めた。


「うっ…」


ヴィンセントは一瞬苦悶の表情を見せたが、すぐにそれを消し、体勢を整えようともがく。しかし、グレースはすでに次の動きを取っており、ヴィンセントの肘を押し込みながら足を絡ませて彼を倒し、完全に身動きを封じてしまった。


(しまった…)


無意識に防御本能が働いたことに気づき、グレースは顔を歪める。彼女が放した手の先には、動けなくなったヴィンセントがうつ伏せに伏せていた。


しかしその様子を見たエリックは大喜びだった。


「おいヴィンセント、もう参ったのか! さすがグレースだな!」


ヴィンセントは驚きながらも苦笑し、軽く降参の手を上げる。


「団長殿、私の完敗です」


グレースは息をつきながらヴィンセントを解放する。しかしその隙にエリックが剣を抜いた。


「次は俺だ!」


「…お2人とも、あちらへ」


グレースは大きなため息をつくと、観念して2人を屋内練習場に案内した。


練習場では激しい戦いが繰り広げられる。

団員たちが見守る中、剣を振るう音、魔法の轟音、そして3人の雄叫びが練習場から響き渡った。

団員たちは互いに顔を見合わせた。


「…姫もここぞとばかりに楽しんでいるな」


ペネロペ副団長は苦笑すると、団の指揮に戻った。


(続く)

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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★あとがき★

魔王軍との戦争以来のエリック・ヴァリンドール公爵でした。大陸一の武人と散々言いながら未だにその実力を見せる場面はないという笑。このまま完結しちゃうかも


次回、主人公たちに話は戻ります。これを終えたらようやく第11話

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