↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Everyday Combat  作者: XJ9
PR
1/3

謎の部屋とエリーゼ

頭が枕の下に沈みそうなくらい重い、重い。

目の前には昔大嫌いだった人物のシルエットが写っている。本当に嫌いだった、記憶から消したいくらいに。本当の事なんて何一つ言わないくせに、こっちが真剣な質問をするときまって考え込むような表情をする。見え見えだ。本当は答えなんてとっくに出ているくせに、こいつは俺を納得させる為の別の回答を考えている。心底気に食わない。


(…ああ、もうあんたの顔は見たくないから消えてくれ。つべこべ言わずにほっといてよ…。いや、違うだろ。消えた方が良いのは俺の方か…。)


忘れていた、記憶から消したはずだった喪失感を思い出した瞬間、爽司のまぶたがうっすらと開いた。眩しい光が一気に差し込んでくる。次に目に入ってきた映像は、見たこともない部屋だった。中央にベットが一つがあるだけで、色は白に統一されている。


目を覚ます瞬間に見ていた夢はもう思い出せない。何かに負けた、そんな敗北感のようなモノだけはしっかり残っていた。それに加えて頭も痛いから気分は最悪だ。

でもそれは大したことじゃない。この見知らぬ部屋に自分がいることの方が大きな問題だと思う。ドアも窓も、空気が通りそうな隙間も見当たらない。焦る感覚は少なからずあるけど、不思議と恐怖は感じない。とにかく今は「意味不明!」この一言に尽きる。




「ああ、お目覚めですね。お食事をお持ちしました」

「うぉお!?」

突然、後ろから女の人の声が聞こえた。爽司は情けない声を出しながら、ついでに意味もなく身替えてしまう。驚いて振り向くと、配膳用のカートを押しながら一人の女の人が近付いてくる。台の上には高級そうな銀食器が並べられていて、そこに色とりどりの料理が盛り付けてある。

不意に動揺してしまった自分が少し恥ずかしくなり、それを隠すために取り敢えず冷静を装ってみる。そして、出来立てホヤホヤといわんばかりに湯気を立たせている料理をチラ見した後、率直な疑問を投げかけてみた。


「あなた誰ですか?」

「ここの案内係りを任されています、エリーゼと申します」

「ここって?」

「VRオンラインゲーム[RE:Rebirth]のテスト場です」

「はっ?VRゲーム?」


(まてまて、意味が分からん)

白い部屋、料理、謎の案内人、VRゲーム、単語と単語が何一つとしてマッチしていない。

爽司の中で「意味不明」という単語がますます大きくなる。考えをまとめる事など出来るわけもなく、?マークが付いた顔のままエリーゼの説明を受ける。


「爽司様は、この度当社から発売されるVRMMORPGゲーム[RE:Rebirth]のBETAテスターにご応募されて、見事ご当選しました。VR(ヴァーチャルリアリティ)とは仮想現実のことです。簡単にご説明しますと、今の爽司様の周りの環境は全て仮想になります。この部屋も、コチラの料理も、そして私や爽司様も含めて、ここにある全てが仮想でありプログラムです。」


(………)

ここの全てが仮想?プログラム?あまりのぶっ飛んだ説明に、爽司は口を開けながらほうけていた。しかし、なんとなく[VR・ゲーム]というキーワードがどうも頭に引っ掛かるような感覚がした。そうそう、確かに、どことなく[VRMMORPG]という言葉を知っているような気がする。自分はこのキーワードに接点があって、もしかするとテスターに応募したかもしれない。

(ってか思い出せない…いやマジで。そもそも何で忘れてるんだ?なんで思い出せない?)

いやな汗が爽司の額に滲む。再び動揺した爽司の様子を見てエリーゼはうっすらと口元を歪め、笑みをこぼし言葉を続けた。

「思い出せないのも無理はありません。現在、爽司様は記憶の一部を当社に預けている状態です。今回、[RE:Rebirth]のBETAテストにご参加頂くにあたって、ゲームを最大限楽しんで頂く為に、当社が不要と判断した記憶は一時的に引き取らせて頂いております」


「なんだよそれ、ただの犯罪だろ」

(法律のことはさっぱりだけど、記憶を引き抜くだなんて倫理的に許されるはずがない…聞いたこともないけど)


「いいえ、爽司様は5時間前にこちらの契約書にサインなさっています。ご確認下さい」

そう言うとエリーゼは空中にある何かを掴むような仕草をする。すると1枚のキャプチャー画像が出現し、エリーゼはそれを爽司に渡した。


(…間違いなく俺の字だ。判子も押してるし…)

書いた覚えはないが、この契約書にあるサインは間違いなく自分の字だった。判子も押した記憶はない。だけども、体が覚えているのだろうか、この契約書に記されてあるサインと判印は間違いなく本物だと確信出来る。確かに契約書には自分の記憶の一部を預けるという旨の文章がある。…加えて、如何なる事故が起きても全て自分の責任とする、という旨の文章も見つけた。

自分はどうかしているとしか思えなかった。こんな危険な契約書にサインするなんて。もう少しまともな判断が出来ただろうと、数時間前の自分を叱責する。



エリーゼは再びわずかばかりの笑みを浮かべて言葉を続ける。

「爽司様がサインした際に…ゴホン、つまり5時間前の爽司様から今の爽司様に向けてのビデオレターを受け取っています。ご確認下さい」



初投稿になります、noobですみません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。