第48話:裏返ったチェス盤と、永遠に続くお気楽な日常
一方その頃、極寒の地にそびえ立つクレムリンの最高機密執務室。
大陸の独裁者・習孟平の政権が全裸化ざまぁによって無残に完全崩壊し、大混乱に陥った北部地域(瀋陽など)へ向けて、治安維持を名目に強引に軍を進める大国があった。
隙だらけになった広大な領土を、漁夫の利として無傷で一瞬にして実効支配してみせた、ロシア大統領のウラジーミル・仲達である。
彼はデスクの上のチェス盤を弄び、俺が仕掛けておいた自動迎撃プログラム(置き土産)の反撃を受けて、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の無様な敗走ピエロを一時的に演じてみせた。
しかし、世界中の画面の前で情けなく逃げ惑うそのダメージ描写すらも、彼の冷徹な地政学戦略(計算)の内だった。
結果として、彼は一滴の血も流さずに強大な覇権の領土を手に入れ、世界の勢力図を完全に塗り替えてみせたのだ。
氷のように完全に感情の消えた冷徹な瞳を細め、仲達はチェス盤のキングの駒を無造作に裏返した。
「……フッ、死神ハッカー『GHOST』。君のおかげで無能なピエロを排除できた」
「――盤面は、すでに裏返ったぞ」
極寒の地で、次なる真の覇王として不敵に微笑む仲達の姿をもって、次回作への圧倒的な地政学的布石が完了する。
◆ ◆ ◆
しかし、そんな世界の地殻変動などどこ吹く風。
台北の李家食堂では、今朝も「志明のバカァ!」「おじさんあーん!」と、賑やかな声が響き渡っている。
紺色タイトスーツのナノ繊維の軋み音『ギチ……』と、排熱レンズの『チチチ……』という電子駆動音が騒がしく重なり合う。
歴史の絶望を一秒で粉砕した陸志明の、最高に暖かくてお気楽なハーレムラブコメの日常は、これから一生、永遠に続いていくのだった。
(『新・三国志:大陸断絶』――完)
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