第6話 (?サイド)
森は静かな夜を迎えていた。
9月の中頃を過ぎてくると、朝晩は急激に、冷え込んでくる。
国の保有する森の為、この森は立ち入り禁止となっている。
森には珍しい動物に草や木が生い茂り、それを狙う、不届き者もやって来るからだ。
南側の森の入り口には、一般人避けに看板が立つ。
この森は大きい故、彼方此方に侵入者が入るとわかるように、目に見えない仕掛けがしてある。
『君に任せる』
国の偉い連中の投票で勝手に選ばれ、俺が管理者となった時、仲間に頼んでやってもらったんだ。
今日の仕事帰り仲間が作った、魔石をはめ込んだ腕輪が、緑色に光を放った。
「緑色か……一般の人間が森に、迷い込んだのか…」
時は夕暮れ時、そいつを早く見つけないと…よく、こんな時間に入ったものだ。
俺が管理を始めて3年目。
俺が管理する森に入ってくる、人間なんて、久しぶりだな。
クンクン、クンクン俺は鼻を鳴らす。
「どこだ…森に入った人間はどこにいる……手遅れになる前に見つけてやらないとな」
(パキッ……パキッ…)
気にもせず枝を踏みながら、森の中を匂いを頼りに探す。
森に探しに入ってから10分くらいか…
クンクンこの匂いだな。
場所は近いな。
「どこだ…」
俺は辺りを見回した…いた…見つけたあそこの木の下だ。
駆け寄ると大きな木の側でぐっすりと眠る、薄手の白のワンピースを着た女の子を発見した。
「ふうっ、見つけた」
連れて行こうと俺は女の子の体に触れる。
「…冷たいな」
体がかなり冷えきっていてる、早く温めないと、このままでは危険だ。
俺は持ってきた保温シートを出し、彼女を包み込むと胸に抱え、元来た道を急ぎ足で屋敷へと走った。