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野菜たちの主張  作者: 西玉
その他の野菜編

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シシトウ1 任務遂行

 シシトウは、サツマイモの次に収穫できた、美味しくいただけた野菜だ。

 背丈は30センチぐらい、大きくても50センチぐらいにしかならず、一株で次々に実をつける。


 では、何も主張しない大人しい子かといえば、決してそんなことはない。

 畑を始めた当初、どの野菜もうまく育たず、作物を栽培する難しさを思い知らされていたころ、畑の隅でシシトウだけが次々に実をつけていた。


 トマトもナスもピーマンも、がんとして動かなかった頃のことだ。

 野菜たちが総じて頑固親父のように見えていた中で、シシトウだけが優しく手を差し伸べてくれた。


 ほとんど世話をした記憶がなく、ただ苗を植えておいただけなのに、小さな背丈でしっかりと実をつけた。

 収穫して食べても、何も辛くない。


 いくら収穫しても辛くない。

 喜んで収穫しつづけた。

 その年の夏の主役は、間違いなくシシトウだった。


 思えば、これは人間を野菜に引き摺り込もうとする、野菜たちの策略だったのかもしれない。


 シシトウは、野菜たちの先兵として、私の懐に入り込んだのだ。

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